第1話 知らない天井と泣き声
夜の2時。
俺は、ベッドに腰をかけたまま、モニターにかじりついていた。
「……よし、ラスボス残りHPあとちょっと……!」
眠い。
でも寝るわけにはいかない。
なにせ相手は導きの塔の最上階にいる魔王様。
この一撃で長いプレイ時間に終止符が打たれるのだ。
画面の中では勇者たちが最終決戦の真っ最中。
眠気なんて、興奮の前には無力だった。
「勝った……! やったああああ!!」
午前2時13分。
俺、理音。高校1年生。
勉強も運動も普通。クラスのムードメーカー。
でも本気になるのはゲームの時だけ。
それが俺の人生だった。
⸻
翌朝。
寝不足でふらふらになりながら、通学路を歩いていた俺は、
交差点で信号が赤になったことにも気づかなかった。
「……ん?」
ブレーキ音が耳を裂き、世界がスローモーションになる。
あぁ……やっちまったな。
寝不足で事故とか、情けない話だ。
そのまま、俺の意識は暗闇に沈んだ。
……そして次に目を開けた時、俺は知らない天井を見ていた。
いや、見ていたというより——
上から吊るされた布のような何かを、ぼんやりと見上げていた。
声を出そうとしたけど、出てきたのは……泣き声。
「……ふぎゃぁぁあああっ!!?」
「(え? え? なにこれ!? 声高い!てか俺、泣いてる!?)」
手足も思うように動かないし、視界もぼやけている。
状況が理解できずに焦っていたら、ふわりと誰かに抱き上げられた。
優しそうな女性の声が聞こえる。
俺を包み込むような温もりと、甘い匂い。
赤ん坊。
……どう考えても俺、赤ん坊になってる。
その事を理解して俺はまた叫んだのだった。
他が完結していないのに、すみません……。




