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ep3 出会いは始まり
ふっと、リコの視線にリョータは気づいて、自身の服装に驚いた。
横の行者と、似た鉄の胸当て。
両指を自由に動かせる手甲と、黒い染められたレガースアーマー。
背中の肩からは、ズシッと重さがある剣と、
リョータは、夢まで見た武具と防具に、身体をはずませた。
「コ、コホン」
と咳払いをして、「そうだよ」
と、大きな身ぶりで、両手を広げた。
「ふーん」と、リコは、小さな顔をならして、両手の手首のジュエリーを握った。
「もう少しだ、リコ、教会まで」と、ゲインの声が、リョータの背中から、鳴り響き、大きく太いトロールの指が前方の上空をさした。
貫禄のある声で、またもやリョータの背筋は、ピンと伸びた。
トロール族は、みんなこんな声なのだろうかと、
リョータは、肩をすくめずにはいられなかった。
ふっと一行は、目的地へと、歩みを始めて、
首都の人口は、どれくらいになるのかと思うほどの様々な種族が、行き交う大きな礼拝堂と呼ばれた、
天まで届きそうな聖堂へと、歩を進めた。




