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第七話 ジュレの里帰り(後編)‐除虫大明神、爆誕。‐

ジュレの里帰り後編。

いつか入れたかった祠ネタを入れられて満足です。

『あの祠壊したたんか!?』

そして少女ミミックのほのかな乙女心。バックハグ。


「あら…?」


「母さん!ただいま!」


「ジュレ!帰って来たの!?」




洗濯物を取り込んでいた、ジュレのお母さん、フミツキです。




「休暇を貰ったから里帰りしてきた!」


「久しぶりね!少し背が伸びたかしら?」


「そうかな?」


「背負っているのは…宝箱?荷物でも入れてきたのかしら?」


「ああ、これは…」


「………。」


「ミミ美、大丈夫だよ。これはボクの母さん」


「………はじめまして…」


「この子は…?」


「この子はミミックのミミ美。仕事先で知り合ったんだ」


「ヘェ~。これがミミックなのね…初めてみたわ。キレイな箱ねー」


「ジュレのお母さん…そこもわたしの体の一部…なの……なんです…」


「じゃあそれもあとでゆっくり見せてもらうとして!ふたりとも入って!もうすぐ夕飯ができるから!」






「ジュレ、久しぶりだな。元気にしてたかい?」


「父さん!最初は大変だったけど、まずまずだよ」


「お兄ちゃん、おみやげないのー?」


「ジュライにはこれ。ロンドフィーネ名物の『溶けない雪』(550G)」


「雪、初めてみた!ありがとうお兄ちゃん!」


「で、そちら…というかそれは…?」





「…というわけで、この子が仕事先で知り合ったミミックのミミ美です」


「ミミ美です。はじめまして…」


「これがミミックかー。図鑑では見たことあるけど実物は初めてだなー!」


「ねー。きれいな模様よねー」


「ミミ美ちゃん、触ってみていい?」


「…ちょっとだけなら………(照)」


「ジュレが彼女を連れて帰ってくるなんて!」


「お兄ちゃんスケコマシー!」


「彼女…(照)」


「父さんは若い頃冒険者してたんでしょ?ミミック見たことないの?」


「私は、実力に見切りをつけて3年と経たずに帰ってきたからなあ…」


「あなたが帰ってくるのがあと2か月遅かったら、私、別の人と結婚してたかも!」


「じゃあ、もしそうだったらあたしのお父さんは違うお父さんだったってこと???」





無邪気さが怖い年少の妹。





「母さん、子供たちの前でそういう話はよさないか…?」


「ふふっ。冗談ですよ。あなたが帰ってくるまで、何年でも待つつもりでいましたよ」


「ほっ…」


「…でもあんまり待たされたらちょっと危なかったかもねっ!!」



一同沈黙。



「ちょ、ちょっとタバコを吸ってくる!」



「ザラ…」


「ひい!」


「ジュレのお父さん…タバコを吸うときは灰ザラを使ったほうがいいと思うの…」


「りょ、了解だよミミ美ちゃん…」


「ふふ…喫煙マナー、大事…」





ジュレは家を出てからの半年間のことをひとしきり話して家族と談笑すると、

その日は久しぶりに自分の部屋の自分のベッドで眠りました。

ミミ美はジュライの部屋で女子トークしながら眠ったようです。



そして朝が来ました。

みんなで朝食です。




「じゃあ父さんはジュライを幼稚舎に送ってから仕事に行くから」


「行ってらっしゃい!」


「あなた、これお弁当。こっちはジュライの。」


「ありがとう。じゃあ行ってくる」


「行ってきまーす!ミミ美ちゃんもまた夕方ねー!」


「じゃあお母さんは洗濯や掃除をするからゆっくりしてなさいね」





家族がそれぞれ出かけたり用事をしていると、ジュレはとても退屈になってしまいました。

無理もありません。この半年間は毎日毎日が掃除の仕事をしていたものですから。




「………ああ、なんだか体を動かしてないとこう、落ち着かないかも」


「ミミ美ちゃんと散歩でもしてきたら?」


「うん、そうする。ミミ美、行こっか」


「うん」




手持ち無沙汰になったジュレは、ミミ美を抱えて散歩に出ました。





「ようジュレ!久しぶりだな!」


「ジュレ、、里帰りしてるんだってね」


「噂は聞いたぞ。彼女同伴で帰郷したんだってな!」




「はは…まあそんなところです…」





さすが田舎。情報が伝わるのが通信魔法よりはやいです。





「魔物と違ってなんだかみんなおしゃべり…

 でもみんな明るくていい人…わたしのこと魔物って怖がったりしないでくれる…」


「ぼ、ボクはちょっとつかれたかな?人が少ない森のほうに行ってみようか」


「うん」





途中、猫がスライムと戦っているのが見えました。

正確にはスライムが猫にちょっかいを出されて及び腰です。相変わらず平和な場所です。

しばらく移動して今度は森の中を散歩します。

木々の間を木漏れ日が差し込み、独特の光景を作り出しています。



そして森の奥。




「ここは結構久しぶりに来たなあ」


「そうなの?」





祠があります。




「チルレイ歴1726年○月×日建立って書いてある。今から300年くらい前だね」

「わたしのほうが祠よりもっと年上…」





乙女の謎プライド。





その時





『ミシッ』




「んっ?」




『メリメリ…』




「あっ」




『ビキ…ビキ…バリバリバリ…ドヌーン』




「ええええ 祠が倒壊した!?」


「古そうだったもんね」


「ええええ でもこのタイミングで…!?」


「ちゃんと大人に言ったほうがいいよね」


「そうだね…一応役場にこの事を伝えに行こう…なんか嫌な予感するけども…」






役場に行き役人たちに事の顛末を報告します。





「あの祠壊したんか!」


「ボクが壊したんじゃないです!目の前で勝手に倒壊しました!」


「まあ古いからねぇ…手入れもしてないし…」


「魔王級の悪魔が封印されているとも豊穣の神が奉られているともされているが…なんてことを」


「えっ、当時余った建材で適当に作って設置した特に意味のないものって私は聞いてますけど」


「大工のタケさんは腰やっちゃって当分修理の仕事できないそうですよ!」


「もうだめだぁ…おしまいだぁ…」





役場の中は、村の人々が集まってきて、あちこちで勝手なことを言い始めました。

情報が錯綜し、なかなかのカオスです。



「なんだかみんな困ってるね…」


「うん…そうだね…」






「わたしが祠になる!………なります…!!」


「ええ!?」


「いやいやいやいや!斬新すぎる!」


「そりゃミミックは祠にもなれそうな箱型だけども…」


「毎日足しげくお参りに来る住民も結構いるそうですよ」


「どうしたものか…」





「よし…!じゃあ我々が急ごしらえで夕方までには仮の祠を作るからミミックの君、

 それまで代わりを頼めるかい?」


「すまないね、助かるよ」






こうして…。





「すごい展開…」


「ふふ…でもちょっと楽しい…」


「夕方まで3時間~4時間っていうところだけど大丈夫?」


「うん。全然平気…任せて」






プ~ン。チクッ。






「かゆっ!さすがにヤブ蚊が多いなあ」


「ジュレこそ大丈夫?」


「あっ、今度はこっちか!かゆっ!」


「困ったね…そうだ…!ジュレ、ちょっとだけ離れててね」


「?」






「すぅ~っ…」





ミミ美はひとつ大きく深呼吸すると





「ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…

ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…ザラ…!!」





底無しの魔力で『死の呪文』を連発!

蚊もハエもヒルも毒蛾も、害虫という害虫を一網打尽!





「死の呪文…見るのは初めてだけど、す、すごい…!!」


「わたしのザラ…は特別性…害虫はみんな親戚みたいなもの…

 呪いで10代前まで遡って退治しちゃった。えへ」




ジュレは改めて、決してミミ美の機嫌を損ねてはいけないなと肝に命じました。

それからしばらくの間、ノルンでは害虫が激減し、

のちに新しく建てられた祠は後年、ミミ美にあやかり

『除中大明神』として奉られることになるのだが、それはまた別の話である…。





天気が急変して雨が降ってきました。



「ミミ美、大丈夫?」

「うん…大丈夫。ミミックは頑丈…

 風に吹かれるのも雨に打たれるのも初めてだから、すごく気持ちいい…」


「でも…体が冷えちゃう。あっ、そうだ!」


「??」



見かねたジュレが、後ろから抱きかかえるみたいにして雨から守ってやります。




「あっ…///」


「あと1時間ほどだから、一緒に頑張ろう!」


「…かえって体が熱くなっちゃうかも…しれな……い……」








「いやー、二人ともご苦労さんだったね!」


「とりあえず仮の祠はできたから」


「後日また改めてちゃんとした祠を新築するよ」


「ふたりには少しでもご褒美出さないといけないな」


「ところでミミ美ちゃん、なんか体から湯気出てない?大丈夫?」






こうしてジュレとミミ美は家でゴロゴロしたり、家族団欒を楽しんだり、

散歩したり、村の人と交流をしたりして1週間を過ごしました。そして…。





「やっぱり息子を送り出すのも寂しいものだな…」


「またいつでも帰ってきなさいね!(同伴で!)」


「お兄ちゃん、次もおみやげ期待してるからね!」





「うん…。じゃあ…行ってきます!」

「お世話になりました…」





また10日掛けてロンドフィーネまで戻り、そこからは首飾りで魔王城へ。

明日からまた掃除の毎日の始まりです。ジュレは気持ちを引き締めました。






@魔王の玉座






「「ん?なんだこれは」」






『魔王さんへ。地元の銘菓・ミルクまんじゅうです。‐ジュレより‐』





「「…甘いな」」


















 「「だが、悪くない」」







(終)




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