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第二話 勇者ヨタヒコと魔王の城!~そして節電へ…~

「ん…」






朝になりました。


ふかふかベッドで目を覚ますジュレ。


昨日はろくに確認もできなかったですが、部屋自体は広くないにしても、


日当たり良好バルコニーあり眺めよしで暑からず寒からず。


温泉がある、洗面台からはお湯も出る、


トイレは水洗な上、『うぉっしゅれっつ』なるお尻の衛生を保つ最新機構がある。


など、宿屋の最高ランクの部屋よりもっといい住環境です。








「そうか…ここは実家じゃないんだ…」








ベッドから起きて窓から外を見るジュレ。








「魔王の城にも、朝は来るんだな…」








魔王の城は常にぐろぐろがデフォと思ってたので感慨深いのです。


朝風呂はいってごはん食べて着替えて出勤です!








「さて、今日も一日頑張ろう!」








「おはようございます!」




「ゆうべはよく眠れタ?」




「おかげさまで!最高の寝心地でした!




「デ…今日はどこヲ掃除してくれるのかナ?」




「昨日の流れで、今日は玉座そのものを掃除しようかと」




「それはいイ!」








玉座の間。






「おはようございます!改めてよろしくお願いします!」




「「………ああ」」




「それで、今日は玉座そのものを掃除しようかと」




「「これ自体も200年大した掃除もしていないからな…頼もうか」」




「別の部屋で作業するので、移動させてほしいんですが」




「「力のある者に命じて、移動してやれ」」




「はっ!」




(ん?玉座をどけた後の床の石板…微妙にズレがあるような…まあいいか…)




「「掃除完了までどれくらい掛かる予定だ」」




「2時間くらいでいけると思います」




「「我、その間どこに座ればよいか」」




「ああ…そこまで考えてませんでした」




「魔王さマ、玉座の代わりハ想定外で用意しておりませン」




「この丸イスとか…」




「「ふん…2時間ならまあよい」」








魔王が座ると丸イスがギシギシと鳴き、魔王の表情が少し曇ります。








「じゃあ作業に掛かります!」




「「うむ…」」








玉座にはよく見ると剣撃の跡や小さな凹みや焦げ跡いくつもあります。


かつてここで激戦があったのでしょうか…。










「はぁはぁ…!魔王様報告します!勇者が攻め込んできました!」




「「何?ここは人間が易々とは到達できる場所ではないぞ」」




「奴らは巨鳥を手懐け空を飛んでここまで到達した模様!」




「「まあ想定内だ。総員迎え撃て」」




「もう全員ノックアウトされてます!」




「「四天王は」」




「現在全員ご不在!連絡は取っていますが到着までしばらく時間を要すとのこと!」




「「よい。我が直々に相手をしてやる」」








勇者一行。








「魔力の中心を目指せ!そこに魔王がいるはずだ!もう後戻りはできないぞ!みんな腹括れよ!」












『おう!』










「ノルセン!剣と盾の握りに滑り止めを塗り直しておけ!」




「わかった!」




「エラノス!魔法の詠唱文を復習しておけ!」




「了解!」




「ソニカ!おしっこは済ませたか!」




「さっき行ったけど緊張してまたもよおしてきちゃいました!」




「怯むな!突撃!」




「えええ ちょっと待ってください!」








(これが勇者パーティ…初めて見たけどすごいな…いろいろと…)








「? どうしてこんなところに亜人の子供がいるんだ?」




「可哀そうに!きっと魔物に連れ去られてきたんだ!」




「魔王を倒したら私たちと一緒に脱出しよう!」








「えっとボクは好き好んでこの場にいて…」








「どこか安全なところに隠れて待っていなさい!あとで迎えに来るから!」




「魔王!いざ尋常に勝負!!」








魔王の間の扉をどーんと開けて乗り込む勇者一行。


そこには丸イスに腰かけた魔王がいました。




「………。」




「「………。」」




「…こんな丸イスに腰かけている奴が魔王なわけがない!魔王はもっと豪華な玉座に座っているはずだ!」




「きっとこいつは外側に魔力を纏わせただけのダミーだ!城内を捜索するぞ!」




「我々を消耗させるのが目的か…!狡猾な…!」




「「いや、我が魔王…」」




「さすがに魔王城…暗いな…燭台のスイッチはどんどん入れて視界を確保だ!」










結局、勇者たちは魔王不在と勘違いして撤退していきました。








「「勇者たちは」」




「”仕切り直す!”って捨て台詞残して言って撤退していきました!」




「「問題ない。負傷した者の手当てと城内損傷個所の修復にかかれ」」




「はっ!」








「そんなわけデ、城は広いシなんだかんだデバタバタしてるかラ掃除は毎日することになると思ウ。よろしくネ」




「はい!」




「「ふん。興が殺がれたわ。茶でも飲んで一息つくか…」」




「魔王さマ、先ほど勇者パーティの魔法使イ…。


 気配の消し方の巧妙さが我々魔物の比ではありませンでしたナ…」




「「どうした?怖気づいたのか?」」






「いエ!そういうわけでハ…」






「「気配の有る無しなど関係ない。我に盾突く者は始末するまでだ」」










魔導湯釜まどうゆがまのスイッチを入れると、魔力供給のブレーカーが落ちて城内真っ暗になってしまいました。






「「何事か!」」




「勇者が城じゅうノ燭台を灯した上、


 魔王様が魔導湯釜のスイッチを入れたのがトドメデ…魔力遮断盤が落ちタようでス…」




「「………魔力供給量を増やせ。それができないのなら節約しろ」」








(第二話・完)



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