01-6. レプリカ
新曲のプロモで対決モノをやりたいというのはわかったが、そもそもわしとまみりんではライバルにならんだろうに
同じなのは歳だけでキャラは真逆
ちっちゃくて可愛い系のまみりんとデカくてセクシー担当のわしでは、ファン層がまるで違うのだが
「う~む、どうしたものか」
「BK、BK」
しまった、またおっさんくさいセリフを吐いてしまった
「なあにぃ? アイラ」
いまさら取り繕っても遅いか?
「ねぇねぇ、すっごいもんが届いているのよ」
おや、いつもクールというかリアクションの薄いアイラが興奮している
これはなんぞ一大事でもあったのか!
「すっごいもんって?」
「わかんない、BKに届いたんだから早く開けてよ」
アイラに引っ張られて事務所のプレゼント置き場に行ってみるとメンバーがみんな集まっておるではないか
「BK何これ?」
「何って…」
それは1m以上もある細長い筒状の荷物
花束やぬいぐるみのなかでひときわ異彩を放っている
(もしや、これは)
ゆっくりと両手で持ち上げるとわしはレッスンスタジオへ運んだ
床に横たえペリペリとガムテープを外し梱包を解く
中から現れたのは黒い漆塗りのハードケースだった
「やはり」
いつも間にかメンバー以外にスタッフたちも集まってきて取り囲んでいる
ふっふっふ、刮目せよ!
「えいっ」
気合もろとも蓋を開けるとどよめきが起こった
(やはりな)
800年の時を経て相まみえん、我が愛刀よ!




