Who are you??
「俺を異世界に転移してくれ。」
「本当に良いんだな?」
彼は覚悟を決めた男を前にし、もはや認めざるを得ないといった面持ちでこちらを見る。
「あぁ。頼む。」
「わかった。それじゃあ、その前に君に話しておくことがある。」
「話しておくこと?」
「祝福のことだ。」
「祝福?」
「あぁ、祝福とは召喚者が異世界転移を行う際に、三大世界への誘いを司る神からもたらされるものだ。その祝福により召喚者は特有の力を受け取る。特有の力は絶対的に召喚者に使役されるもので、転移後世界の中でも有数の力が付与される。そしてそれは召喚者自身の適性と、召喚を行った者の適性によって変化する。つまり、君自身と君を召喚した者の特性が如実に現れる強力な力ってことだね。」
なるほど。ただ転移されるわけじゃなく特別な力が付与された状態で転移するってことか。要はRPGゲームでいうところの初期装備ってところか?何にせよありがたい、転移後の世界がどういうものなのかはわからないけど、現代人がのうのうと暮らせる世界じゃない可能性もある。しかし、召喚者の適性が反映されるのはわかるが、俺を召喚した者の適性も反映されるのはどうもよくわからない。第一、俺を召喚した者が誰なのかも見当がつかない。だが、一度行くと決めた今、選択肢は一つしかないな。
「祝福については理解した。それじゃあ転移を頼む。」
「そうか、それじゃ武運を祈っているぞ…」
「あぁ!待ってくれ!」
俺の突然の静止により彼はギョッと驚いたようにこちらを見つめる。
「最後に一つ、お前の名前を聞いてなかった。何かの縁だ、きっとまた会えるし、その時のために知っておきたい。」
そういうと彼は少し驚いた顔をしながら、すぐに笑い出した。
「それもそうだな!我輩の名はユウマ・ドルーヴィス!以後お見知りおきを!!!」
そういうと、俺はユウマの切り開いた転移門に吸い込まれた。