表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/161

第38話 鱗国のアイテム選び1


 はぁい! お次がラストだ!


 鱗族だよ!

 神さまくんから貢がれ続けた白鱗の巫女やギュルヴィくんの一族だね。


 カノン族の性別どちらがいいかな?


「ギュルヴィ。どちらだい?」


 鱗族の王さま。

 ギュルヴィくんのお兄ちゃんがさっそくギュルヴィくんに聞いている。


「うーん……わかんない!」


 元気いっぱいギュルヴィくん。

 今までと違って、わたしが予知予言危険なこと以外は全部邪魔してるから、わかりません。


「わからない?」

「うん。おれわかんない」


 わたしさあ、鱗族のこれどうかと思うんだよ。

 というか、神さまくんの恩寵がわたしが思った以上にヤバかったの。


 ギュルヴィくんがひとりでこっそり泣いたりしててね。

 どうしたのって思って調べたら、ね……。


 それに気づいてからはちょこちょこ邪魔してたんだけどね。

 いきなり全部邪魔したら失敗しそうだし、どうするかと考えてたらギュルヴィくんが女神をめちゃくちゃ崇める予知予言を言い出してね。それが結構わたしへの後押しになったんだ。

 それでね、カノン族を派遣するこのタイミングで、本格的にギュルヴィくんの未来予知とかの邪魔をするって決めてた。

 カノン族がいれば何か問題になっても、ギュルヴィくんの身近で、直接フォローをすることが出来るから。


 わたしも未来を見ようと思えば見えるんだけど、見ないようにしてるのね。

 ああ、神さまくん自身にそういうパワーはないよ。念のために必要な能力として、わたしが自分を創造したときに追加しただけ。もちろんわたしの秘書くんルジェタさんにもそういう能力もある。

 わたしは未来が全部わかるなんてつまんないと思うタイプなんだ。

 選べるフクエルでルジェタさんがぎゃああってなってたのも見てないからなんだよ。

 そりゃあ、世界規模の取り返しがつかないほどのミスは起こらないようにルジェタさんが止めてくれるけどね。


 それ以外は考えてやってるの。


 んでね、王さまがこういう風に聞いちゃうとさ、ギュルヴィくんは見えちゃうんだ。

 ギュルヴィくんはまだ子どもだから、自分の力を制御出来てないの。


 カノン族の男性を選んだ場合。

 カノン族の女性を選んだ場合。


 問題がないか未来が見えちゃうんだよ。

 まだギュルヴィくん五、六歳くらいなんだ。

 これくらい自分たちで考えなよって、わたしは思う。

 だから邪魔してるの。

 つまらないでしょ?

 このあとどうなるか全部わかるなんて。


 ネタバレ人生だよ。

 危険なことを避けるのはいいよ。

 ギュルヴィくんはそれがどんなに怖くても絶対におれは見るって覚悟してるから。

 ギュルヴィくんはね、それ以外の未来を知ってしまって泣くんだよ。


 楽しいことを知る必要ってある?

 今日はプレゼントを貰えます。選ぶんじゃなくて、これが最適ですって答えを出される。


 プレゼントを貰う前から中身も、その後どうなるのかも全部わかります。


 それで楽しめるわけないじゃん。


 プレゼントを開ける楽しみもないよね。

 貰う前から全部わかって、最適なものを選択するだけなんだから。


 白鱗の巫女は自分の楽しみが消えないように生きてたんだよ。

 こんな風に誰かに聞かれても、知らないって未来を見なかったの。

 本当にヤバいときは絶対に見えるから、それ以外はほとんど未来を知ろうとしなかったんだ。


 ギュルヴィくんはまだ子どもなんだよ。

 みんなのためにもつい見ちゃうし、こうやって聞かれても見えちゃう子どもなの。


 こんなにつまらないネタバレ人生もうやだってならない?

 わくわくも楽しみもない。

 自分で考える必要がないって本格的に気づいたら、いつか病みそうじゃない?


 わたしはそういう人生やだわ。

 読む前から最終回までのネタバレまでくらうようなものだと思うから。


 そういうのもあって邪魔してるんだー。


「危険がないから、わからないのかな?」

「そうかもしれないけど」


 王さまとお姫さま。

 気づいたらいいなと思うよ。

 白鱗の巫女伝説と種族特性のせいで、ついギュルヴィくんに聞いちゃうんだろうけどさ。

 目の前にいるギュルヴィくん、まだ五歳、六歳くらいだよ?


「すごいや。全然わからない」


 ギュルヴィくん。ちょっと感動してる。

 他の子と遊んだりしても、これは違うとは思ってたみたいなんだよね。

 だからひとりでずっと工作してるの。

 綺麗なのが出来るってわかるから、ひとりで一生懸命作るの。

 ギュルヴィくんの遊びはもう、ひとりで工作ばっかりなんだよ。


「どう、しようか」

「ギュルヴィ? 私の可愛い弟ギュルヴィ。本当にわからないの?」

「うん。ぜーんぜん! おれわかんない!」

「……ギュルヴィ?」

「なに王兄ちゃん?」

「わからないのに、何故そんなに楽しそうなんだい?」


 戸惑ってる王さま。

 お姫さまはギュルヴィくんの体調が悪いんじゃないかってかなり心配してるみたいだ。

 気づいておくれよー。

 ギュルヴィくん、わからないことがうれしそうにしてるじゃん。


「おれ、今なら国境の子とも遊べるかもしれないから」


 ギュルヴィくん未来が見えちゃうせいで、ちょっと大人びてたりもするんだよね。

 角ちゃんと遊びたいんだよ。

 竜人族の元女王さまと遊びたいんだよ。


「今なら?」

「今なら、遊べる……?」


 さあ、ジェフクタールでヤバいブラコンランキング上位のお二方が考え始めました。

 こうなると早いのがヤバいブラコンなのでしょうか?

 きっかけがあると、何故かあっさり気づくことってあるよね。

 毎日ギュルヴィくん中心のヤバいブラコンたちだもの。


「ああ、ああ……ギュルヴィ……ああギュルヴィ……まさか……」

「ああギュルヴィ、私の可愛い弟ギュルヴィ。なんてこと。そうね。そうよね。わかってしまうから遊ばなくなってしまっていたのねギュルヴィ」

「そうだよ。絶対おれしか勝たないんだ。でも今ならおれ、みんなに負けちゃうかも?」


 みんなみたいにおれも負けてみたいんだ、とうれしそうなギュルヴィくんにブラコンたちが泣いたり謝ったり。


「く、くるし、い……にいちゃ……っ」


 小さなギュルヴィくんを抱き締めすぎたりすることもあったけど、鱗族は今日も元気です。


「あの巫女の手記を読み直しているようで、カノン族のことは完全に忘れてますね」


 これにはルジェタさんも苦笑い。


 鱗族は自分たちの文字があるんだよ。

 白鱗の子が産まれた? 一族の危機だ! ってギュルヴィくんが産まれて大騒ぎだったし、ギュルヴィくんが聖地に行くようになるしで、伝え聞いてた白鱗の巫女のイメージが先行してたみたいでね。


 鱗族は白鱗の子にはこうなる種族だし。


 でも落ち着いて文献の隅々まで読めばもう大丈夫でしょう。

 ギュルヴィくんが自分の力を制御出来るまでわたしも適度に邪魔するし。


 そんなことがあったりもしましたが、ギュルヴィくんの「そういえば王兄ちゃん、選ばないの?」という一言で、ようやく鱗族が女性のカノン族を選びました。


 怖いと嫌だから女の人がいいってギュルヴィくんが言ってたよ。

 なんでだろうね石ころホラーのルジェタさん。


 鱗族には白のカノンを派遣したよ。

 そうして、お金のお勉強をしたり新しいお城とか門とか選んでたんだけど、もうギュルヴィくんが無邪気にはしゃぐはしゃぐ。


「わからなーい!」って言いながら「ねえねえ、おれこれがいい!」「ねえ、これはどんなのなの? ねえねえこれはどんなの?」とか年相応にテンション上がってたよ。

 本当に楽しいみたい。


 そして、普通の子ども状態のギュルヴィくんに、ギュルヴィくんガチ勢の鱗族がどハマリしてしまいました。


 鱗族に産まれる白鱗の子って白い肌に赤い瞳の所謂アルビノなんだけどね、普通の鱗族とは骨格から違うって感じで華奢で小柄なの。

 普通の鱗族は男性も女性も色黒の肌に筋肉質な身体なんだ。


 例えるなら、超大型犬と子うさぎ。


 超大型のドーベルマンと真っ白な子うさぎぐらい違うの。


 ただでさえ小さくて可愛いのに、ギュルヴィくんの子どもらしい無邪気なはしゃぎように、さらにノックアウトされてね。

 おまけに「これは何?」とか「ねえねえ教えて」って、今までとは逆にギュルヴィくんに頼られて質問されたりしちゃう状態に、ギュルヴィくんガチ勢の鱗族が、どハマリしたんです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ