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第2話 星よさらば


 神さまくんの話をまとめるとこうだ。


 初めて世界を創造した神さまくん。

 育っていく世界に満足して、次の世界を創造しようとしたらしい。


 ここでわたしに激突した星の出番である。


 今まで神さまくんが見守っていた世界を見守り導く星。それを世界にえいやと授けてバイバイする予定だったそう。

 その重要なまるでセコムのような星をわたしの頭のてっぺんに落としてしまったのだ。

「それで……」と申し訳なさそうに神さまくんは涙目になった。


 この星は唯一で代わりはないのだと。


 わたしには転生の道も無くなってしまった。


 そしてさらに、なんとわたしに神さまくんが初めて創造した世界にずーっとずーっと居て貰わねばならないと泣いた。


 わたしが、わたしのお母さんの勝ちを確信した瞬間である。


 やべえ。お母さんが鷹の目で狙ってる宝くじの一等前後賞大当たりよりヤバない?

 お母さんのとんでもない野望が叶いそう。

 興奮で思わず鼻血が垂れそうになったが気力で耐えて、わたしは要求した。

 とんでもないお母さんの夢をわたしの夢のように語った。


 わたしはこいつらに殺されて、ずーっとずーっと別の世界にって、永遠でしょう?

 これでもかと語った。


 お母さんとわたしが考える最強の人生を混ぜて都合よく語った。


 こんな感じならその世界に行くのもまあアリかなともったいつけて上から目線で語った。


 お母さんたちまで殺されるわけにはいかんのだ。殺人して軽いごめんでもう謝罪は済んだとこいつらは思ってる。

 わたしを殺したことさえ、もう忘れているのかもしれない。


 まあ、神にとっては人間もミトコンドリアも同じなのかもしれんがね。

 わたしの思考を読むのはもうやめたようだか油断は禁物。

 顔と心に鉄仮面のビジネスモードだ。


 わたしは馬鹿でいい。

 ちょろい女でいい。

 ぽやんぽやんと夢ばかり見ている頭の軽い馬鹿な女だ。

 唾棄レベルのいい見本がいるじゃないか。

 G沢妹。あいつの真似しよ。


 わたし、根が引きこもりオタクなんですぅ。

 楽がしたい人生なんですぅ。

 苦労なんてお断りなんですぅ。

 永遠に楽しく生きたいんですぅ。


 くねくねくねくねくねくね。

 そんなわたしの要求を聞いた神さまくんは、さらに泣いた。


「そん、なことでいいの……っ?」


 わたしのあまりの無欲さに、つい泣いちゃったらしい。


 む、無欲か? と思ったが神さまくんの話を聞くとまあ無欲かなと思いもした。

 悪い方に強欲ならば正に好き勝手するだろう。


 魂と融合したせいでわたしの精神が星に影響するらしいので。

 わたしが病むと世界も病むほどの影響力があるんだってさ。


 それなのにわたしの代わりがないし、神さまくんはもう次の世界を創造しに行かなければいけない。絶対嘘だろと思うが顔と心に鉄仮面。


 世界を創造するというのは神さまくんの使命らしいのでね。


 最初に創った世界がめちゃくちゃになるかもしれなくても、次の世界を創造しなくてはならない。

 それが神さまくんというわけだ。


 いやあ、わたしが平和的に強欲で神さまくん的には無欲でよかったね!


 わたしの要求はすべて叶う。

 素晴らしい。

 あんなに要求したのに。


 わたしの要求はこれだ。

 まずはわたしの両親と兄弟たちに大当たりを何度か。宝くじでも競馬でもいいからとにかく大金を願った。予知夢付きでね。

 これでお母さんはわかる。


 今回だけだよと強調しつつ急に大金を手にしたら失敗もあるだろうと実は何度か大当たりみたいな。あと事件に巻き込まれないように。


 これで地球に未練は、まだある。


 大好きな絵描きさま字書きさまたちにも、気づかないくらい幸運を。

 なんか今日ラッキーじゃね? くらいの。


 わたしの生きる糧なので。

 健やかに生きて。

 創作して。

 推しを生み出して。

 推しに狂って二次創作をしてイベントが終わるまで正気に戻らないで。


 これで地球に未練はない。


 イベントに行けばみんなまた自然と原稿をはじめるから。


 わたしのことはみんなの記憶から消去で。

 痕跡も消して。


 みんなわたしのことは忘れて幸せになってね! とくにお母さん! こいつらにはわたしがちゃんと復讐するから!


 神相手に、包丁と復讐心を持って旅に出られては困るのだ。

 お母さんまで殺されるかもしれない。


 自分の復讐は自分できちんとしますので、どうか先立った不幸をお許しください。


 そんなわけで!

 わたしの新しい人生である。


 わたしの行く世界は魔法があるとのこと。


 神さまくんにチラッと見せてもらったら、うん。己の足で走ってた。


 馬車ですらない。

 自動車なんてどこにもない。

 自転車三輪車一輪車すらない。


 それだけでもうなんかわかるよね。

 日本生まれの現代人には無理だなって。


 獣人とかそういう種族もいるみたい。

 ま、それは横に置いておいて。


 わたしの希望!

 図書館!

 わたしの夢の図書館!


 わたしの実家の離れとひとり暮らしの部屋とレンタル倉庫に保管してる本は全部持って行く!

 そして新刊! 再録集も!

 あらゆる薄い本をわたしに読ませてください。お代は神さまくんが払うので。イベントに行かせて代理購入してもらうので!


 行けるらしいんで! 

 鼻の下を伸ばしてるような神さまくんが!

 何故そんなに急に薄い本に興味が出たのか、わたしには、きっとおそらく全然無関係だけど! 行ってみるんだってさ!


 そんなこんなで集める夢の図書館を星になった強欲なわたしにください!


 もうわたし亡者なので!

 みんなの記憶からも消えますので!

 殺されたわたしの棺という図書館に入れさせてください!


 そしてね、薄い本を発行されない方の創作物をね。インターネットに上げられた創作物すべてをね。読ませてください。

 インターネットがないと生きられないよ。ゲームもしたいし動画もみたい。

 課金もさせて。わたしの生きる糧に課金をさせてください。その他もろもろ。


 簡単に言えば地球の推しは捨てられないってことだね!


 というわけで!

 大富豪は親族たちへ莫大な運まかせの遺産を遺して旅立つのである!

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