第18話 神さまくんは悪魔?
「ダンジョンで素材搾取出来るようにするときも来た。枯れない素材がダンジョンにはある。ほんと考え変わったわ。科学の地球じゃないもんね。ジェフクタールじゃディーゼル車すら永遠に出来ないよ。魔法の箒は諦めないけど、飛ぶ魔物もいるもんねえ」
ほんっとようこの世界で戦争出来るわ。
感心するわ
戦争してたら第三勢力の魔物が来るんだよ。
最初からいたりもするだろう。
それでも戦争をする理由があるんだよ。
絶対許せないのも復讐するのも当然だよ。
切羽詰まったのもわかる。
けどさ、もうお互いさまなんよ。
先祖代々、お互い殺し合ってる。
どっちも被害者で加害者。
どっちも冷酷で残虐。
わかる。でもね、駄目。
わたしの意見が最優先。
神は理不尽なものなのさ。
恨むならちゃちな武器ばかり長年量産してた自分たちとこの世界から去った神さまくんを恨んで。
あとはわたしに星を落として殺したペガサス野郎だ。
無くなったからまたヨロシク女神さまじゃねえんだよ。
早くしろまだかよって知らねえよ。
わたしは神さまくんじゃねえんだわ。
けどね、この長い長い戦争の原因は神さまくんだよね。
「聖地一新するタイミングで今思いつくアイデア全部やりたい、各国の門と神殿試練の塔ダンジョンの配置変えもしよう。長い階段はわたしの聖地じゃめんどいだけだし狭いんだよ。門を通れる限界もあるよね。長い階段上がって門がある。そんな時代はもう終わりだ」
女神の新時代の幕開けだよ。
聖地バージョンアップだ。
運営が変わったんだ。
神運営にわたしはなる!
わたしが出した結論がこれ。
もう好きにやる。
完全に吹っ切れた。
ジェフクタールの絶対変えられない部分である魔物の多さ、そういったものの苦労はどうにも出来ないけど。
しなくていい苦労は聖地で金払ってしない。
そうなれ。
簡単に言うと王族の結界っていう便利なものがジェフクタールにはあるわけじゃん。
鱗族を見てごらんよ。
そういうことだよ。
安全に通れる道があってもいいじゃん。
安全に泳げる海中トンネルがあってもいいじゃないか。
一生王都と聖地しか知らない人たちだっているんだから。
戦いたい人はどうやったって戦うんだよ。魔物と戦えばいいって創造主が考えたんだから。
王は民を愛し民は王を愛してる世界。
同族にはとても優しい。
敵認定した他族にはひと欠片の慈悲もない。
でもジェフクタール人同士で戦わないように出来る世界なんだよ。
普通は聖地でしか会わないんだから。
獣人族と人族は神界みたいな特別空間で徹底的にメンタルケアをして仲良くなってから、物理的に引き離すよ。
獣人族と人族はジェフクタールで最も出生率が高い一番二番の種族なんだ。
人口増加で国土を広げないとどうしようもない国なの。
それが異常に近い隣国同士だったの。
神さまくんの理想のせいで。
今はどちらも人口が減少してるから、避妊具まで教えて物理的に国を遠く離すよ。
絶対近くに住んじゃ駄目だから。
悪いことは全部、悪魔と呪われた土地のせいだった。
神罰じゃなくて悪魔退治だったってことにすると決めたよ。
神さまくんは逃げたそいつを退治するためにこの世界から去ったんだよ。
まだ残ってたのは女神が退治したんだよ。
残ってた悪魔が女神を殺そうと正体を現して石像を破壊したんだよ。
他の種族だって、女神の石像破壊事件見たやついっぱいいるでしょう?
信じられないことやったでしょう?
悪魔のせいだったんだよ。
女神は今だチャンスだと思ったんだろうね。
聖地で突然とんでもなく悶え苦しむ門番たちがいたでしょ?
でもそいつら生きてるでしょ?
誰も死んでないでしょ?
悪魔の断末魔の苦しみだったんだよ。
よかったね。
人族と獣人族には、あなたたちは一切悪くないとメンタルケア。
女神の使いがそう言い切れば信じる。
悪人よりも被害者の立場を選ぶ。
あとは国ごとお引越し。
悪魔に呪われてた土地はまだ浄化に時間がかかるから、王から赤子まで完全に浄化された人族と獣人族は国ごとお引っ越しだよ。
完全に浄化された人族と獣人族を悪く言うやつは、誰もいなくなった呪われた土地に連れて行かれそうになってるんだよ。
早くお風呂に入って靴を磨いてキレイキレイしよう。
きっと呪われた土地の土のせいだ。
悪魔の囁きは呪われた土地から吹く風のせい。
土がついたのはその風が運んでるんだ。
悪魔の囁きが聞こえたら、耳をクニクニと揉んで追い払おう。
美味しいものを食べてお風呂に入って、よく寝よう。
それから女神に報告のお祈りしておこうね。
女神の石像破壊事件は悪魔のせい。
残虐行為は悪魔のせい。
虐殺したのも拷問したのも全部全部、本当はぜーんぶ悪魔のせいだったの。
いいところにお引っ越ししようね。
各国にスーパー派遣社員が永住するからね。
教会懺悔室のようなものだよ。
今後はカウンセラー兼アドバイザーに国でよちよちしてもらおうね。
よちよちバブバブで終了予定だよ。
これから大富豪になる予定の鱗族はお口チャックな。
なんとなく察してる一族たちは深く考えるな。
以上だ。
実は神さまくんが悪魔?
いいぞ! コソっと言っとけ。
原因は完全に神さまくんのそりゃそうなるわなという諸悪の根源配置ミスその他だ。ヒヒーン!
わたしが神として考えるなら、長い目で見て人族獣人族が滅ぶの待ちだったよ。奇跡が起こればいいなあレベルで。
お互いもう忘れましょう仲良くしましょうなんてあり得ない。
巫女と供物を捧げる人族には鉱山復活。
聖地の神殿で大勢で祈る獣人族には作物を一夜にして実らせる。
誰がそんなことをやっていたんでしょうね。
神は絶対に自分の味方だ! 自分は絶対に正しい! と思うよね。
あいつらを殺せ! 戦争しろ! 早く争え! っていうプレゼントだと思うよね。
仲良くしてねヒヒーン! だよ。
途中でリセットボタンを止めたら、わたしの石像破壊事件になるものね。
いつもこれだけは絶対にプレゼントしてくれただろ! ってね。
リセットボタン止めれないから去ったんじゃない?
ギュルヴィくんが産まれたってことは一族の危機だ。
とうとう聖地で他族巻き込んでの殺し合いだったのかもね。
特に子どもは聖地でなら自分でも殺せるはずだって思ってたんだから。
ギュルヴィくんが産まれた原因を考えたら、人族獣人族を絶滅させる以外どうしようもないから去ったんじゃね?
ギュルヴィくんが期待してた女の子じゃなかったからかもね?
後悔してたんでしょリセットボタンやってたの? 人族と獣人族以外の種族にはこんなことしてないもんね。
地震雷火山噴火させて怒ってもどうにもならないよ。
人族の作物流せば、獣人族に「ちょうだーい」「いいよ」ってなると本気で思ってんの?
火山噴火させれば獣人族が怯えて「こわーい助けてー」「いいよ」ってなると考えたの?
人族は、早く獣人族を殺せ何をしてるんだって神さまに怒られてると思ってたよ。
獣人族は溶岩が流れた火山で黒曜石を見つけて、神さまが人族を殺すために武器を授けて下さった! って黒曜石の槍を作って大喜びだよ。
呪われた土地に信憑性が出て助かったわ。
あいつらを殺すのは、神から自分たちに与えられた使命だとずっと信じてた。
あいつらだけは、神が絶対に殺せと言ってるんだとずっと信じてた。
あれは本当は、神ではなく呪われた土地の悪魔がやってたんだってね。
まあ、神さまくんはずーっと苦々しく思っていただろうさ、「こいつらさえいなければ上手くいく世界のはずなのに」ってね。
この! 神の影響がある! ジェフクタールで――――!
ペガサス野郎はわざと星を落としたのかもしれないとも思うよ。
星に任せれば本当にただ見守るだけになる。
聖地が血と死体だらけになる。
それはやだなあと思っていたのか。
神の神殿や石像が血塗れたまま壊されても、そのまま放置されるのが嫌だったのか。
それなら今のうちに違うやつの神殿や石像にしておけばいいと考えたのか。
わたしは、知りませんけれど。
ガトーショコラ罪と殺人罪のおめーは絶対許さねえからな!
運営としてなら、旧運営のガチヤバ配置ミスですね。ハハ……。緊急メンテナンスッ!
すみませんでした。
お詫びのアイテム送りますだよ。
わたしはこの世界に永遠にいる。
楽しくない世界より楽しい世界になるように運営して見続けるわ。




