第15話 鉱石族のゴードル
「白い子だ。白い子が現れたぞ」
「ああ! よかった。会えた」
「よかった! 本当によかった!」
王子の声にホッと胸を撫で下ろす。
遠目に小さな白い子が見える。
白い髪に白い肌で赤い瞳。腕、脚にも模様のように白い鱗がある他族の子ども。
その昔、俺たちの先祖に救いと絶望をもたらした白い女と同じ一族、だと思う白い子。
ほぼ間違いなく同じ一族だと思われる。
初めて会った日に王へ報告をしたら、伝説のように交流しろと激しく泣かれた。
それから、翌日には、伝説と同じく白い子を聖地で待つようになった。
「酒をくれぇ白い子ー!」
「酒の実を山程持ってておくれぇ!」
「騒ぐな祈るなまだしゃがむな! 聖地だぞ! 白い子が怒ったらどうする! 白い子が寄って来るまで大人しく立って待て!」
「んぐっ!」
「ごめんよ王子」
聖地では静かに。
聖地で酒を飲まない。
白い子を怒らせない。
それが王子との約束だ。
冷静な王子は俺たち夫婦の見張り役である。
白い子が持ってる酒の実は、俺たちの国の伝説にある酒の実だ。
水に赤子の爪ほどの小さな酒の実を入れると、すぐに実が溶けて伝説の酒になるのだ。
最初はそりゃあ驚いた。
白い子が持ってた白い器に、飲めるだろう綺麗で透明なただの水。その水に小さな実をぽちゃんと入れると、ふわんと匂いがしたのだ。
酒がそこにあった。
俺の酒だと思った。
だが、白い子はその酒をくれなかった。
かわりに酒の実をくれたんだ。一粒だけ。
国に戻って、王の前で水に入れてみることになった。
伝説どおりなら、一粒で一樽。
ぽちゃん、と入れた瞬間、俺たちは伝説が再び始まったことを知った。
王子が「念の為に」と言って、王族と白い子に会った俺と俺の妻ジュリンだけで樽に入れてみてよかった。他のみんながいたらさぞかし大変なことになっただろう。
その日から俺たちの、白い子から一粒でも多くたくさん酒の実をもらおう会議がはじまった。
白い子は伝説と同じく、絵を見せてくるのだ。
俺たちはその絵を理解しなければならない。
一粒でも多くもらうために毎日会議だ。
伝説の酒はとんでもなくうまい!
あれは神の酒なのかもしれない。
聖地で白い子と同じ容姿の者をどれだけ探してもいないのだ。
伝説の白い女もそうだったらしい。
白い子のように、白い鱗がある可愛い赤い瞳の子どもなんてどこにもいない。
神殿で目を凝らして一日中探しても同族らしき者はいないんだ。
伝説の白い女も、白い鱗でそれはもう美しい赤い瞳だったらしい。
黒い鱗はいても白い鱗がある者がいない!
クリクリとした赤い瞳でもない!
肌も白くない!
そんなはずはないと聖地に行ったやつは泣きながら帰って来るのが常だ。
必死に探してたせいでもう目が痛いし、悲しいから涙が出るんだ。
もう鱗があればいいと、いつも黒い布を巻いている色黒の肌の他族の門の前で見ていても、白い子は出てこない。
白い子の絵を掲げても反応がない。
何日待ってても出てこない。
白い子は門から離れた場所に、突然現れる。
伝説の白い女と一緒だ。
白い子だけなんだ。俺たちの救いは。
わかってる。
先祖のときのようにいつしか老いた白い子が聖地に来なくなって、国中で絶望して泣きじゃくる日が来るのは、俺も王もみんなわかってる。
でも白い子はまだ子どもだ。
俺の孫の代にあの酒を飲ませなければ、きっと絶望しないだろう。
まだ俺に孫はいないが、なんなら俺の子はまだ結婚してもいないが、俺とジュリンが結婚したらすぐに閉じ込められて無理矢理禁酒させられて、ようやく授かって、元気に産まれた俺たちの子までは大丈夫なはず。
どうして夫婦で禁酒しないと子が出来ないし、産まれないんだろうな。
きっといつか絶望して暴れて泣きじゃくる俺たちの子。頑張って頑張って頑張れ。
禁酒のことを知ってたら誰も結婚しないだろ。
みんなが二回か三回は経験した絶望だ。
腹がどんどん大きくなる妻はもっと大変なんだ。
どうせ俺たちは人生何度も泣きじゃくって絶望する運命なんだ。
子が無事に生まれた感動はすごいけどな!
それでも、そんな俺たちでも、どうにかして白い子の寿命も知りたい。
あとどれくらい生きてるのか知りたい。
白い子の健康長寿を神に祈るのは俺たちくらいだろう。
白い子はなんか他の一族とも交換しているが、酒の実は他族にはあげてないからな。
俺たちは白い子が聖地から消えるまでずーっと見てるからな。
うちの王子も聖地では白い子の護衛だからな。
なんか交換し終わった他族も増えるけど、俺たちが一番先に交換出来るし、うちは王子まで護衛してるからな。
白い子が消えるのも伝説と同じ。
もしも怒らせたらその場で消えるらしい。
次に会うときは酒の実が減ってるらしい。
先祖は白い女を怒らせたことをとても後悔したようだ。
酒の実は白い子からもらうしかない。
王が酒の実を一粒、号泣しながら土に埋めても伝説と同じく芽が出ないんだ。
白い子は酒の実を土に埋めて、木に実がなるというような動作をしたんだ。伝説どおりかと思いつつも酒の木がどうしても欲しくて、王が号泣しながらも埋めたのに、駄目だったんだ。
やはり酒の実は白い子にもらうしかない。
それは先祖と同じ結論だった。
試練の塔の扉も開かないからな。俺たちの先祖が失敗したせいで。
「白い子! よく来たね」
スッとしゃがんだジュリンが白い子だけに見せる笑顔と声色で、白い子に挨拶する。
ここからが勝負だ。
俺も王子もスッとしゃがんで、笑顔だ。
王のためにも勝たなくてはいけない。
俺は王に託された白い子が喜んで交換してくれそうなものを入れた袋をぎゅっと握った。
俺たちが得意なのは鍛冶だ。
剣でも盾でも鎧でも、最高のものを作れる。
聖地で見ていればわかる。
俺たちほど鍛冶が得意な他族はいない。
だが、白い子は武器や防具は絶対に受け取らないんだ。
持てないからかもしれない。俺たちが持って送ってやると身振りや絵で伝えても拒否される。
どの門に行くか見たいのに。
それかやはり白い女と白い子は神なのでは? と思うが、女神の像に熱心に祈ってから消えるし、どうも違うようだ。
「ん?」
「はぇ?」
「な、なぜ? 白い子? なに?」
いつもなら妻の次は袋を持ってる俺に挨拶なのに、前に見た待ってての絵を見せられて混乱する。
ジュリンも王子も大混乱だ。
なんだ? 他族か?
俺たちが一番だろう白い子!
『――――』
白い子が何か言っているが、わからない! 『キュキュン』と『きゅ』と『キュッテ』くらいしかわからないんだ白い子!
泣き出す俺たちに困ったように笑う白い子。
俺たちはとりあえずしゃがんだまま、泣きながら白い子を取り囲んだ。
そうしたら白い子がうれしそうに頷いた。
なんだ、こうして囲むのが正解なのか?
逃さないという気持ちでつい取り囲んだだけなんだが。
「くれる、のかい布を?」
「いや、違うみたいだ。持つ?」
「立って、この木に、俺がこの枝に、この布を、この紐で……、取り囲むように……、こうか!」
白い子が手を叩いて喜んだ!
正解だ! これが白い子と俺の絆だ!
見たか隠れて俺たちを見ている他族ども!
これが白い子と俺たちの絆だ!
白い子の真似をして、白い子と同じ白い布を顔に巻いてても、巻いてない立派な髭の俺たちと白い子の絆が一番だ!
髭がないジュリンは髪が立派だ。
ふわってしてる。ふわって!
立派だ!
「よくやったゴードル!」
「さすがだよアンタ!」
「ガハハハハハ、……」
「……」
「……」
白い子が自分の口のあたりを手で隠した。
白い子の静かにしろの合図だ。
俺たちが黙ると白い子が来いと手まねきする。
「この木に吊るした狭い布の中に?」
「テントのつもりかい?」
「わからないが、白い子が入れと言うなら僕たちは入るだけだ。行くぞ」
広げると結構デカかった布を枝に紐で吊るしてテントのようになった中に入る。
俺たちは他族よりも背が高く大柄だから狭いが、布に囲まれるだけだ。
周りが見えなくてもここは聖地。順番待ちの他族もいるから大丈夫だろう。やつらともそれなりの付き合いだ。
俺たちはまたスッとしゃがんだ。
「これを、くれる? 違う? 違うな。また返す。返せばいいんだな。たぶんそうだな」
「やってみろゴードル」
白い子に渡されたこれは、髪飾りだろうか?
俺はそれを髭につけた。
俺たちの髭はたっぷりと生えてる自慢の髭だからな。
髭が生えない妻のジュリンなら髪飾りだろうが、俺や王子なら髭飾りだ。
『静かに! おれの言葉わかる?』
「〜〜ッッ!?」
「ゴードル?」
「どうしたゴードル?」
『静かに。静かにって言って、おれの言葉はそれをつけたお髭の泣き虫さんにしかわからない。お髭の泣き虫さんの言葉はおれにはわからない。だけどね、とっても大事な話があるんだ』
「し、静かに。驚くぞ、自分の口を塞いでくれ。いいか王子、ジュリン、言うぞ、伝説を超えるぞ、言うぞ、静かにだぞ。白い子の言葉がわかる」
「――…………ッッ!」
「ンンン!!」
白い子が何度も静かにしろの合図をする。
布は周りに見えないようにするためか?
なんか魔法をかけた布だと思ったが、しゃがんだまま口を塞いで、体勢を崩さないように悶絶するこの姿は他族に見られたくねえ。
王子たち頑張れ。すっ転ぶなよ。俺だってすっ転びそうだし大混乱してる。
なんだ? 白い子の寿命を聞けばいいのか?
それとも酒の木? 酒の実?
いやまずは白い子のお名前だな。
他族のことはわからんが、あるよな名前?
名前はあるだろう。きっと。
俺のことだと思う言葉『キュキュン』
白い子は俺を見てそう言うし、白い子の真似をする他族も、白い子が消えて解散する時に俺に向かって『キュピュン』だの『キュコン』だのと挨拶のように言うし。
俺はキュキュンだ。
ん? キュキュン、白い子は俺のことをなんて言った?
それから、大事な話があるって、そう、白い子が言ったような……言われた気がする? する。
大事な話? それは王子にだ!
俺は髭飾りを外して白い子につけた。王子を何度も指でさした。そうしたら白い子が頷いた。
通じた! よかった! あ! 言葉わかるんだった。いつもの癖だ。
「白い子が大事な話があると言ってる。頑張って頑張って頑張れ王子」
「だ、大事、大事な話?」
「あと、そう、髭飾り。いや、白い子には髪飾り。これをつけないとわからないらしい。白い子が髭飾りを王子につけたら、白い子には俺たちの言葉がわからなくなる」
ちらっと白い子を見ると喜んでる!
正解だ!
見たか布を巻いてる他族って見えないな。
「ね、ねえアンタ、まさか白い子がき、禁酒しろって言ったのかい?」
「いや、言ってない」
「ッ紛らわしい応援をするな!」
『――』
「あ、ありがとう」
白い子が王子に髭飾りを渡した。
頑張って頑張って頑張れは、禁酒のときだもんな。でもそれくらいの大事だろ。
禁酒でも泣きじゃくるだけで大暴れしなかった冷静な王子なら、白い子が禁酒――、言わないよな白い子?
俺たちも王子夫婦ももう子はいるからな?
もしも禁酒の話になったら、王子が気絶してすっ転んでも、俺が王子から髭飾りを取って白い子に髪飾りをつけて説明しよう。そうしよう。
それからの王子は実に大変そうだった。
「僕は鉱石族の、あ、僕の言葉はわからないか」
「うんわかる」
「うん」
「ッ、待て、待って、は?」
「な、んだと?」
「ああ、ああ……」
「いや、でも、そう?」
「鱗ない……………………鱗ないは悪い意味か」
「ああ、なるほど。それで鱗がないということなのか」
「ああ。ああ。うん。ありがとう。それなら僕たちは鱗ある一族だ」
「いやいや、え?」
「そう! その話も聞きたかった」
「う、ああ。な、んという……」
「あー……。そういうことか……」
「そうか……ごめんよ……」
「うん。うん。明日でもいいけど」
「もっと欲しい」
「もっと欲しい」
「お願いだ鱗ある鉱石族は何でもする」
「…………ッッ! う、ん。実はそう。そうなんだよ。難しい問題でもある」
「わかった。約束だ。鱗ある鉱石族の王子ゼガロフは白い子を絶対に裏切らない」
「うん。明日でもいいけど」
「次は王を連れてこようかな。泣いちゃうかな」
白い子は普通に話していたが、王子の顔色は何度も変わった。
俺とジュリンもとてもドキドキした。
わかっているだろうが、王子。
王はやめろ。
国一番顔が怖いあの王を、可愛い白い子に見せるのは危険だ。
本人も青褪めて遠慮してるだろ。
王も気にしてるんだやめてやれ。
絶対泣くからな。うちの王が。
それを見た白い子が泣いたらどうする。
何の話をしてるのかわからないが、あとで絶対に王子を止めよう。
もし、王の前で白い子が笑ったら、王が白い子を抱っこして泣きじゃくるだろう。
俺もジュリンも王を白い子から引きはがす自信がない。
『――――』
「明日でもいいのに。仕方ないね諦めよう」
白い子に髭飾りを返すと、王子は強く頷いて白い子に言った。
「僕は鱗ある鉱石族の王子ゼガロフだ。会うのは明日でもいいよ。いつでもいい。鉱石族の門番に合図してくれ。白い子なら鉱石族はすぐわかる。酒の実がもっと欲しい話もいつでもしたい」
諦めてないじゃないか。
うちの王子はこういうところがある。
実は国一番諦めが悪いんだ。
『――――』
白い子は明日は駄目みたいだ。
白い子の合図は明後日。
だがいつでも門番に合図ってのはいいな!
さすが俺たちの唯一冷静な王子だ!
「ゴードル。白い子への貢ぎ物を」
「おう」
俺は笑顔で白い子に袋を渡し、白い子から袋をもらった。
酒の実だ! 今までで一番重いかも!
ありがとう白い子! ありがとう!
「ゴードル、ジュリン、この布から出たら喋ってはいけない。それから、この布の中に危険はないと他族たちに見せたい。バサバサと何度か布を持ち上げて、この中は安全だと見せてあげよう。喋るなという理由は国で話す。とにかく布をバサバサとして、いつものように次は他族たちだと他族に呼び掛けるな。一切喋るな。いいか、バサバサが白い子の他族たちへの合図になる。それから外で白い子の護衛をするぞ。バサバサしたら、次は他族たちの番だ」
その後、国に帰った俺たちは大騒ぎになった。
白い子の国じゃ、酒の実を植えたらすぐに芽が出るらしい。芽が出ないなら無理だそう。
土に埋めた酒の実は、やはり消えて無くなるそうだ。
俺たちは酒の実を埋めた場所の土を何回も何回も、みんなで探したんだ。
土に埋めたら、駄目だったら、無くなるのか酒の実……。
「運が悪けりゃどれだけ酒の実を無駄にしても芽が出ないだって!?」
「絶対芽が出るかもわからんのだろ……」
「駄目だ! 絶対消えて無くなるなんてそんなの駄目だ駄目だ駄目だ!」
「静かに! ダンジョンで髪飾りや髭飾りのような宝を手に入れたやつは持って来てくれ!」
白い子の国では王都で育ててるらしい。
どこだその王都? 教えてくれ。
とにかく他では芽が出ないそうだ。
うちの王都じゃ駄目だったんだよなあ。
王が植えたのは一粒だが、うちの王都は駄目だろう。
一粒無駄にした王都だし。
先祖も無駄にしたから二粒か。二粒も……。
この国の王都は駄目だな。
他の話はまあ、わからん!
盗み聞きする悪いやつがいるのはわかった。
とにかくダンジョンで喋らないことだよな。
あとはいつもどおり。
俺たちもダンジョン以外の場所じゃ白い子たちの前でしか喋らないんだ。
そう難しい話じゃない。
髭飾りを持ってたやつはかなりいた。
多いな。
王子もこんなにいらんだろう。
「いいか! この宝をつけて聖地に行くな! 他族がふざけたことを言うかもしれない! それに僕たちが怒れば聖地で乱闘になる! 白い子からもっと話を聞くまで、この宝はつけるな! 聖地で、ダンジョンで喋るな! もしこの宝を他族に奪われても! 壊されても! 絶対に怒るな! 白い子が怒るからな!」
白い子が怒る。
俺たちに理由はそれだけで充分だ。
みんな理解した。
王も頷いている。
「難しい話はサッパリだ! だが! 俺は酒を飲んで掘って打ってダンジョンで試してしけこむだけだが、神と白い子を怒らせるわけにはいかん! 宝は全部ゼガロフにやって、俺たちはダンジョンで黙ってりゃあいいんだろ。それくらい出来る! みんな髭飾りに気をつけて帰りゃあいい! あとはお前に全部任せ――、そうだ! 今日からゼガロフ! お前が鉱石と酒と仲間を愛する鉱石族の王だ! 白い女の伝説を超えた日にピッタリだ!」
王もこう言ってる。
いやドガロフは王をやめたか。
ん? 王子が王?
いい考えだドガロフ! お前の顔は国一番怖い顔だからな!
「酒の実をたくさんもらうようにしてくれよ! 伝説の宴会だ野郎ども! 今日から俺の一番冷静な息子ゼガロフが王だ! ゼガロフ王の誕生を祝え! 祝いの樽を派手に鳴らせ! ガハハハハッ!」
国一番冷静な顔の王に任せてりゃ大丈夫だ!
ガハハハ!
それからしばらく後――。
あの日、本当に王子が王になってよかったと、俺は何度も前王ドガロフの背中を叩くことになる。
間違いなくドガロフの英断だった。
ありがとうドガロフ。
ありがとうゼガロフ王。
ありがとう白い子。
ありがとう女神さまの髭飾り。
腹が立つこともあるが、他族と言葉が通じるって凄いぜ。
日々実感してる。
言葉がわからないって、怖いな。
だから白い子。
まだダメのまだは、あとどれくらいだ?
俺たちももう顔に布を巻いておそろいだろ?
そろそろ俺たちに、白い子のお名前と国の門を教えてくれよ。
あんまり行かないようにするから。
見てるだけだから。
その門の一族を捕まえて泣いたりしないから。
俺はお髭の泣き虫さんだから。
お名前すらも教えてくれない白い子よ。
頼む!




