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第145話 仲良し


 ファヌアス王とリスレイさんが宿屋に戻って来ました。

 リスレイさんの奥さまアイシェさんがいるお部屋の前の廊下で、こじらせた妖精くんも一緒にお話し合い中です。


「あれだけ躾けても駄目だったか……」


 リスレイさんが反省したように、後悔しているように言ってます。

 宿屋の鱗族対策の鱗族専用特別プランでね。

 希望があれば、室内の様子をカメラで記録してるんだ。

 アイシェさんがいるお部屋は鱗族専用に用意してる特殊なお部屋なの。


「ギュルヴィが生まれてからは朝の躾と夜だけで、昼間はほとんど監視もせずに自由にさせていたからね。それもようやくだ。ギュルヴィが赤子のころは皆、ギュルヴィのことしか考えられなかった」

「ギュルヴィさまが変に思わない方が大事だったからな。女たちもギュルヴィさまが第一だ。ミラクルくだものグミを、妻に食べさせるべきじゃなかったか……」

「白鱗の姫巫女が亡くなった後の記録も、女たちが全員、異常なほどおかしくなったとあっただろう? まだ、まだあの時代の女たちよりもいいはずだ。少なくとも…………、アレだ。まだいい」


 禁止ワードな件でしたかファヌアス王。

 てか、白鱗の巫女の影響ってそういうのもあったのか。

 見落としてたわ。

 これは女神反省な件。


 今のアイシェさんの状態をフクフォンで、生中継で見てるファヌアス王たち。


「まだ、理性は残ってるか」

「窓や壁を壊そうとはもうしていない。まだ考えることは出来ているよ。ギュルヴィの前ではいい子に出来るはずだ」


 マジか……。

 あー、理性がなくなる。

 ヤバいときは壊せないとか考えずに、延々と破壊行為とかを続けるのかも……。


「どうするの?」


 心配そうなこじらせた妖精くん。

 引くのもあるよね。

 女神もドン引きな気持ちもある。

 ここまでだと思わなかったよ。


「発散が大切なのだろう。今日のアレで俺が妻を発散させきれてないというのは、実に情けないことだが」


 ルジェタパパのアドバイスは、工務店の水色のカノンにファヌアス王たちを別室に案内させて、石ころホラーの謎のお兄さんが直接コソッと伝えたそうです。

 ファヌアス王とリスレイさんが試してみないと、ガチで鱗族の既婚女性に有効な作戦かわからないからね。


「国三番の夫ではなかったね」

「……兄上たちもこうなる」


 火花ですな。

 ファヌアス王がチャンスとばかりに、リスレイさんをからかってる雰囲気です。

 国一番の夫は、国一番ハードなのはリスレイさんのお兄さんか……。


「ひとりで大丈夫かい?」

「…………」


 言葉に詰まるリスレイさん。

 ファヌアス王は、フフンという感じです。


「妖精くん、何かないか?」

「え?」

「俺はこれでも爺なんだよ」


 ファヌアス王に頼りたくなかったと思われるリスレイさん。

 見た目的に、若いおじいちゃんとギリギリ呼べるリスレイさん。

 女神的には五十代に見えます。

 こじらせた妖精くんが元気なお顔です。


「ファヌアス。カタログを出して」

「ああ」


 パラパラぱらり。

 ル○ェタ印のアイテムカタログのページを迷いなくめくるこじらせた妖精くん。


「これだよ!」


 自信満々。

 ズビシッとこじらせた妖精くんのちっちゃな人差し指が、とあるル○ェタ印のアイテム紹介ページを指差しました。


「これはね、終わりがないんだ。いつまでも」


 熱が入った商品説明。


「ほう……」

「これは私たちの苦労を大いに減らすアイテムだよね」

「……知ってたのか王?」

「国三番の夫なら必要ないだろ?」


 バチバチバチッ!

 すぐ火花だな、このふたり。


「王。これを今すぐ買え」

「いらないだろ国三番の夫は」

「これだから未婚は」

「私は青のカノンと夫の苦労が一切ない幸せな結婚をするからね。妖精くんたちにも囲まれて幸せなだけの結婚生活をおくるよ」


 ちょ。

 ファヌアス王のハーレム計画かこれ?

 青のカノンは止めて欲しいし、ルジェタパパがとにかく頑張るから一生マザコン連合だろうけど。

 あとハーレムでもいいよって笑顔で言うのはこじらせ村系だけだわ。


「国には女性が少ないし」


 ルンルン。

 うれしそうなファヌアス王。

 女性の紺色のカノンにしておくれ。

 せめて二十年後くらいに。


「…………王は世継ぎを作る必要がある。カノン族たちは俺の孫たちに任せろ」

「……奇跡の国だよ。世継ぎなんていらないよ。ああ、必要ならネフェティの子でいい。世継ぎはネフェティの子だ」

「姫は結婚をすればもう姫じゃないが?」

「ネフェティの子は王族だよ。そうだろう妖精くん?」


 巻き込まれるこじらせた妖精くんの巻。


「えーっと、絶対内緒だけど。実はね」


 ぐあああああああ!

 こじらせた妖精くんがあの情報を!

 カノン族ならジェフクタール人と子作り可能情報をファヌアス王たちに流しやがったああああ!

 希望者限定ですけどもー!

 本人が希望したら、わたしは……。


「「素晴らしい!!」」


 仲いいなこのおふたり。

 んで、めちゃくちゃテンション上がってる。

 ギュルヴィくんと白のカノンの子どもが楽しみだと先走ってやがる……っ!

 それは、まあ、もしもあれば、それは確実に体感二十年後くらいだろうし、オフクロさんも楽しみな気持ちわかるけれども!


 アイシェさんのことを先にどうにかしなさいな。カノンたちはいいから。

 獣族と人族と森の葉族には絶対バレるなよ。

 禁止ワード、ちょっと難しいが増やすか。

 カノン族が他族の子どもを産める情報などは極秘なのだ。


「まあ、爺も年だからね。仕方がないね。この秘密印のアイテムを買うよ」

「……」


 リスレイさんが複雑なお顔をしています。

 買わないと、きっと困るからでしょう。


「わかった! 注文するから待ってて」


 フクフォンでル○ェタ氏にご注文するこじらせた妖精くん。

 瞬時にル○ェタ印のアイテムが届きました。

 宿屋の廊下に……。

 今は鱗族貸し切り状態だけど、ルジェタさんに言っておかなきゃな。

 メモメモ。


「これを押すとね」


 商品説明です。

 説明をよく聞いたリスレイさんが、自分のミラクル鞄にル○ェタ印のアイテムを収納しました。


「もし、抜け出したら頼む」

「ああ」


 臨戦態勢。

 厳戒態勢か?

 鍵を開けて素早く室内に入ったリスレイさんであります。

 成功、だな?


「大丈夫だったね」


 こちらも素早く外から鍵を閉めたファヌアス王である。

 そして再び取り出したフクフォン。


「み、見ちゃっていいの?」


 女神もこじらせた妖精くんと同じことを思いました。


「あの秘密印のアイテムで駄目なら、また考えなければいけないし。爺を少し休ませないと」

「あ、そっか……」


 真面目に監視だった件。

 これが鱗族男性のお仕事というか、日常生活というのか。


「…………」


 めちゃくちゃ真剣なおめめのファヌアス王。


「大丈夫?」

「女は、いつ満足するのかな?」

「え?」

「男には終わりがある。女の終わりはどこだ? 明確な終わりがないよね」

「うーん。気絶、とか?」

「ああ。それがあるか」

「起きたらまた、がなくなれば」

「……ああ。そうだよね。一日では無理そうだよ。白鱗の姫巫女が亡くなった後は、とても長く続いた問題だったようだし。そうだよね」


 ため息と真面目なトーンでのお話。

 うちの絵描きや字書きもこういう感じでお話したりしてますわ。

 真面目な話してんのか、と思えばお話のテーマはそういう系。

 あるあるですわ。

 しかしまあ、長いですね……。


 女神は癒されたいので、ギュルヴィくんたちを見守ります。

 ちらっ。


「このフクフォンミニカジノ券が欲しいわ」


 お。

 ネフェティ姫とギュルヴィくんはカジノのお話中ですね。

 ネフェティ姫がカジノの本をとても熱心に見てます。

 娯楽島のガイド本ではなくカジノだけの本。

 カジノの詳しい情報が記載されてます。

 ネフェティ姫とギュルヴィくんはカジノの景品一覧を確認するように見てます。


「お部屋にいてもカジノ」


 ギュルヴィくんがビックリしてる。


 フクフォンミニカジノ、正確にはDL券ですね。カジノコイン三千枚の景品です。

 この券がないと、フクフォンでカジノは出来ません。

 電子マネーのように、カジノコインは電子カジノコインのように出来るんですよ。

『今日はもうやめた』と、手持ちのカジノコインを冒険者カードかフクフォンに記録するんです。

 で、カジノアプリがあれば自国でポチポチしてもいい。

 カジノコインの残り枚数がなくなったら、電子マネーで追加購入も出来ます。

 現金やカジノコイン交換券なら、一度カジノに行く必要があります。


「フクフォンってすごいや」


 感動してるギュルヴィくん。

 ちなみに景品交換は自国にいても出来ます。

 手もとに瞬時にポンッです。


「お部屋の中でも沢山遊べるわ」

「うん!」


 女神がインドア派でもあるが故に。

 アウトドアも好きだけどね!

 面倒なお気持ちがあると、インドア派になるんだよね。

 いつでもアウトドア派って言えるひとは凄いなと思います。はい。


「王族の結界五百日砂時計はカジノコイン十万枚だよ姫姉ちゃん」

「これが必要なのよね」


 移住計画だからね。


「これならフクフォンで妻も頑張れるし、とてもいいわね!」

「うん!」


 妻は聖地だと、基本お部屋生活か。

 他族がいるお外に出せないってなるよなあ。

 いつか変わればいいな。


 ちらっ。


「まだ気絶しないね」


 宿屋の廊下でフクフォン片手のファヌアス王は、アイシェさんの気絶待ちでした。

 扉にもたれて、監視中であります。


「うーん。フクフォンでお部屋の様子は確認出来るし、リスレイも呼んで果実水でも飲む?」


 アイシェさんの放置を提案したこじらせた妖精くん。

 酷くない?

 アイシェさんにもせめて水分補給はしてあげなきゃ。


「それもそうか。私はここにいる必要はないよね。爺は、夫は妻のそばにいるものだよ。爺が連絡をしてきたら、鍵を開けにこよう」


 鱗族専用の特殊なお部屋なので、施錠は外からです。

 室内からは開かない扉。

 室内からは出られない部屋なのであります。


「行こう妖精くん」

「うん」


 スタスタ。

 リスレイさんを放置することに決めたファヌアス王は、こじらせた妖精くんと一緒にギュルヴィくんたちがキャッキャしているお部屋に向かいました。

 こじらせた妖精くんが臨時看守する必要、なかったよね。

 ファヌアス王たちに不安なお気持ちがあったみたいだから、仕方なかったか。

 聖地で、他族の男性がいるところで妻をひとりにはしないものね。

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