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第129話 特別なフレーム


「記念のお写真撮るよー」


 獣族のライ王子のセコンド、じゃないや。アドバイスをしていた妖精くんがゲームセンターの店員のお仕事をしています。

 ゲームセンター用の特別なミラクルジェキで撮影をするのです。


 見事に目玉景品をGETした獣族のライ王子、弟のレオング王子、特大サイズの目玉景品白イルカのぬいぐるみを抱っこしてるメリべ婆さま、そしてリズさんがクレーンゲームの前で一緒に記念撮影です。


「一枚はゲームセンターに、このクレーンゲームにこうして飾るよ」

「俺たちのジェキを……」

「目玉景品を取った記念だからね!」


 クレーンゲームの上部に妖精くんがジェキをぺたり。

 目玉景品のクレーンゲームの上部には記念のジェキを飾るスペースがあるのです。

 難しいクレーンゲームでも、目玉景品を取れたひとがいるよという証明でもあります!


「もう一枚のジェキは記念にどうぞ」


 妖精くんがライ王子にもう一枚の記念のジェキを渡しています。

 ゲームセンター用のミラクルジェキは一回の撮影で二枚のジェキが出てきます。

 ゲームセンター用のミラクルジェキは、フレーム付なんですよ!


「そのひなあられのフレームのジェキはなんと新春の今日だけなんだ! ゲームセンターの目玉景品を今日! 手に入れたひとたちだけの記念のジェキなんだよ!」


 他族の野次馬もいるので、大きな声でアピールする妖精くん。


 さすがですゲームセンター総合担当。

 神界ポイントボーナスですよこれは。


 聖地は大神殿と、若返り薬騒動で冒険者島のトレーニングダンジョンと娯楽島のカジノ、レストランのファンタジーダンジョンの入場者数が多くて、ジェフクタール人にとって未知なるゲームセンターはちらほらだったんですよ。

 ダンジョンの宝箱で出たクレーンゲーム一回無料券を持って来たって感じで。

 景品は欲しいけど、なんかよくわからない、国で話し合ってまた来よう、みたいな様子見が多かったんです。


 今日は子どもたちが絶対お留守番の国も多かったですからね。

 音ゲーとか、本当に未知すぎて休日バイト中のカノンたちがプレイしているのを後ろでただ見てるだけだったんですよ。

 プリクラ一回無料券や音ゲーなどの一回無料券もダンジョンの宝箱から出たはずなんですけど、今日じゃなくていいかと持ち帰られてしまっていたんです!


 それでね、実は急遽追加した記念フレームだったりします。

 女神社長は神界新年会をしながら、カノン族や妖精たちのお話を聞いて神界で約一年。

 いろいろと考えて追加したのであります。


「今日だけの記念……」

「今日だけの、ジェキ……?」


 今日だけという特別感にたいそう心が惹かれている竜人族のセノキアちゃん、とべファル王たちも心惹かれてますね。


「ジェキって言うのはね――」


 べファル王たちは大神殿にまだ行っていないので、こちらもすかさずジェキについて説明をするガイド妖精くん。

 記念のお写真は朝みんなで撮影したので、ジェキについても理解が早いですね。


「王に……レイガ王に知らせるわよ!」

「待て! フクフォンだ! フクフォンで知らせよう!」

「誰か持ってる?」


 野次馬の中には竜人族の他に音色族の民たちもいたのであります。


 今日は新春の日なので、桜とひなあられのフレーム。

 ひなあられは今日だけ。

 明日からはさくらんぼですね。


 各国にプレゼントしたカレンダーの木と同じ。日付けがわりです。

 フレームには“らくいちゲームセンター”の聖地文字も書いてあります。

 新春の日に楽市島のゲームセンターで、みたいな記念のジェキです。


「妖精くん、このジェキは一枚だけか?」


 ライ王子が慌てた感じで聞いてます。


「そうだよー。写真スタジオにそのジェキを持っていけば大きなお写真にしたり出来るよ」


 二枚のうちの一枚だけがGETしたひとにプレゼントなのです。

 あとは有料。


「写真スタジオか……。ありがとう妖精くん」

「ライ、ライ。婆にもおくれ」

「僕も欲しいよ兄さん」

「私も欲しいです!」


 ライ王子が手に持ってる記念のジェキとライ王子の顔を交互に見ながら、自分もこのジェキが欲しい欲しいと言っている獣族の皆さん。


「ああ。写真スタジオにも行かねえとな」


 ライ王子がとても行く気のようで、女神社長にっこり。

 商機を逃さないつもりで、ジェフクタール人がお金が欲しいと思えるように、女神はジェフクタールの運営をしているのであります。


「新春の日だけの特別なひなあられのフレームはあそこの一回四百クル、プリクラにもあるよー!」


 ゲームセンターに設置しているプリクラにも、新春の日限定のフレームやスタンプがあります。


「プリクラ……ガイド本に確か……」


 載ってるよライ王子。

 シールはフクエルの動画で出てくるから、ジェフクタール人には説明しなくても大丈夫。

 スターシールも大丈夫だったからね。


「……リファ」


 この場にいない人族の親友に、つい全力で頼りたいお気持ちになっちゃったと思われるライ王子。


「……終わったか? でも今日はリファ……」


 フクフォンを片手に親友が今ナニをしているのか悩みはじめました。

 ライ王子はこういうときには親友の邪魔をしないタイプなのです。

 と、そのときでした。


「ああ、いた。メリべ。大きな白イルカ取れたんだね。よかった。皆も心配しているよ。もう城へ帰ろう」

「……ああ、すまないね。ライがわしのおっきな白イルカちゃんを取ってくれたんだよ」


 人族と獣族の王と数人の王族が来ました。

 あの白イルカが取れたのか、よかったよかったと和やかな雰囲気です。

 メリべ婆さまは獣族の最高齢ですからね。

 皆さん心配するでしょう。


「もう夜だよメリべ。あれからずっと立っていたのかい?」


 紺色のカノンのミラクル車椅子はお断りしてますからね。

 たぶんきっと、獣族の野性的本能で拒否ったに違いない。


 そしてこれは、人族の王がメリべ婆さまの主治医みたいな感じですね。

 人族は獣族と違って治癒魔法も得意なので。

 悪魔にしてやられていたころの人族は、獣族は治癒魔法も使えない、ショボい魔法しか使えない獣族と罵っていましたが、今では獣族をよしよししながら、こうやって主治医もしています。

 おこづかいも人族の王に貰ったとかリズさんが言ってましたね。


「疲れたろう婆さま。俺の背中に乗るか?」

「わしのおっきな白イルカちゃん……」

「ああ。なら抱っこしようか?」

「婆さまがあまりに帰って来ないからみんな心配してるよ。もう暗い。帰ろう」


 獣族の王族もいます。


「婆は、ライたちとひなあられの……」

「ああ! ちょっと待ってくれ。婆さまは今日だけのプリクラも欲しいんだ」


 プリクラも欲しかったメリべ婆さま。

 ライ王子とリズさんが迎えに来た主治医の王たちに説明をしています。


「ならメリべ。プリクラが終わったら僕たちと今度こそ一緒に帰るよ」


 たぶんドクターストップ。

 メリべ婆さまは特大サイズの白イルカのぬいぐるみが欲しくて、長時間楽市島にいただろうから。

 今度こそか。おこづかいが無くなったら帰るお約束ってリズさんが言ってたもんな。


「ありがとうね。でも婆はもう、プリクラの四百クルも持ってないよ……」


 メリべ婆さま。

 主治医の人族の王をチラッ。

 完全に甘えていますね。

 獣族は人族に対してこういうところが、とてもあります。


「三回分でいいかな?」


 そしてすぐに追加のおこづかいをあげちゃう人族の王。

 三回分とか言いながら二千クルあげてます。

 人族は獣族に対して、よしよしと甘やかすところがあります。


「メリべを抱っこしてあげてくれるかい?」

「ああ」


 獣族の王がメリべ婆さまを抱っこしました。


「今日だけなんだよな。リファにも連絡した方がいいか」

「いいと思うよ。今日だけなら絶対プリクラしたいよ」

「そうだよな。獣人国のアカウントと、何人か電話するか」

「夜だしね。チルミーたちも、気づくといいけど……」

「リティカには電話するからシャルレリアには伝わるだろ。チルミーもシャルレリアたちと一緒にいるさ」


 フクフォンを持つライ王子とレオング王子が話し合っています。


 もう夜だからね。

 あと数時間で期間限定新春ひなあられフレーム時間切れで終了になります。

 音色族もまた集団で来るでしょうから、これは混みますね聖地。

 ゲームセンターは楽市島の他にも、娯楽島と碩学島にもありますから、上手くバラけてくれるといいんですが。


 まあ、女神社長は何でも多めに設置するようにゲームセンターを建てたので、楽市島のゲームセンターだけにお客さんが集中しなければきっと大丈夫でしょう。

 この特大サイズの白イルカのぬいぐるみが景品のクレーンゲームだけで横一列に九台。

 種族の数だけあるのです。

 プリクラもそう。

 思いどおりにいかなくてイラつく可能性があるゲームセンター内は何でもそう。


 他族と喧嘩になったとき、ヘタをすると洒落にならないのがジェフクタール人ですから。

 女神はガチで聖地の喧嘩防止策に取り組んでいます。

 そのときでした。


「本日追加入荷の目玉景品だよー!」


 カランカラン!


 鐘を鳴らしてお客さんたちの注目を集めたゲームセンター店員の妖精ちゃんが、布を掛けて目隠ししていたクレーンゲーム九台からその布をバサァっと妖精パワーで取りました!


 追加の目玉景品! お披露目です!


「……あれはまさか」


 ざわざわ。

 まさか、まさかと言う声がさざ波のようにゲームセンターに広がっていきます。

 これには妖精ちゃんもにんまりして、追加で鐘をカランカラン。


「大きなクッション! 女神像、フクエル、ポークくんバージョンだよー!」


 はい。

 ビッグクッションであります!

 あまりない女神像バージョンもありますね。

 女神像も二頭身にデフォルメされたイラストがプリントされています。


「な、な、あれは……」

「王! 王早く!」


 女神像が欲しいとよくお祈りしている竜人族のべファル王がプルプルしています。

 セノキアちゃんはべファル王たちと繋いでいるおててを引っ張って、早く早くと他の若い世代組にも訴えております。


「リファ! 楽市島のゲームセンターに来てくれ! みんな、みんな来てくれ! 女神さまの目玉景品だ!」

「兄さん! 婆さまの若返り薬も!」

「レイガ王! 今日だけの限定ジェキと女神さまの目玉景品が楽市島のゲームセンター……あ、切れた」


 フクフォンがとてもいい感じに普及しているようです。

 というか、二頭身女神像の人気がえらいこっちゃですな。

 ふんふん。

 普通に売るんじゃなくて目玉景品にしたのは正解だったな。


 ちなみに先日の人魚族ご招待で、海流スライダーですけど王族が王都にひとりもいない状態になるかもしれない、と思った女神はすでに対策済です。


「妖精ちゃん、あれは、何の騒ぎなの?」


 いかにも王都を抜け出してこっそり聖地に来ちゃったような、魔毒族の王族の三男。

 福引でおじいちゃん王が王族の結界砂時計をGETするまでお留守番確定っぽかったし、魔毒族の王にまでされそうな雰囲気もあるゼノム王子が、野次馬の中にいましたのでね。

 思い出しただけです。はい。


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