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第12話 ジェフクタール人


 そう。この世界にはとんでもなく夢がある。

 まさに若い神が初創造したならではの希望。


 タイトル風に言うなら『厨二の神がとんでもない夢と理想だけの世界を無計画に創っちゃいました』だ。


 若い神さまくんが理想と夢をぶっこんで創ったこの世界と種族なら、イケる可能性は絶対にある。


 神さまくんのあの思春期感。間違いないね。


 青臭い夢と理想が現実になれ。


 育てるのはそれはもう神さまくんが投げ出して逃げ、いや星に託すくらい大変だろうが、わたしなら絶対持って帰るね!


「神が初めて創造した世界だけは、永久不滅です。こうして楽しくゆっくり何度でも考えて考え直して、それからやりましょう」

「さすがわたしの秘書くんルジェタさん。お互い悪よの」

「私はあなたと永遠に居られれば、それだけでいいので」

「好きいいいい! そのしれっと当然のこととして言う悪魔的に魅力的な低音ボイスも大好きいいいい!」


 ぜはあああっ。

 落ち着こうスーハースーハーいい匂いするうううう!?

 くんくんくんくんッすはああっっ! よし。


「神さまっていうのはプライドが高いのか、失敗することがそんなに嫌なのか見たくないのか、完全に失敗したと確定する前に立ち去るスピードの速いことよ」

「そういう神が多いからこそのペナルティでしょう。次は、創造した世界が完全に消滅するまで新しい世界を創造出来ません。特にジェフクタールは神の影響がありますし」

「悪影響も考慮したのかなあ。わたしなら七日間で世界を創ったりしないとか散々お話したから、今度は慎重に創ってると思いたい」

「初めての世界から離れた神は大抵戻って来ますからね。フクはよくやりました」

「ありがとう。わたしもね、よくやれたと思ってる。ジェフクタールは若い神さまくんが初めて創造した世界でよかった。ほんと夢と理想があるよ」


 ジェフクタールは完全にわたしの世界。


 創造主は去ったのだ。


 遊びに来るのはいいけどね。

 来れるものなら。

 この神界にだけなら。


「フクが嫌いな権力者の汚職などは、ありえない世界ですからね」

「そうなんだよ。そうなんだよね。絶対いい世界なんだよ」


 地球ではよくある汚職がないのだ。


 ジェフクタール人は地球人とはまったく違う。


 神さまくんは、みんな仲良く素晴らしい世界を創ろうとしたと思われる。


 神さまくんはダンジョンなど神さま通信も参考にして世界を創った。


 言語も違う多種族が仲良く生きる世界。


 それが神さまくんの目標だったに違いない。


 多種族なら言語は統一しろよとツッコミたいが、おそらくね、そういう世界はすでにどこかにあるんじゃないかなーと思うんだ。


 神さまくんの知ってる神がそういう世界にいるのかもしれない。


 誰かよりもすごい世界を創るんだって、張り合った結果じゃないかなあと思うんだ。


 言語も違う多種族が、仲良くしてるって世界が創りたかった。多種族が仲良くしてる世界じゃ、神さまくん的に駄目だったんだよ。たぶんね。


「ふふ」


 ルジェタさん口元隠して笑ってるし、これは正解っぽいね。


 わたしの秘書くんは最上級に優秀だから、わたしの質問に絶対に答えられる。


 わたしが神さまくんのパワーを使ってそう創造した。


 わたしの希望を聞いた神さまくんに創造させるなんて、馬鹿馬鹿しいでしょ。


 絶対「違う! そうじゃない!」ってなるフラグでしかないじゃん。


 だからわたしが直接創造したんだ。


 秘書くんルジェタさんもメイドインわたし。


 神さまくんや他の神さまが隠しておきたいことでも何でも、秘書くんは知っている。


 だってそういう存在だから。


 いざというときにわたしと自分を絶対に守れるように、神殺しだって余裕で出来る。神でも悪魔でも化学兵器とかが相手でも余裕で勝てる。


 だってそういう存在だから。


 ルジェタさんやわたしを排除しようと強い存在を創造しても無駄。


 存在を消滅させることも弱体化させることも不可能。


 イタチごっこでも絶対に余裕で、永遠に勝ち続ける。


 だってわたしたちはそういう存在だから。


 創造って想像力がいるんだけどさ、わたしの得意分野じゃんね。


 あの時点でわたしに新しい存在を創造する力はなくても、想像力はあったんだよね。


 神さまくんに創造する力を借りれた瞬間、思わず吹き出しそうになったわ。


 過去に戻って人間のわたしをとか、わたしのご先祖さまをとか地球をなかったことにとかさ、そもそもジェフクタールを創造しなかったとかわたしに星を落とさなかったとか、あらゆるバッドエンド、メリーバッドエンドの可能性を潰せる存在にしたんだ。真っ先に全知全能を手に入れてね。ガチでがんばったわ。


「エロは本当にフクを救いますね」

「ねー。わたしの思考を覗き見るなんてサイテーだよ」

「いけませんよね。私以外は絶対に」


 神さまでも神さまくんでも覗き見ることはもう不可能だけどね。


 わたしの秘書くんが優秀だから。


 全知全能はあれ以来封印してる。


 ルジェタさんが優秀ならそれでいいし、全部わかる正解しかない人生なんて、わたしにはつまらないし耐えられない。


 取り返しがつくぐらいの失敗ならしてもいいじゃん。


 完璧な神になんてわたしはなりたくない。


 わたしはそうじゃない。


 いけると思えばとりあえずやってみることもあれば、失敗しないようにあーだこーだと考えて考えて、たまに凡ミスもして、成功したらやったー! って万歳してガッツポーズをして、失敗したら凹んで、てやんでい! ちくしょうめッ! って飲んだり泣いたりして、それがわたしなんだよ。


 どこまでいってもわたしは正しい神にはなれないしなりたくないんだ。


 で、ジェフクタール人の共通点。


 同族だけは裏切らないんだ。


 神さまくんは早く国をつくらせたかった。

 王がいて民がいる世界にした。


 国が滅びるのは嫌だったんだろう。

 神さまくんは国が滅びる原因をいくつか排除した人を創ったんだ。


 王は民を愛し民は王を愛している。


 そういう種族なんだ、ジェフクタール人は。


 王は民のために、民は王のために。


 戦争や魔物に襲われて土地が奪われることがあっても、王都だけには手が出せない世界。


 王都には王族だけの特殊な結界があり、他種族と魔物は手が出せない。


 王都だけでは生活が苦しくなる種族は、広げた土地を奪われないようにしてるけどね。


 この世界の初めに神さまくんはそれぞれの種族の王を選び、王族だけの特別な力を授けて、それぞれ種族の王都をここからここまででーすって決めたんだって。


 だから王都は強い人とか選ばれた所謂名家が主に住んでるんだけどね。赤ちゃん子どもお年寄りを最優先だったりもするんだよ。


 強い家系の血は優先的に残したいから王都。王都以外は危ないから戦えない民は王都で保護。


「同族にはちょー優しいけど、他種族にはそうじゃない」

「他種族が相手では言葉も理解出来ませんから、いくら神さまくんが仲良くしてと言ってもそのままでは難しいですよ。他種族との混血児は絶対に産まれませんし」

「仲良くしてって言うだけじゃそりゃあ無理よね。国で教わるのは武がほとんど」

「王のためにみんなのために勝ちたいと学びますから」

「いいところは、スラムに孤児がみたいな社会問題がないところだよね。ダンジョンですごいお宝を王のためにっていう、これも結局武力か」

「同族なら助け合いますし同族の子どもなら誰でも育てますからね。ダンジョンのお宝が変わればそれを理解する頭脳も必要になりますよ。これからはお金がありますし」


 国内は平和なんだよ。


 民のために頑張る王がいて、みんなで助け合うのが普通なんだから。


 ただ、隣国や他種族と出会う聖地が、ね。


 種族間の問題が解決したらさ、ジェフクタールってすっごくいい世界だよね。


 悪い意味で言語の違う種族が仲良くする世界を目指してたら、そりゃあいつまでも仲良くはなれないさ。


 神さまくんにはどうしても譲れないこだわりだったんだろうね。

 そうして、散々やらかして次に行ったんだろうけど。


「大陸によって時差がないのも凄いよ。ある程度の時計でも使う国はまだないよね?」

「ありません。空を見て太陽の位置でなんとなく把握しています」

「全世界に鐘でも鳴らすかあ。寝てる人は起こさないようにして、海中でも聞こえる鐘の音。朝昼晩におやつの三時でいいかな。鐘を鳴らしてた時代の詳しい知識はないわ。ネットあるけどまだネットに手を出したくないしなあ」

「まだログインボーナス回収だけですか」

「うん。イベントはまだだし今は虚無期間よ。今のうちにいろいろとしておきたい」

「神界に時間の概念はありませんよ」

「知ってるけどさあ。神界に朝夜欲しがったのもわたしだけどさあ、朝がきたら新しい一日がはじまったって思うんだよー」


 参考資料、やっぱり地球。


 でも不要な日本人感覚と頭固くしないようにまだまだ修行だ。


 時間の感覚とか、元人間ならではの気持ちかもねこういうの。


 つい、わたしが考えてしまったことにルジェタさんが反応した。


「現状、完全に中立なのは聖地だけですから、多種族が安心して通う学校は聖地で教員は私たちだと思いますよ」

「……やっぱり?」

「教育は国でするでしょう。ですが多種族となればどの国に学校を建てます? どの国なら行かせます? 絶対に安全な王都にわざわざ学校を建てて、王族の結界によって入れない他種族をどうやって王都に入れますか? 魔物に襲われない学校が王都以外に建てられますか? どの国の教師なら信用します? そもそもどうやって、他国に安心して子どもが通うんです」

「そーだわーそーだわー。わたし頭悪かったわ。聖地しかないね」

「超名門校という学校でいいではないですか。自国で学び、優秀な者は聖地の学校へ行けるとなれば力が入りますよ。現状ならば、の話です」

「目標があるって素晴らしいね。学校用の土地とかも余裕をもって確保しておこう」


 まあ聖地の土地は広げようと思えば出来るから問題ないけどね。


 学校用の新しい島とか創ってもいい。


 そうだ。


 聖地と学校は大陸を別にした方が絶対いいわ。そうしよ。


 剣を持ちつつペンも持って欲しいんだよね。


 今はペンほとんど転がってるだけだから。


 将来の夢は大きくみよう。


「そろそろ探検が終わりますよ」

「もうそんな時間? 何か作ろう。いろいろお願いね。人魚族みたいに陸に不都合がある種族には救済処置をそれとなくね」

「かしこまりました。フクぬいがチーズケーキに興味を示していましたよ」

「あっ、わたしもチーズケーキがいい」

「気が合いますね」


 今日はここまで。


 ちょっぴりやることを決めたし、まだまだわたしが駄目だし、少し世界を見守ることにする。


 神殿に管理する人が誰もいないとかの問題もあるし、わたし直属の新しい種族も創らなきゃ。


 聖地で仕事をする種族。

 どんな種族にしよう。


 さあ、お外に探検に行ったぬいたちが帰って来るまでに、お菓子の準備をしよう。


 妖精さんたちにミルクもね。

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