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第11話 人間度■■■□□


 はい。供物関連ですね。


「神さまくんが童貞じゃなかった件」

「美しい巫女がいれば綺麗にして食っていたようですよ」

「神さまくんお綺麗で面白みのない自分勝手な食べ方だろ絶対。それで、供物と巫女への恩寵の内容は?」

「基本的に鉱山が潤いますね。金銀財宝。ジェフクタールでは魔宝石や魔銀などですが、掘り尽くされた鉱山が一夜にしてよみがえるそうです。あの件だけ最初にはしゃいだんでしょう。女性は不老がほとんどです」

「不老不死じゃないだけ、まだマシなのかどうなのか……」

「神に愛された巫女として、最高の栄誉を謳歌したそうですよ。なにせ神さまくんはとても美しい者だけを綺麗にして食っていたそうなので」

「あー、わたしの容姿にもめちゃくちゃうるさかったもんな。理想がとんでもなく高いのはわかる。不老の他は? ヤバいのある?」

「問題ありません。賢い巫女は美しさよりも欲しいものがあっただけです。実際に食った人数は極少数ですしね。だからこそお手つきの女性はもてはやされたというわけですが。さて、フクへの供物はどうしますか?」

「――……キンキラはお金にして返す。鉱山には何もしない。供物を捧げれば復活する鉱山はわたしの世界にはないよ。美男子は受取拒否。ワンナイトラブなんていらない。この世界が物々交換が主流の今、世界共通のお金を聖地が発行して管理する。神託として伝えて。女神は天から貴方たちを見ている。人身御供に激怒していた。神に恩寵という見返りを求める者に次はないだろうって」

「わかりました」

「それから教本を各種族に。女神の教えをまとめた本を配布する。好きな国に女神は降臨するって広める。これを最初で最後の一冊にする。文字が読めなくてもこれだけは内容が理解出来る一冊として」


 ジェフクタールはわたし基準の善悪になる。


 これはわたしが変えられないから。


 そして、この世界の神はわたしだけだと示さなければ、宗教戦争まで起こる可能性がある。


 神託を捏造したら神罰。

 わたし以外の神を捏造したら神罰。


 わたしは地上で何をしても許す神になるつもりはない。


 ジェフクタールがまだ国内でも物々交換が主流の時代で良かった。


 価値のあるものが世界共通なら揉め事は減るはずだ。


 お金には価値があると聖地で思えるようにしなくちゃいけない。


 女神への信用で使う種族が増えるといい。

 聖地で取り引きがしやすくなるだろう。


 偽造も出来ないお金を造ろう。

 当然、偽物のお金は神罰の対象だ。


 聖地にダンジョンとダンジョン専用の冒険者だけの状態なのも幸いだったと思おう。

 冒険者の証も神殿発行だし。

 神さまくんがよくわかってないまま真似したのはラッキーだった。


 たぶん、流行っているし世界にいい効果があるならと軽い気持ちでやったんだろう。真剣に考えてないのは確かだ。


 聖地に買い取りが出来る冒険者ギルドを作る。

 冒険者のお金を預かったりして銀行の代わりにもなる冒険者ギルドだ。


 もちろん聖地以外の場所での戦争を止めたりはしない。戦争にならないように話し合う時代になるのを待つ。


「最初で最後はやめましょう。勧善懲悪や因果応報などを広めるために女神の小話も授けます」

「え!? わたしが水戸の御老公に!?」

「昔話やゲームなどの教訓は大切だと言ったのは、フクじゃないですか」

「主人公になりたくなかったんだ……」

「勝手に授けますね。本の内容が幼い子でもわかるように考えます」


 優しい。

 さすがわたしの秘書くんルジェタさん。


 勝手に、ルジェタさんの独断で、やる。


 もし良くない結果になっても責任は自分にある、ということ。


 わたしの逃げ道を用意してくれた。


 わたしが傷つかないように。


 こんなことを考えたけどどうかな? こうしてみたいけど怖いな。そう思ってわたしが一歩踏み出せないとき、ルジェタさんも賛成ならこういう言い方で、自分が責任をおってわたしの背中を押してくれるのだ。


 そしてわたしは今、大きく間違っているというルジェタさんからの警告。


 わたしが大きく間違っているから、ルジェタさんが勝手にやるんだ。


 落ち着いてよく考えなさいってことだ。


 あとになってこうすればよかった、あのときやめておくべきだったと、絶対にわたしが後悔するという警告。


 考えろ考えろ。時間はいくらでもある。


 わたしの秘書くんルジェタさん。好き。

 スーハースーハー。



 そうして体感五時間ほど考えてて、気づいた。


 なんで神の存在証明も出来ない地球を参考にしてたんだ。ここはジェフクタールだぞ?


 こういうところがわたしのダメなところだよ!


 わたしが神で、ここは魔法があって魔物がいて、神が存在している世界だ。


 わたしがやりたいようにやろう。


「アニメとか?」


 わたしがやるなら本じゃなくてこうかな、というアイデアを出してみる。


 字が読めなくてもアニメは見れる。

 毎日決まった時間に放送されるの。

 誰でも見れる、見たくないときは見なくていい。音量も自由自在で。

 目が見えなくても音が聞こえなくても、わかるように。

 ダンジョン内では見れない、いやとりあえず聖地では見れない方がいいか。

 戦争中の国は絶対見れないな。

 再放送は、願えば。検討して再放送したり。


 うん。アニメが見れないから戦争やめろは、あるだろう。あるはずだそういう意見。


 娯楽になりそうだし、子どもなら余計に見たいと泣くだろ。


 わたしだって騒ぐ、かもしれないもの。


 娯楽って大事だよね。


 いいところで放送中止になったら泣くわ。


 一話完結と全十二話と、映画。


 たまには長く見たいよね。

 そういう日があってもいいよね。

 見逃したら再放送が待ち遠しいよね。

 こういうときはダンジョンのお宝だよね。


 好きに過去動画見れるとか最高じゃん!


 こういうところに女神パワーを使いたい。


 そういう女神にわたしはなりたい。


 いつか絶対に聖地にカジノや遊園地やゲームセンターを作りたいのが、わたしだ!


 ボーリングやカラオケしようみんな!

 歌はアニメで流れるからおぼえて!

 カラオケはお家でも出来るセットをダンジョンの宝箱にぶっこむから!


「いいですね。他にもこの世界では誰も知らないちょっとした雑学や生活の知恵は、女神の知恵です。そういった内容も含めます」


 わたしに微笑む秘書くんルジェタさん。有無を言わせない笑みだ。ちょっとした知恵も決定したかそうか。


 まあ、わっかるけどね。

 わたしもそれ考えたから。


 昔話から学んだ教訓って、結構あるんだよ。


 姥捨て山とかさ、お年寄りの知恵じゃん。どこまでそういう地球の雑学的な知恵を教えていいのか悩むね。この世界じゃ役に立たない雑学教えても混乱するだけだし。


 娯楽として海外の童話は参考程度だろう。単純にめんどいから。


 有名なのは人魚姫かな。あの話はキリスト教色が強いから、キリスト教の考え方を理解しないとただのバッドエンドになる。


 原作と作者の背景、執筆当時の社会、当時の考え方とかまで考えないとわからない。


 わたしは、人魚姫の原作はハッピーエンドだと思ってる派だよ。


 日本人に理解出来るような絵本になっているし、泡になって終わりはかわいそうってハッピーエンドにした絵本も増えたし、有名なアニメ映画のハッピーエンドしか知らない人もいるだろうけどね。


 人魚姫が泡になって終わりの話だと思ってる人も多いんだよ。


 めんどいとはそういうこと。


 元日本人のわたしがごちゃごちゃ悩む話は排除。でも日本ではー海外ではーとかつい考えちゃうからね。


 わたしは女神今のわたしは女神。


 今までの常識に縛られて頭を固くしないようにせねば。


 善人が損をしない世界はわたしの理想だ。


 少なくとも、神を鉱山リセットボタンにするのは無理なのでここで断ち切らせていただく。


 美男子という人身御供もな。

 神に人を捧げれば良いことがあるって思わせたくない。

 村のために、とか人身御供の話はよくあるもんね。そういうのは無理。


 神が交代した今のタイミングできっぱりとしなければならない。


 復活すると思っていた鉱山が復活せずに人々が荒れようが、わたしは絶対に復活させない。


 掘り尽くせば無くなる。それが当たり前。

 じゃあどうするかって考えて。

 そういうのが進化だろう。

 ガソリン車から電気自動車へ。そういう流れと一緒。


 神は人に都合がいい存在じゃない。


 供物を捧げれば神が豊かにしてくれるわけじゃない。


 自分に得がないのならと去る者は去れである。


 それは信仰じゃないとわたしは思うしね。


「ですがまだまだです。フクらしくもない。私のガチ意見を言いましょうか?」

「やめて。やだ。わたしが考える。絶対わたしが考える」

「冗談ですよ」

「とりあえずさ、そういうので、ジェフクタールにいい変化があるといいね」

「ありますよきっと。たまに変身して冒険者ギルドで働くのもいい気分転換でしょう?」

「そう。制服も考えるんだ。あとはあのだだっ広い空き地みたいな通路になってる聖地の土地をそれぞれの国に一画渡して、残りは売るか賃貸か。賃貸だな。冒険者ギルドは不動産もやろう。屋台スペースも青空市場も、いつかやろう。食べ物は衛生観念が浸透してからだろうけどさ。無駄に広いからね聖地の二段目」


 長い目で見よう。

 とにかく長い目で。

 神さま視点、大事。

 千年後でもいい。

 優しい世界になればいい。

 善人が損をしない世界って究極の世界だと思うんだ。

 わたしはそんな世界に住みた――ん?


「住みたいか? 本当に住みたいか? そうなるまでのつらくて苦しい世界に住みたいか? 絶対住みたくないわそんな世界! なにが長い目だ馬鹿か! ああわかった! 馬鹿だ! わたしがガチで馬鹿だった! ああもおおおおおッッ!! ルジェありがとうううう!!」

「あなたの秘書くんルジェタさんですから」

「知ってるううう! 知ってたあああ!! 好きいいいいッ!」

「私の方が好きです」

「それ喧嘩フラグ。今この瞬間わたしの方が絶対好きだけど、喧嘩やめよ」


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