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2 エデル王国

エデル王国


大陸の中ほどに位置する王政の国。北は不毛の大地、東から南にかけてがヒンヌ帝国、西はネオセント・A・パット聖皇国に接している。

(聖皇国のさらに西がアーデリン連邦)

魔物が発生する沼はエデル王国の東側に位置する。ヒンヌ帝国との国境に近い場所。

エデルは名馬の産地。騎士団の馬は大陸トップクラスの脚を持っている。

純血の馬は他国に出さない。純血種は脚が早いだけでなくかなり賢い。馬に選ばれた人しか乗れない馬。選んだ人間を守る気質があり、戦争時は純血種の活躍でエデル王国は滅びずに済んだ。


飢饉での死者が国民の5割にのぼったが、ただですら手に入りにくい食べ物(果物や野菜)を馬の食事にまわしたからだとも言われている。





✿エデル王国西側 ネオセント、ヒンヌ両国にほど近い森にて


「おっしりムッチむーち!」

デーン!

「腕もムッチむーーーっち!!」

デデーン!

ご機嫌そうに柔らか筋肉ムチムチメガネ少年ハチワレ(13)が馬上で歌う。


「......なぁ、ハチワレよ......」

馬を駆けながらこれまた別の意味で筋肉ムッチムチの男ノーキン(20)が声をかける。

「なーに?ノーキン。僕が歌ってるといつも何か言いたさげだよね?」

「楽しそうでよろしいけどな、聞く人が聞いたらヤヴァイから、気をつけな?俺の違和感がそう言ってる」

「ノーキンの違和感なんて僕は信じてないから」

おっしりムッチむーーち!とまた歌い始めた。

「筋肉は嘘つかないし筋肉は最高だけど

ハチワレの筋肉はまだ未完成だからなぁ」

ノーキンがため息をつく。

「イミフだよ?」とハチワレが返す。


その時突然二頭とも馬が脚を止めた。馬が何かに確かに反応してる。

おかしい。そういえば朝から様子がおかしかった。予定にない外駆けに出たのも馬が村の外に出たがったからだ。

ここは魔物が出る沼からはかなり離れているしこのあたりでの魔物の目撃情報は皆無。


─空気が張りつめる。


「何かおかしいな」

「動物がいたとしても脚が止まるとかありえない」

こんなことめったにないのになとハチワレは言う。

「エイコ、頼む」

馬のエイコはゆっくり駆け出した。

少し進むとエイコがスピードを落とす。そして止まり、ブルルンと鼻息を荒くした。


「ノーキン、何か見える?」

「うーむ......」


2人であーでもないこーでもないと言ってるとエイコがまたブルル、といななき、前脚でドンドンと地面を叩いた。

ハチワレはエイコの脚元にある何かを見つけた。

「ノーキン!エイコの脚元を見て!」

「?」

「ピンクのボロボロの何かがいる!」

ノーキンも目を凝らしてエイコの脚元を見てみた。確かにピンクの毛色のボロボロの何かが岩と岩の間にいる。草に隠れて良く見えないが動いてはいないようだ。

馬が心配そうに覗きこんでいる。


「馬を降りて確認しよう!」

エデルでは身を守るため森で馬を降りる事は本来ならまずない。それでも2人とも馬を降りる。


「ハチワレ!見ろ!女の子だ!」

「なんだって!?」

ボロボロのピンクの何かは女の子、と言われ驚く。

「怪我してる!身体中傷だらけだ!頭から血を流してるぞ!」

「......生きてるの?」

ハチワレの質問にノーキンが呼吸を確かめる。

「生きてる!」

「!」

「村に連れ帰ろう」

「え」

「アビーなら受け入れてくれる!大丈夫だ」

エイコが見つけた命だ、つなげようぜ、と言われとりあえずハチワレはため息をつきながら行動に移った。


「1人村に戻って馬車持ってくる?応援もいるかな」

などと言いながら横向きの女の子を慎重に仰向けにし、顔を被っていた髪の毛をよけるとハチワレは驚いた。白い肌、端正な顔立ち、長いまつ毛、形の良い唇。これめっちゃ美少女やん、15才くらいかなと思いながら。

頭の傷は深くないが頭を強く打ってると思われる。


「これ馬車はまずいね、馬車の揺れはダメじゃないかな」

「仕方ない、そのまま俺が運ぶ」

ノーキンは女の子を筋肉だけで片手で抱え、一切揺らさずに筋肉だけで馬に乗り女の子が辛くなさそうな体勢にした。


「村に戻るぞ」

とノーキンは愛馬に声をかけ、ゆっくり駆け出した。



ピンク紫の髪の人間はエデル王国にはいない。

もしかしたらトラブルも運ぶのかもしれない。

「なるようになれ、だな。エイコ、お前も責任取れよ?」

エイコはもちろん!と言わんばかりにブルッと鼻を鳴らした。



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