北海道のとあるゴルフ場にて
ところ変わって、ここは北海道のとあるゴルフ場。
今週開催予定の女子プロゴルフ競技に参加するために訪れていた城野真理香プロ、桃川涼花プロ、有岡里桜プロの三人がパッティング練習場に集まって話をしていた。
その内容は、まさかの高校生女子東海大会団体戦についての話題。
最初は城野真理香プロ一人で練習していたが、そこへ情報を入手した有岡里桜プロが現れ、最後に桃川涼花プロが合流する流れだ。
「マリカさん、聞いたですか?」
「あら、何の事かしら?」
「あれです。ルリっちがいる春乃坂学園ゴルフ部が、団体戦で準優勝したみたいっす」
「そう」
その情報をどこから仕入れてきたのか、有岡里桜は興奮した様子で城野真理香に話す。
けれど、その話を聞いても全く動じた様子のない彼女に、有岡里桜は不思議そうに理由を尋ねた。
「あれ、驚かないんですか?」
「そうね、すごいことよね。それで、優勝したのはもちろん……」
「マリカさんの母校、竜峰学園です」
「そうですか……」
ただ、その彼女が反応したのは母校のことだけ。
となれば、理由として考えられるのは……。
「もしかして、知ってました?」
「いいえ」
「なら、どうして驚かないんですか?」
それが不思議でならない有岡里桜だが、ここで話に参加してきたのが桃川涼花プロだ。
「フフフ、それはね。マリカさんがあの子を認めているからよ」
と言われても、全くその意味がわからない里桜は、それを彼女に尋ねる。
「……、スズカっち。それって、どういう意味ですか?」
「フフッ、だってマリカさんが言ってたじゃない。怖い後輩が追いかけてくるって。そんな子を抱えた学校が、急成長しない理由ないでしょう。ついでに言うと、あそこには神川佳斗プロがいる。彩夏の話では合宿もしてたって言うし、きっちり関わっているんじゃないかしら」
そう話す桃川涼花プロは、ちゃっかり森沢彩夏と連絡をとっていた。
彼女から情報を仕入れ、大方こうなるだろうと予想していたのだ。
そして、城野真理香も同じである。
「そうね、私も彩夏から聞いてたけど、神川佳斗さんの姪で夏目カエデさんって子の出来次第では優勝も狙えるって話だったわ。でも、準優勝ってことは、ダメだったのね」
ただ、それはまさかのダメ出し。
カエデも、北海道でトッププロにそんなことを言われているなんて、思いもしない事だろう。
とはいえ、本命はやはり瑠利である。
「それで、ルリのスコアーは聞いてるの?」
「はい、驚かないでくださいよ。ルリっちのスコアーは65。7アンダーでトップです。これがデビュー戦ってことだから、とんでもない化け物っすよね」
と、相変わらず、時々砕けた口調になる有川里桜プロだが、それもご愛敬。
普段は猫かぶりモードで話す彼女も、この二人の前では自然体で話す。
先輩である城野真理香プロと桃川涼花プロも気にした様子がないので、彼女は可愛がられているのだろう。
だが、気になるのは瑠利のスコアーだ。
「デビュー戦で7アンダーって、ほんとなの?」
「あれ、スズカっち、信じてないんですか?」
「当然じゃない。そんなの異常よ」
「でも、ほんとっすよ。記者席で話題になってたから」
それを当然のこととして話す里桜に、突然、城野真理香が笑い出す。
「フフフッ、アハハ。そうね、そう来なくちゃね」
「マリカさん?」
「どうかしたんですか?」
その彼女の様子に涼花と里桜も心配するが、それは杞憂というもの。
「なんか、私、今週勝てそう」
「ええっ、どうしたんですか、急に」
「それはもちろん、面白い話が聞けたからよ。リオ、明日の個人戦決勝の情報も頼むわね」
「いいですよ。私も気になるから、明日も聞いときます」
「うふふ、よろしくね」
その後、宣言通り優勝した城野真理香プロ。
終始ニコニコであったという話だが、その理由を知る者は桃川涼花プロと有岡里桜プロの二人だけだった。




