夕方になって
その日の夕方になって、瑠利が帰宅。
「ただいま〜」
「あっ、ルリ、おかえり。部活どうだった?」
「アヤナさん、それが聞いてください。同級生が4人も入るみたいなんですよ。カエデさんもニコニコだし、部長のサオリさんも喜んでいましたよ」
「へぇ~、凄いね」
高校から帰宅して女子寮へ入った瑠利は、談話室でゴルフ中継の録画を見ていた彩夏と会い、今日あった部活動について話し始める。
それはカエデがずっと心配していたことで、部の存続は確定的。
来年度も問題なしとなれば、喜びも一入であろう。
「あとはルリが成績を残して、アピールだね」
「はい、来年はもっと部員が入ってくれるように、頑張ります」
瑠利も、これは責任重大と力が入る。
ただ、彩夏にはそれが空回りに見えて……。
「まあ、そんな気負わなくたって、大丈夫。ルリなら普通にやれば、結果は付いてくるよ」
「あはは、そうですよね。プロを目指すんだから、こんなところで足踏みしている場合じゃないですよね」
「そうそう、ルリはあの城野真理香さんから認められたんだから、もっと自信を持った方がいいと思うわよ」
「はい、わかりました」
その彩夏のアドバイスに、ルリは笑顔で返す。
あれは3月終わりの女子ツアーでのこと。
静岡県の袋井市で行われた競技でツアー通算4勝目を挙げた城野真理香は、その優勝スピーチであることを言った。
『後から怖い後輩が追いかけてくるから、今のうちにいっぱい勝っておきたいの』
それが誰の事を指すのかとネットで話題となっていたが、その真相はわからず仕舞いだ。
本人がそれ以上を口にしないのでは、仕方のないことだった。
けれど、彩夏を含め、ある一部の者たちには、それが誰であるか知っていた。
「まさか、この子がマリカさんにライバル認定されるなんてねぇ……」
「あれ、何か言いました?」
「ううん、別に。それより、そろそろ子どもたちも帰った頃だから、また勝負しましょう」
「いいですね。行きましょう」
そうしてゴルフバッグを持って寮を出る、二人。
これからまた、使用クラブ縛りの勝負をするつもりなのであった。




