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合格発表

 三学期は、短い。

 すでに2月も後半に入り、瑠利と詩穂の受験も終わっていた。


 どちらも私立なだけに、2月の前半に試験があったのだ。




 中学生の瑠利は学校でその結果を知らされ、見事合格。

 春からは春乃坂学園高校へ通う、一年生となる。


 公立高校を受験する友人たちは、まだこれからだというのに、瑠利はもう気楽なもの。

 教室では堂々とゴルフ雑誌を開き、知り合ったプロたちの情報はないかと探していたりするが……。


「ルリ、気が散る」


「えっ、そう?」


「うそ」


「もう、ユイは余裕でしょう」


 ニコニコとそんな冗談を言い合える相手は、瑠利の親友である和久瀬優衣だ。

 彼女は近場の公立高校を受験する予定で、模試の判定ではAランク。

 そのため、あまり焦っておらず、普段とは変わらぬ様子だが、もう一人の親友である九条朱里は少し厳しい。

 

「二人とも、うるさいさ。静かにしてさ!」


 教室での自主勉中に騒がしくする友人たちに、そう注意を促す朱里。

 本当は自分だって雑談に混ざりたいのに、そんな余裕はないのだ。


「アハハ……、ゴメンゴメン」


「ほら、私はおとなしく雑誌を読んでいるから、ユイも勉強したら」


「うん、そうする」


「はぁ……、余裕があって、いいさねえ……」


 そんな悪態をつく朱里は、いつもの事。

 瑠利と一緒の高校へは行けなかったが、せめて優衣と同じ高校へ通えるように、一生懸命なのだ。


 現状では模試の判定でBランク。もうひと踏ん張りといったところだが、安全圏でないだけで十分合格の可能性は高い。

 ただ、運悪く苦手なところばかりが出題されれば、終わりである。


「ほらほら、拗ねてないで、頑張る」


「そうよ、私と同じ高校へ行くんでしょう」


「は~い」


 それから親友二人が勉強に集中し始めたため、瑠利はまたおとなしくゴルフ雑誌を読み始めるのだった。




 ☆ ☆ ☆



 2月24日。


 詩穂は志望する春華女子大の合格発表を、母親の美里と見に来ていた。

 周りには同じように母親に連れられた受験者たちが、大勢集まっている。


「受かってるよね」


「大丈夫よ。落ちても就職先は決まってるから、安心していいわ」


「もう、そういう事じゃなくて」


 そう不安な気持ちを口にする、詩穂。


 美里も軽口を叩いているが、あまり余裕はなさそうだ。

 娘の頑張りを信じてあげたいが、それは周りにいる他の受験生の親も同じ。

 本来の実力よりランクを落として受験したとはいえ、やはり合格が発表されるまでは不安である。

 ここ以外に受ける予定もないため、二人とも今はドキドキであった。


「そろそろね」


 気がつけば、大学側の担当者らしき人たちが集まり、合格発表用の大きな掲示板の前で作業を始めていた。


 そして、時刻は10:00。


 一斉に貼りだされた合格者の受験番号に、集まった大勢の受験者たちの視線が集まる。


「シホ、何番だっけ?」


「あ、うん、562番」


「えっと……、アレじゃない?」


「あ、ほんとだ! あった! あったよ、お母さん!」


「うふふ、おめでとう」


「ありがとう」


「それじゃあ、帰って入学手続きを済ませちゃおっか」


「うん!」


 こうして、詩穂も無事に合格。


 春には女子大生となるのであった。








ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。


何気ない日常の風景で、敢えて書く必要もない話ではありますが、久々に登場した瑠利の親友たちと、母親と一緒にいることでちょっと子供っぽい様子の詩穂を楽しんでいただけたらと思います。

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