報告
ここはパシオンゴルフガーデン。
そこの執務室へ呼び出されたのは城野真理香、桃川涼花、有岡里桜の女子プロゴルファー三名だ。
向かいには、大内雄介プロが豪華なソファーへ座り、三人にも席を進める。
「まずは、座ってくれたまえ」
「「「はい、失礼します」」」
相手がゴルフ界を代表する大物と知っている彼女たちは、緊張した面持ちでソファーへ腰を下ろす。
これから話をする内容は、先日の春乃坂ゴルフクラブでのことであり、この面会は決まっていたことでもあった。
「それで、ルリくんは、どうだったかね」
そう尋ねる大内雄介プロに、城野真理香が答える。
「はい、まだ粗削りですが、いいものを持っていると思います。たぶん、気持ちに左右されるタイプなのでしょうね。乗ってきたら手が付けられなくなりそうな、感じがしました」
それはたぶん、4番ホールで苦手を克服して以降の事であろう。
瑠利は実力以上のプレーを見せて、しぶとくプロたちに食らいついてきたのであった。
その記憶が残る有岡里桜は両手を交差し、身体を抱くようして身を震わせる。
胸を貸すくらいの気持ちで受けた依頼であったのに、まさかの追い詰められ方をしたのだ。
「次、一緒にプレーしたら、何度か負けるかも。今回ルリっちのパターが入らなかったからセーフだったけど、もう無いと思います」
「そうよね、ルリちゃんがバーディ取って、私がパーなら負けだもんね。もうそれくらい差は縮まって来てると思うわ」
そう話す桃川涼花も、どうやら同じ感想だ。
もっと下手だと聞いていたのに、話が違う。
そう言いたいのであった。
「フフフ、みな良い仕事をしてくれた。これは、私からのお年玉だよ」
三人からの報告に満足したのか、大内雄介プロは懐から取り出した分厚いお年玉袋を手に取り、彼女たちへ渡す。
「ありがとうございます」
「わ~い。太っ腹っ!」
「こんなにも? ありがとうございます」
これは、それぞれ城野真理香、有岡里桜、桃川涼花の反応だ。
当然依頼料は別に渡しているが、先輩プロからのお年玉10万円。
たとえツアーに出られるプロであっても、お年玉は嬉しい。
女子の賞金は男子よりも少なく、総額は1億円程度にしか過ぎない。
優勝賞金が1800万円として、賞金の獲得できる50位で40万円ほどと、厳しい現実が待っているのだ。
ついでにいうと、これは予選を突破した場合に限る。
そうでなければ賞金自体が無いのだ。
プレイフィーは無料であっても、旅費や交通費、食費は自腹。帯同キャディーがいれば、その分の給料もあるので、支払いは2倍以上である。
優勝経験者の城野真理香は別にして、有岡里桜と桃川涼花には嬉しい臨時収入であったのだ。




