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44/105

春乃坂ゴルフクラブ④

 2番ホール・155ヤード・パー3。


 ここはティーグランドからグリーンに向かって3メートルほどの打ち上げで、ガードバンカーは右に一つというホールだ。

 そしてグリーンの形状は縦に長く、横に短い。

 手前から奥まで42ヤード、左右の幅は20ヤードと極端に狭く、右のガードバンカーにつかまった場合、グリーンへ乗せるためには僅か20メートルの幅にしか打てない難しいショットとなる。

 ホームラン(ガードバンカーで直打じかうちして、まともにボールが飛んでしまうこと)一発で、即アウト。

 そんな危険を孕んだホールであるが、グリーン正面は開いているので、比較的狙いやすいホールと言えよう。



 そこへ、四人がカートで移動してきた。


 このホールでの打順は、前のホールでのスコアーが少ない順だ。

 1番ホールでバーディーを奪った城野真理香が最初、次に涼花、里桜、瑠利の順で、先程と全く同じである。


 プロたち三人は、練習であっても世間話をしながらのお気楽なラウンド。

 けれど、さっそく前のホールで出遅れた瑠利は少し違う。

 1番ホールを終えたことで余裕ができ、視野も広くなっていた。


 先程のミスの理由は、ガードバンカーを怖れて、番手を一つ上げてしまった事。

 ゴルフの基本は手前からであり、奥へつけてはダメなのだ。

 そう考えれば、やるべきことは一つ。

 たとえグリーンに乗らなくても、ボールを手前に止めることが重要なのである。


「よしっ」


 と、瑠利は一つ気合を入れた。


 このホールもピンポジションは、グリーンのフロントエッジ(手前の縁)から10ヤードほどと、かなり前だ。

 ティーマーク横のヤード看板には155ヤードと表示されていても、これはグリーンセンターまでの距離で、実質の距離はピンが前にあるぶん差し引かれ、145ヤードほどであろう。

 であれば、上りを考慮しても7アイアンで充分届く距離だ。


 瑠利は迷わず7アイアンを手に取り、番手通りに打つと決めていた。


 そんな心構えでプロたちのショットを眺めていると、三人とも8アイアンで完璧な球を打つ。

 ティーグランドからグリーン面は見えないが、たぶん寄っているのだろうと想像はできた。


「凄い」


 それが瑠利の、素直な感想だ。

 テレビで見ていてもわからなかったが、目の前で直に体験すると、その凄さは際立っている。

 当然のことのようにピンへ絡んでくるショット力は、今の瑠利には無いものである。


「これがプロか……」


 まだ、たったの二ホール目ではあったが、瑠利はそのレベルの違いに気づいてしまった。


 アマチュアが必死になってパーを取るのに対し、プロは息をするようにバーディを取る。

 焦りなんて必要ない。18ホールすべてがバーディチャンスなのだから。


 そこに早くも気づいた瑠利は流石であるが、いかんせんまだまだ実力不足。

 真似しようたって、一朝一夕で出来ることではないのだ。

 長い修練の賜物なのだから、いまの瑠利には無理なのである。


 とはいえ、そこで諦めたら終わりであった。

 むしろ、こんな機会を与えてくれたプロたちに、彼女は感謝していた。


 あの後ろ姿こそ、今後の瑠利が目指すべき姿であり、目標となるのだ。


「ありがとうございます」


「なによ、急に?」


「ルリっちが変」


「マリカさんも、リオも、ルリちゃんに失礼よ。この子、鋭いから、もう気づいたみたいね」


「へへへ」


 そうして、ヘニャっと笑った瑠利は、集中力を高めてボールを打つ。

 

 その球は低い角度で飛び出し、3バウンドして転がり、グリーンへ乗った。


「おおっ」


「やるわね」


「ナイスゥ」


 それが里桜、真理香、涼花の反応だ。



 結局、ここはグリーンが難しかったこともあって、四人ともにパー。

 次のホールへと進むのであった。


 

 


 




ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。


ゴルフ用語全ての解説は無謀すぎるので選びながらですが、最初にこれを済ませておけば後が楽です。

そう信じて補足をしているのですが、その結果、読みにくく感じられているもしれませんが、ご容赦を。

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