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おやつタイム

 瑠利たちの練習も終わり、受付に佳斗だけを残した女性陣と陸斗は、事務室へ集まっていた。


「さあ、今朝作ってきたプリンよ。みんなで食べましょう」


「やったー」


「わ~い」


「待てました!」


「私もいいんですか?」


 それぞれ事務室の中央に設置された来客用のソファーに座り、歓喜の声をあげながらテーブルへ並べられたプリンを手に取る。

 瑠利は若干気にしているようだが、美里の「もちろんよ」との声に、喜びも露わにし「おいしそう」と、一言。


 陸斗もさっそく口に運ぼうとスプーンを取るが……。


「うん、美味しい」


「カエデ姉ちゃん、はやいよ」


「まあ、カエデは食い意地が張ってるからね」


「むぅ」


「はいはい、シホは意地悪なこと言わないの」


「は~い」


 またまた相変わらずの姉妹であるが、瑠利にはそれが眩しく見える。


「はぁ……」


「どうしたの? 溜息なんかついちゃって」


「いえ、なんかその……、カエデさんとシホさんっていつもあんな感じでしょう。それが羨ましくなっちゃって……わたし一人っ子だから、そういうの無いんです」


 と、それは瑠利の本心だ。


 お姉ちゃんか妹がいれば一緒に遊んだりできるだろうし、兄か弟なら甘えたり甘やかしたりもできる。 

 一人っ子は自由で我儘にできるが、兄弟姉妹には憧れているのだ。 


 それを察してか、カエデは瑠利の頭に手を置き、ガシャガシャと髪をかき混ぜると「ああ、もう可愛いなぁ、この子は」と呟き、その心を吐露する。


「あたしはお姉ちゃんがいて、楽できてるからね」


「おい」


「ははは、そんな感じですよね」


「でも、まあ、あたしも妹は欲しかったし。ルリがここに住むことになったらもう、あたしたちの妹みたいなもんでしょう」


「えっ」


「あらあら、そうなると私の子供は四人に増えてしまうのね」


「四人?」


「だって、ねぇ……」


 そう言った美里の視線は、陸斗に注がれていて。


「僕も?」


「うふふ、そうね。義姉さんに頼まれてるからね」


「お母さんに?」


「そうよ」


「うん、じゃあ、僕もミサトママって呼ばなくちゃ」


 そんな会話をこっそり聞き耳立てていた佳斗は、美里へ忠告を入れる。


「おいおい、私の息子を勝手に誘惑しないでくれよ」


「あら、いいじゃない」


「でも、それだと、兄妹で夫婦ってことになってしまうだろう。周りへの印象も悪いし、それはダメだろう」


「ああ……、言われてみれば、そうね。ごめんなさい、りっくんにママ呼びされるのは諦めるわ」


「ああ、そうしてくれ」


 そこに大人の都合というものが見え隠れしていないこともないが、世間体を考えれば当然である。

 全てのお客さんが神川家の事情を知っているわけではないので、知らぬ者から見れば勘違いされてしまうだろう。

 そう言った意味では、やはり美里はおばさんのままが正解であった。


「ごめんなさいね、りっくんにママって呼んでもらうのは、ちょっとまずいみたいなの」


「うん、大丈夫だよ。やっぱりお母さんが寂しがると思うから、ミサトおばさんって、呼ぶよ」


 そんな可愛らしい会話に充てられたのか、姉三人はホッコリ笑顔。


 特に瑠利は言い出しっぺであり、すでに陸斗を可愛い弟のように感じていたため、「私が守らなくちゃ」と、意気込んでいた。



 こうして三時のおやつタイムは過ぎていき、再び普段通りの業務へ戻ることになる。

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