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宣戦布告

 暴走するカエデから逃れた陸斗は、詩穂の背後に隠れた。


「リク、ごめんね。妹がバカで」


「ううん、だいじょうぶ」


「ほら、バカエデ。ちゃんと、リクに謝りなさい」


「りくちゃん……ごめん」


「……うん」


 その様子をグリーン近くで見ていた瑠利は『羨ましい』と思いつつ『絶対に私はあんな事しないぞ』と、心に決めていた。


 あんな風に陸斗をギュッと抱きしめたい願望はあっても、嫌われてしまっては元も子もない。

 もう、小さな子供ではないのだから、やり過ぎたら嫌がられるに決まっている。

 その反面教師が、姉に叱られ動揺するカエデであった。


 ただ、それで陸斗がカエデを嫌いになるかというと、そうはならないであろう。

 まだ子供というのもあるが、自ら進んで近づいたのだから、嫌ではない。

 遊びたい盛りということもあり、ただ単にウザかっただけなのだ。


 三年前に大切な母親を亡くした陸斗は、その寂しさを埋めてくれた夏目姉妹が大好きだ。

 特に辛く悲しい時期に、ずっと抱きしめてくれていたのがカエデであった。

 そのため、ただタイミングが悪かっただけで、普段であれば詩穂と同じように彼女にも甘えてくれるが、今は遊び相手の瑠利がいる。

 二人よりも年は近いし、お姉さんではあるけれど友達のような感覚であり、リフティングやパターで勝負しても年下だからって手加減などしないため、悔しいけどとても楽しいのだ。

 そして詩穂も陸斗を子ども扱いせずに接してくれていて、カエデだけがいつまでも変わらないのである。


 自分の行動の不始末に、カエデがいつ気づくのか。


 それが一番の問題であった。





 とまあ、そんな一幕もあったが、彼女たちがここへ来た理由は、瑠利に会うためである。

 可愛い従弟にかまけていたが、本命はコチラだ。


「恥ずかしいところを見せちゃって、ごめんなさいね。えっと、キミが朝陽さんでいいのかな?」


 まだ初対面の挨拶も済ませていないのに、さっそくやらかした妹の不始末を申し訳なさそうに謝罪した詩穂は、そう瑠利に尋ねる。


「はい、朝陽瑠利です。あなたは?」


「私は夏目詩穂。で、こっちが妹のカエデ」


「あ、うん。夏目カエデだよ。よろしくね」


 カエデはさっきのことなど無かったかのように自然な挨拶を返すと、瑠利を値踏みでもするかのような鋭い視線を向けた。

 相手を知らないからというよりは、わかっているからこその視線であるが、瑠利もそれに気づいていて、極力反応しないように努めている。

 平静を装い軽く会釈すると、ニッコリと微笑むのだ。


「はい、よろしくお願いします」


 こうして自己紹介は済んだわけだが、何故か初っ端からバチバチの二人。


 その原因はカエデにあるが、彼女にそれを隠す気はないらしい。


「ふ~ん、見た感じバランスもいいし、体幹も良さそうね」


「カエデ、何言ってるの?」


 詩穂は不意に態度を変える妹に困惑するが、カエデはそれを無視。


 陸斗もわけがわからず「カエデねえちゃん、どうしたの?」と尋ねるも、それも無視。


 ただ、瑠利にだけ視線を向ける。


 そして「ふぅ」と一息つくと、とんでもないことを言いだした。


「ルリ! 私と勝負しなさい!」


「えっ……」


 それはカエデからの宣戦布告。


 何をもってそうなったかわからないが、戦い(バトル)へと発展したのだ。







 

ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。


急ですが、バトルに発展しました。

対戦方法はもちろんゴルフ。


その、肝心な理由は……。

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