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金魚すくいに、すくわれた

掲載日:2024/03/16

友達と喧嘩したんだ。


なんか、ムカついた。


特に、理由はないけどね。


そのくらい、しょうもないこと。


自分が、バカに思えてきたよ。





好きなことがない。


好きを感じる隙もない。


そういうこと。


唯一、好きに近かった友達。


今はもう、好きに近くないな。





勉強が出来ない。


それが、一番ダメだ。


そこが良ければな。


なんとかなるのにね。


歩み進められるのにな。





学校で突っ伏す毎日。


机の木目を、見つめる日々だ。


しかも、至近距離でね。


机に逃げても、無駄みたい。





耳が、珍しいタイプだから。


福耳で、かなり大きいから。


聞きたくなくても、耳に入る。


耳で羽ばたけるんじゃないの?


それくらい大きい。


折り畳めれば、話は別だが。









お祭りに来た。


ひとりでね。


金魚すくいだ。


金魚すくいがあるよ。


やるしかない。





ストレスが増えるか減るか。


それは、実力次第だ。


ポイで金魚を狙う。


バンバン取れた。


思い通りいって、実力が出せた。


金魚が、雲より軽く感じた。




顔を上げれば、そこは人の群れ。


口角が上がった人ばかり。


初めて、自分を嫌いじゃなくなった。


ある顔を見つけ、首がカクッとなった。


喧嘩した友達だ。





「ごめんね」


友達が小さく言う。


「悪いのは、こっちだよ」


私は、頭を下げた。


「スゴかったよ。かっこよかったよ」


「ありがとう」


褒めてくれた。





金魚すくいが、好きかも。


褒められると、好きになる。


単純だな。


もっともっと、金魚をすくいたい。


すくって、すくい続けたい。


武器を見つけたから、嬉しい。





金魚をすくうように、勉強した。


そしたら、成績が上がった。


たぶん、言っても分からない。


感覚的なものだから。


自分でも、分からないんだ。





金魚すくい勉強法。


私は、そう名付けた。


すごい勉強法だ。


おかげで、うまくいった。


勉強だけに、とどまらない。


金魚すくいの要領。


それで、あらゆることをこなした。





でも、破れそうになった。


心のポイが。


薄い紙だから。


繊細だから。


スランプは、誰にでもある。





落ち込んだ。


そこに、友達が寄り添ってくれた。


「大丈夫? そばにいるからね。一緒に頑張ろう」


「うん。ありがとう」


喧嘩していたのが、嘘みたいだ。


友達は、私を引き上げてくれた。


前向きな言葉で。


言葉のポイで、すくってくれた。





友達は言う。


『ひもくじをひくみたいに、物事をやってみたら、うまくいったんだ』と。


『でも、ひもくじイメージは、時にうまくいかなくなる』みたい。


『ハズレを引くことが多くなった』んだそうだ。


そんなとき、友達が助けてくれたらしい。


カタヌキを型抜く、そんなイメージで。


様々な物事を、処理する友達に。





放課後になった。


廊下でうずくまる、男子がいる。


イライラしてる。


すくいたいと思った。


今は、心のポイの調子がいいから。


話し掛けることにした。





「どうしたの?」


「割ってしまってね。心の中にある『傘のカタヌキ』を」


「それは大変だね。でもね、カタヌキも、やり直せる。そう考えないと」


「うん、そうだよね。ありがとう」


噂の子だ。


友達をすくってくれた子だ。


心で、ひっそり叫んだ。


『私がすくうよ。分厚い心のポイで』と。

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