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第96話 会議 1 思い出せて良かった

 ここはギルドの鍛錬場。

 どうやら昨日に引き続き鍛錬の為に集まったらしいが、シアとルナの姿が見えない。

 貧弱な彼女は1日経っても、情けなくダウン中と言ったところか。


 まだ時間ではないので大人たちは来ていない。

 セシリアとセシル、リリーナは軽く体を動かしながら……横で何故かリアーネも混ざってお話中。

 セシルはそこまでではないが、皆動きにキレが無い。疲れが抜けていないのだろう。

 そうこうしている間に大人達がやってきた。



「ん? 嬢ちゃんはどうした? それに何故リアーネが……」


 集まった皆を見て団長が最初に口を開いた。

 シアは疲れだろうかと想像はつくが、リアーネに関しては全く分からない。


「シアはまだしばらくは眠ってもらった。なんせ全身プルプル震わせて酷い事になってたから……昼頃には来るはず」


「リアーネさんは私が呼んだんだよ。ちょっと皆で話したい事があったからさ」


 それに答えるのはリリーナとセシリア。

 昨日早めに寝たからか、皆早朝に目が覚めたのだが……シアは疲労と全身筋肉痛で酷い状態だった。

 今まで散々治癒魔法に頼ってきたツケだ。


 ひとまずもう一度ベッドへ送ったが、本人にやる気がある以上は止めるのも可哀想というもの。

 なので、とりあえずもう少し休んでから昼頃に来るよう伝えた。

 それでどれほどマシになるかと言えば、変わらない気がするけれど。


 今日はリーリアも学校が休みなので、眠れなくとも時間を潰す事は出来るだろう。

 昨日あれだけ厳しくされた2人も当然疲れは残っていて、ハッキリ言ってキツイ。

 それでもやはりやる気充分なので見上げた根性だ。


 ちなみに流石のセシリアも昨日は自宅へ帰ったし、朝もシアを見に来る余裕は無かったらしい。

 しかし重要な事を思い出して、姉妹へ慌てて連絡をしたのだ。



「そうか……やっぱり体が弱いってのは問題だな。やはり治癒魔法に頼り切るとそうなってしまうのか? 他人事じゃないかもしれないし気を付けないとな……」


「しかしわざわざリアーネを呼んでまで何を話すんだ?」


 理由を聞いた団長は納得。

 おまけに魔法に頼った体への影響という、微妙に間違った感想も抱いたらしい。

 流石に長く戦ってきただけあって、彼は治癒魔法による弊害を知っていた。


 それでも詳しくは無いようだ。

 彼女が最初から貧弱なだけで、恐らく健康な人が日常的に治癒魔法に頼っても貧弱になったりはしないはずである。


 そんな事は置いておくとして、リアーネを呼んで話す事はなんだろうかとダリルが聞き返す。


「第1回シアちゃん会議!」


 その答えとして、手を挙げて元気よく宣言したのはセシリア。

 答えを聞いても分からない。


「なんだそれは?」


 当然理解出来ないので今度はフェリクスが訊ねる。

 この場で分かっているのは先に来ていた4人だけだ。

 大人達は誰も分からないので揃って同じような疑問を浮かべている。


「文字通りシアちゃんに関して話し合うんです!」


 更に答えるセシリアだが、相変わらず良く分からない。

 いや、話す内容は分かったが……それをわざわざ名前を付けて宣言した意味が分からない。


「この間だって彼女について話したじゃないか。今度は何を話すんだ?」


「あ、そうか。じゃあ第2回シアちゃん会議!」


 思わず口を挟んだダリルだが、それを聞いてセシリアは訂正した。

 話を聞いているのか聞いていないのかも分からない。


「そうじゃないでしょ……」


「というかあの子を保護した時点で、大人達でまさに会議をしてるんだけどね」


 内容は最初から分かっていたけれど、セシリアがこんな事を言い出すのは考えていなかったリリーナが突っ込む。

 言うなら早く内容に入れと呆れている。


 リアーネは若干ズレた言葉を返しているが、それは今全く関係無いのでさっさと真面目に答えるべきだと思う。


「え、そうなの? じゃあ第3回シアちゃん会議!」


「もういい……お前ら、説明してくれ」


 尚も話が進まない娘を見て、フェリクスは諦めて姉妹の方を見て説明を求めた。

 娘なのだからなんとかしてあげて欲しい。


「はぁ……えっと、明日がシアの誕生日なので、何かしてあげたいなって話です」


「私もなにかプレゼントでもと思ったんだけど……急な話だったし、どうしたもんかなと」


 2人もセシリアは放置していい加減話を進める事にしたらしい。

 そう、つい忘れてしまっていたのだが、明日はシアの10歳の誕生日だったのだ。

 だから何かしてやりたいと思っての話だったのである。


「なんだそうだったのか。……それくらいパっと言えんのかお前は」


「えぅ……だって皆で考えようって感じにしたかったから……」


 ようやくちゃんと答えが聞けたので、フェリクスは納得しつつも娘に呆れた目を向け軽く叱る。

 そもそも家族なのだから、今朝思い出した時点で伝えればいい。


 しかし残念ながら、彼は鍛錬に時間を回している分、早朝から仕事で家を出てしまっていたのだ。


 しょんぼりしながら彼女も弁明するが、だからと言ってよく分からないのは変わらない。

 本当に何がしたかったのか。

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