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第89話 復活と前進 4 道を違えた1歩

 所変わってここは街の外れ。


 グリフォンの件にて、勝手な行動をした挙句街へと誘導し襲撃させてしまった5人。

 彼らは自分達がどうしようもない状況であると悟って、これからどうしようかと集まり話していた。


 ハンターとしての立場を剥奪され、敵を引き寄せた原因として街の修繕等の支払いという賠償金も課せられ……厳しい処罰を受けることになった。

 話はあっという間に広まり、周囲からの評価はどん底。

 冷たい視線に晒されながら、新しく仕事を探して生きていくのは難しいだろう。


 街を護るべき者が勝手に動いて、結果として街を危機に陥れるなど許される事では無かった。

 日々命を懸けて戦うハンターとは誇り高き人達だと、誰もが信じてくれている。

 あまりよろしくない者が居るのも当然だが、それでも信じるのだ。


 だから支えてくれる。だから尊敬されている。だから感謝されている。

 それを裏切るようなあまりに大きな失態への代償は――仕方ないがあまりに大きく重かった。


 払う物を払い、家族等……近しい者へ迷惑を掛けまいと去ったのは彼らの良心だったのか。

 そんな彼らの行動だけは責める者も居ない。

 事実迷惑にしかならないのは誰もが想像出来てしまう。


 外壁に護られた、ある意味閉鎖的と言えなくもない街。

 その中で代償は重く圧し掛かり――立ち上がる事さえさせてくれなかった。


 彼らも子供ではない。何が悪かったのか、なんて全て理解している。

 そして真っ当に生きていくにはこの街ではもう無理だ。

 ハンターとして働けないのはあくまでもこの街での話だが、近隣の街には話が広まってしまうだろう。

 金が無くとも、どうにかして何処か遠くの街まで行かなければならない。

 そんな事を話していた頃、彼らに話しかける者が居た。



 何処にでも周りに馴染めない者は居て、悪事を働く者が居る。

 そればかりはきっと、どうしようもない事なのだろう。


 何時だってそういう者は居て、街の治安を維持するための警邏隊により対応はされるのだが……それも完璧ではない。

 悪人など、防衛の為に壁で閉ざされた街では基本的に影の薄い存在だ。

 隠れなければ居場所すら、安全な生活すら手に入れられないのだから当たり前の話ではある。


 幸運な事に、全体的に治安の良い平和なこの街ではそういう者は少ない。

 より過ごしやすい不安定な街へと逃げてしまうからだ。

 それでも居る所には居るものだ。

 彼らに声を掛けたのは、そんなどうしようもない者だった。


 彼は言葉巧みに、元ハンター達を悪の道へと引き摺り込もうとしていく。

 手駒が増えるのは隠れる者にとって都合が良い。


 彼らとしては悪に堕ちるつもりはなかった。

 多少なりともハンターとして戦ってきた誇りがあった。

 だから新たな居場所を目指そうとしたが、しかし不満もある。


 評価されなかった不満、何も出来ず大きな代償を負った不満、まともに生活出来ない不満。

 生きていくには居場所と金が要る。

 何処か遠くへ行くにも、このまま無策で何も持たずなど不可能だ。


 結局――彼らは拒む事が出来ずに、本来目指すべき道とは違う方向へと足を踏み出してしまったのだった。

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