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第68話 答え 2 普通じゃないモノ

「今度皆を集めて話すか。シア、その力……あまり人前で積極的に使ったりはしない方が良いかもしれないな。余計な興味を惹いて調べられたら面倒な事になりかねない」


「えっ……? そう、なんだ……」


 呆けていた所に声を掛けられて、シアは意識を戻した。

 別に聞いていなかったわけではないが余計な事を考えてしまっている。


 ダリルとしては、あまりこの力を見せるのは良くないと考えているらしい。


「流石に大丈夫じゃないですかね? ダリルさんでも近くでじっくり見て調べなきゃ分からなかったんですし、今まで通り魔力障壁と言い張ったほうがよっぽど信じられます」


 しかしセシルはそうは思っていなかった。

 そこらの人が見ただけで理解出来るとは思えないし、魔力障壁だと言えば誰でもそう信じる。今までの自分がそうだったように。


「それもそうか。まぁ余計な面倒にならないよう控えるのも考えて、聞かれても魔力障壁だと説明するようにな」


 言われてダリル自身、調べるまでは魔力障壁なのだと受け入れていた事を思い出す。

 むやみやたらに使わず、気にするような人が居れば嘘の説明をすればいい。

 そして詳しく調べるなんてさせなければ大丈夫かもしれない。



「う、うん。分かった……」


 ぼーっとしているが、一応聞いて理解は出来ているシアは返事を返す。


「急に凄い事が分かって驚いてるんだろうけど、とりあえず今は気にせずゆっくり休んだ方が良いよ」


「ああ、流石に混乱するだろうが、落ち着いてから考えても良いだろう」


 シアが単純に驚いて混乱していると思っている2人は、寝て休んで落ち着けと気遣う。

 混乱しているのは確かだが、それは彼らが思っているようなものではなかった。


「多分しばらくすれば、セシリアもリリーナも帰ってくるからさ。それまで寝てなよ」


「……うん」


 きっとその内、セシリア達も戻るだろう。

 それに、討伐が終わるまでは他の隊は待機になる予定だ。


 言い方は悪いが、仮に実力の無い者が巻き込まれたら面倒だ。

 護るという余計な仕事が出来てしまう。

 大人しく逃げてくれる者だけではないのだ。


 だから彼らが再度出発しても彼女達は残る。

 十中八九喜んでシアの相手をするだろう。



「じゃあ、すまないが俺達は行くぞ。ここで寝てる事を伝えなきゃならんし、それっぽい理由も話さなきゃならん」


「基本的には誰もこの部屋には入らないようにするからさ」


「あたしが居るし大丈夫。シアは任せて」


 シアの事をリアーネにどうにかこうにか上手く説明しなければならない。

 ついでに団長にも部屋を使っている理由を伝えなければならないだろう。


 ルナの言う通り、シアの事は彼女に任せて2人は部屋を出た。


 彼らが出て行った後もまだシアは呆けている。

 自分の力について理解が進んだ喜びなど無い。


 グルグルと纏まらない思考の中で、暗い感情に飲み込まれつつあった。

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