第56話 休息 6 試し撃ち
「なるほどねぇ……色々考えて作られてるんだな。当たり前だけど」
いくら魔法でも出来ない事は沢山ある。そんな中で試行錯誤を繰り返してきたのだ。
今まで魔道具に触れてこなかったルナには新鮮に映っているらしい。
「そうだね。私も銃持ってたら良いんじゃないかな。魔法はダメだけど魔力はけっこうあるし」
銃というものに惹かれたのか、シアがなにやら言い出す。
前世の影響もあるだろうが、銃があればシアの貴重な攻撃手段が得られる。
強化すら満足に扱えない貧弱な体だ、武器を振り回すのが難しい彼女にとっては是非とも欲しいだろう。
「おお! 確かに!」
ルナも賛同。シアが攻撃手段について悩んできたのは彼女が一番知っている。
「銃を持って何をする気か知らないけど……無理じゃないかな? 君の小さい手じゃ持ちづらいだろうし、なかなか反動が大きいからな」
しかしリアーネは止めた。
子供が銃を持つなんて訳が分からないし、どう見ても色々な意味で手に余る。
「ぅぐ……」
思いつきで言ってしまったが、そりゃ止められるか……と納得もしてしまう。
「試しに撃ってみたら? ……やっぱダメかな?」
「まぁ点検でも実際に撃つしねぇ……危ないから場所は考えなきゃならないけども」
興味もあるし、シアに使えるなら良い事だとルナが食い下がっている。
「だってさ。シア、撃ってみなよ」
「良いなら撃ってみたいけど……どこで?」
「……そこから庭に出れる。土壁を作るからそこへ撃つといい」
リアーネの答えが許可だと思った2人はもう乗り気だ。
大人としては絶対に止めなければいけない。
しかしなにやら考えているようだし、撃つのもまた経験になるし……どうしたものかと悩んだ結果、監視の下で撃たせてやることにした。してしまった。
これは立派な大人というお姉ちゃんらしくないだろう。
甘やかしが悪く出たらしい。
そうして一旦部屋を出て庭に向かう。
リアーネが安全の為に頑丈な土壁で、正面が開いた箱状の場所を作る。
この中へ向かって撃てば、見当違いの所へ弾が飛んでも大丈夫だ。
「さぁ、あの壁……箱だ。他の所に撃っちゃだめだぞ」
「う、うん……」
「大丈夫? 全然持ててないよ」
念の為に銃を点検してからシアへ渡す。
しかし割と大きめで重い銃は、小さなシアの手ではまともに持つ事も出来ていない。
これで自分には無理だとさっさと諦めてくれれば良いのだが……
「やっぱり無理だったかも……」
「子供が、しかもそんな状態で撃つなんて危険過ぎるし、どう考えても止めるべきなんだけどね。何か思う所もあるみたいだし経験してみるといい。私も支えてやろう」
危ないからそのまま諦めろ。
無理矢理にでも奪って終わらせようという考えは彼女にもあった。
それでもやはり何か2人の意思を感じるし、身体強化をさせて支えながらだったら大丈夫だろうと手を出した。
「強化すればなんとかなるかな」
「そんなことで使うの?」
「いや、使わないと危ない。手は特に、反動で放り出してしまわないようにしっかりと持つんだ。シアだと衝撃を受けきれるとは思えない。背を反らさないように、脚で支えて……」
シアはどうにか出来ないかと身体強化を使う。
負担を考えて腕だけだが、ちゃんと持っていられるようになった。後で筋肉痛確定だろう。
元より強化前提で考えていたリアーネはそのまま助言をしつつ、シアの背と手を支える。
いくらシアでも強化した腕なら事故は無い。
たったそれだけでも安全面ではだいぶマシだ。
「うん……よし、いくよ」
銃など前世でも撃ったことは無いし詳しくは知らないが、強い反動に備えて緊張しながら構える。
そして大きく深呼吸して引き金を引いた。




