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第43話 襲来 6 筋肉モリモリ、マッチョマンの変態

「しかしあいつらがなんでここに来るってんだ?」


 団長は彼らがここを訪ねてきた理由が気になる様子。

 緊急事態だったならとっくに伝わっているだろうし、部屋の外もそんな雰囲気ではなくいつも通りだ。


 シアは気になるのか、様子でも見てみようと部屋を出ようと歩き出した。


「おい、ヴィクター!」


「ぴゃっ!?」


 瞬間、ドカンと勢いよく開く。

 内開き故、危うくドアに吹き飛ばされるところだったシアは悲鳴を上げ、驚いて尻餅までついた。


 上半身裸でムキムキムチムチなスキンヘッドの色黒大男が入ってくる。とんでもない存在感だ。


「お? なんだこの子は?」


「お前、ドアは普通に開けろ。その子が吹っ飛ぶ所だったぞ、気をつけろ」


 可愛らしい悲鳴を上げて尻餅をついている小さな少女に気付き不思議に思う。

 何故こんなところに幼い子供がいるのだろう、と。


 そもそも何故普通に開けて入ってこれないのか。

 シアは毒づきたくもなったが、見上げた半裸の大男に恐怖した。


 2メートルは有るかという筋肉モリモリな体。

 なるほど素晴らしい程に鍛え上げられている。もはや芸術。

 半裸なのは常にボディビル気分なのだろうか?


 見せつけるというのも納得してしまいそうになる。

 そんなマッチョマンを至近距離で、尻餅をついて下から見上げたシアの視界は筋肉で埋まった。


「ひゃぁああ……あわわわわ……」


 怖がってはいるが、鍛え上げられた筋肉に若干見惚れている節もある。

 やはり筋肉は男の憧れなのだ。


 これほど鍛えるには並大抵の鍛錬では無理だし、脂肪を落とし体を絞るのもまた途轍もない覚悟と自己管理と努力の成果だ。

 この肉体を作り上げ維持しているだけで驚嘆に値する。


 しかもそんな筋肉だけでスタミナの無さそうな体であって尚、ハンターとしての実力も素晴らしいとまでなると……どれほどの鍛錬と努力をしているのか。


 というような尊敬と恐怖がごちゃ混ぜになってシアは混乱している。


「これはすまんかったな、お嬢ちゃん、大丈夫か?」


 そんなシアを抱き上げる大男。

 団長が連れ去った時より遥かに危険な絵面だ。


 抱き上げるというか……デカい両手で脇からひょいと軽々持ち上げられたシアは更に混乱した。

 彼としては、転がった小さな子供を見下ろしているより、持ち上げて目線を合わせただけなのだが……やり方がズレている。


「ひゃわわわ……」


「やめろ。怖がってるじゃねぇか馬鹿が」


 流石に団長が止めに入りシアを受け取りソファへ向かい降ろす。

 ルナが慰めるように頭をぺちぺちしているが顔はにやけているのは相変わらずだ。


「自分の見た目を考えろ」


「なんだと? これほど素晴らしい肉体を怖がるなど――」


 自分もシアを連れ去って嫌な疑いをかけられたからか、真面目に忠告するが全く意味が無い。

 なにやらポーズをとっているくらいだ。


 己の肉体に誇りを持っているのは良いが、性格も合わさって子供相手は絶望的に向いていない。



「あぁ、もういい……で、マーカス。一体何の用で来たんだ? 珍しいじゃないか」


 そういう奴だったなと即諦めて要件を聞く。


 団長としては要件が気になる。

 彼がわざわざ出向くなど何か特別な事情があるはずだ。

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