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第42話 襲来 5 猫はご飯をあげると懐く

 結局、たった数日間の事では大して話が広がらなかったが……スミアは上手く質問を挟んだりして長くサボり続けていた所、いい加減怒られた。

 そうして団長がスミアを追い出し、シアは一息ついたらしい。


 勢いがあるというか、とにかく積極的な彼女の相手は難しいが、同時に嬉しさもある。

 分かりやすく好意的なら邪険にもしたくないし、美味しいお菓子をくれたので少しだけ懐いたようだ。

 シアもシアで分かりやすい。



 それはそれとして、自分を置いて何処かへ行ったルナには文句も言いたくなるというもの。

 一気に静かになった部屋で少しまったりとしていると、その逃げていたルナが戻ってきた。


「あ、やっと帰ってきた」


「えへへ、ごめんて」


 シアは少し不満そうに迎える。

 ルナはちょっとだけ申し訳なさそうにしているが、笑っているあたり反省はしていないと見える。


「ねぇねぇ、今凄い集団が来たよ」


「なにそれ……凄いってどういうこと?」


 未だ不満気なシアの気を逸らそうとでもしているのか、面白そうに言う。

 凄い集団が来たとはいったいなんなのか……シアはまんまと興味を移した。


「なんか、ムキムキのデカい男達が見せつけるように半裸で歩いてて、凄いとしか言えなかった」


「変態?」


 変態としか言えない。


 筋骨隆々でデカい男ならそこにいるが……半裸でしかも集団で見せつけるとなると普通ではない。

 シアも更に興味が湧いたが、流石に変態に近づきたくはない。


「いや、そいつらは多分俺に用があって来たんだろうな」


「団長……変態の知り合いいたんだ。団長もムキムキだしそういう……」


「違う!」


 すると横から団長が口を挟む。どうやら思い当たる事があるらしい。


 ルナは同じくガタイの良い団長があの集団と関係があると知って、なにやら酷い想像をしているらしい。

 これには団長も慌ててきっぱりと断言した。


「え……団長は変態じゃないよね……?」


 シアは恩人である団長が変態の仲間だったらどうしようと不安になったらしい。

 必死に否定したのが逆に怪しく見えたとでも言うのか。


「違うっての! そいつらはこの街で一番有名なハンターギルドの連中だ」


「そんな凄い人達だったのかー……見かけによらないな」


「一番有名?」


 必死な様子の団長が言うには、彼らはこの街のハンターギルドの中で最も有名であるらしい。

 ルナは素直に驚いているが、シアはなにやら気になったらしい。


 有名という事は、強い人が多いとか規模が大きいとか影響力があるとか、色々理由はある。

 しかしそんなギルドがはたして変態的な行動をするだろうか?

 単純にそういう行動のせいで有名なだけなのでは?


 いや、まさかね……と、シアは考える事をやめた。

 大人しく聞くなり見るなりで判断した方が手っ取り早い。


「そうだ。奴らは基本半裸だし、やたらと鬱陶しい絡みをしてきやがるからな。誰でも知ってる」


 だがしかし、そのまさかだったようだ。


「やっぱりただの変態だよそれ……」


「いやいや、そんな奴らだけど実力はとんでもないぞ」


 思わずシアは呟くが、それを聞いた団長は少しだけ彼らの擁護をする。

 どうやら実力は相当高いらしい。変態で強いとはまた厄介である。

 ただし変態という事は否定しない。


「そうなの?」


 団長がどれほどの実力なのかは知らないが、このギルドだってかなりレベルが高い事はシアでも見て分かる。

 というか、実際この街のハンターギルドの実質的なトップはここだ。


 そもそも建物が立派である。

 ハンターギルドに関する事の殆どは街を治めている議会が決めて用意する。

 実力等で認められていなければ待遇も良くならないのだ。


 そんなギルドの団長である彼が、そこまで評価するとなると本当に凄いのかもしれない。


「少なくとも奴らはこの街で最強だ。言動に多少問題があろうと、ひとまず皆受け入れている。悪い奴らじゃないし、鬱陶しいだけで実害も無いからな」


 という事らしい。

 変態的な集団ではあるが実力があり悪人でもなく、むしろ皆を護っている。

 そんな訳で、仕方なしに誰もが受け入れざるを得ないと言った方がいい。


「そんなのあり?」


「ありみたいだし、気にするだけ無駄じゃない?」


「まぁ傍から見れば面白そうな集団だけどさ」


 ルナは懐疑的。

 どれだけ強かろうが変態だし、どれだけ変態的な事をしていようが最強なのだ。


 シアはもう考えていない。むしろそんな集団は面白いとまで感じている。

 それはルナも同じだった。


 面白ければ別にいい。それが彼女達の性格だ。

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