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第32話 お風呂 5 邪な感情も洗い流せ

「……酷い」


「ふん……ほら、次はシアとリーリアよ」


「わーい」


「あー……お願いします」


 とりあえず交代。

 ルナもいい加減飽きたのか上がってきて、お湯を張った桶の中で泡まみれになって髪と体を洗い始めた。


「先にリーリアを洗おうか」


 流石に子供を2人で洗うとなると、さっきよりずっと早そうだ。


「くすぐったーい」


 嬉しそう。

 セシリアもやっぱりだらしない顔で洗っている。大丈夫かなこの子……



「ルナ、楽しかった?」


「そりゃもう! 温かいお湯の中を自由に泳ぐのって、湖とかで遊ぶのとは全然違うね」


 待っている間ルナとお喋り。随分楽しんでいたようだ。


 そういえば川で遊んだりはしたけど、ちゃんと泳いだことは無いな。

 この体は泳げるんだろうか?

 簡単に溺れそうな気がする。


「水中で動くのは魔法?」


「うん、水の流れを作ったりね。一応魔法で空気も少し確保してるんだけど……難しいんだよね」


「そんな事出来るんだ」


 水中で空気を確保する魔法ってなんだ。何をどうしたら出来るんだろう。

 ルナが難しいと言う程なら私には無理かな。


「シアだったら、自分を障壁で包んで魔法で水で動かせば出来るんじゃない?」


「おぉ、そんな手が」


 なるほど。

 確かにあれは物理的に密閉されるから、中の空気が尽きるまで居られる。


 それを動かせば――いや、ならボールみたいに浮くかな……?

 障壁もそういう細かいところは検証出来ていないから、細かく調べてみたいな。


「シアちゃん、交代だよ」


「あ、うん」


 リーリアは終わったようだ。

 

 体を洗われるのはお母さんにもされていたし、恥ずかしさは有るけど問題は無い。

 むしろ洗う側として色々見て触っちゃった後だから、それくらいなんてことないと言うべきか。


「お願いします」


 私はリーリアより更に小柄だし、あっという間に終わるだろう。


「さて、シアはしっかり洗うからね」


「とりあえずで拭いただけだし、ちゃんと洗わないとね」


 あれ、そうでもないっぽいな。

 まぁ今まで山で遭難してましたってなると、念入りに洗おうとするのは分かるけど。

 1日経って今更?

 それに洗剤が無いだけで毎日洗ってはいたのよ?


「そんなに汚れてはいないと思うけど……」


「まぁ確かに、拭いただけでお風呂を後回しに出来るくらいには綺麗だったけども」


「それとこれとは話は別だよ。今までは魔法で洗ってたの?」


 野生的な生活だったとしても体は綺麗にしてましたとも。

 ルナにされたり自分でしたり川に行ったりと、方法は気分と体調次第だったけど。


「うん、そんなに沢山は無理だけどお湯作って浴びてた」


 頻繁に寝込んだり体調崩したりしてたから、ルナのお世話になることが圧倒的に多かったけどね。


 それほど無理をしてまで鍛錬を続けてたのも、今思えば馬鹿だったね。

 結局その頃――ルナと目的を決めた時から、私はズレていたのかも。


「ほんとよく無事に生きていられたねぇ」


「痩せちゃってはいるけど、傷とかも残って無いし……障壁もそうだけど魔法も相当上手くなきゃ無理だもんね」


 何年も彷徨っていた子供にしては、だいぶマシな体つきだってことには気付かないでほしい。


 逆になんで誰も疑問に思わないのかが不思議なくらいだ。

 こっちとしては設定考えなくて済むから助かるけどさ。


「あー、うん。適正は無いけど精一杯上手く使えるように頑張ったから」


「その適正が無いっていうのも気になるけど、それはまた今度聞こうかな」


「皆色々聞きたいだろうしねー。はい、流すよー」


 ダリルさんもかなり障壁と魔法に興味持っていたみたいだし、今度話してみたいね。

 くすぐったかったけどとりあえず何事も無く終わり。


「んふー……」


 なんだろう、久々にしっかりと全身泡まみれで洗ったからか体がスッキリ。

 でもなぁ……


「シア、気持ちよかった?」


「うん」


 凄く子供扱いされてるし、一緒にお風呂って今回だけじゃなさそうな気がする。

 良いやら悪いやら……


「じゃあお湯に浸かろっか」


「あぁ、ズルイ……私が抱えようと思ったのに……」


 リリーナも何故か私を脇から抱き上げて運ぶ。やめてー。

 本当に小さな子供扱いだ。暴れて落ちたら危ないし大人しくしておくけどさ。



 そうして温かいお風呂に浸かるけど……気付けば恥ずかしさはかなり消えてる。

 やっぱり開き直って受け入れてしまえば、とりあえず今の所は問題無いようだ。


 だけどこんな事が続いたらどうなるか分からない。

 私の精神的な意味で。

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