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第27話 お買い物 4 おしゃれ幼女、諦める

 結構長く下着売り場で話し込んでしまった。

 これだけ時間が経って私達が戻らないなら、セシリア達が来そうなもんだけど。


「あの2人、まだ選んでるんじゃない? 戻る?」


「そうだね、戻ろっか」


 とりあえずパンツは選んだし、他に必要な物も無いだろう。

 下着売り場から離れて、さっきの場所へ向かう。


 といっても同じ店、同じ女性服の売り場だ。大して離れてない。


「んー……やっぱりシアちゃんにはこういうのが……」


「それならまだこっちの方が……」


 声が聞こえてきた。予想通りまだ選んでいるようだ。

 ていうかそんなに悩んで選ぶの?

 余計な注文をしてしまったかもしれない……


「むーん……難しいねぇ」


「やっぱりサイズがね……もうちょっと成長したら全然選択肢が変わるんだけど」


「ちょっと大きいくらいで探しても数が無いね」


 どうもサイズ的にあまり選択肢が無いらしい。

 やっぱり難しい余計な注文をしてしまっていたようだ、ごめん……


「妹が同じ歳だけど……多分身長20センチくらい違うのよね」


「シアちゃんは7歳くらいの見た目だもんね……」


 そうして、とりあえずもうなんでもいいから選んでもらおうと声を掛けに近づくと、聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。

 同い年の子とそんなに差が……噓でしょ……?


「あの……私ってそんなに小さい?」


「あっ、シアちゃん、下着は選べた?」


「あー……そうね、シアは事情もあるし成長が遅いみたいだから……」


 とりあえず選んできたパンツ達をセシリアに渡しながらリリーナの声を聞く。


 自分が成長遅い事なんて分かっていたけど、同い年の子との明確な差を聞いてようやく実感した。

 小さなルナと長く居た所為で感覚が狂ったかな。


「そっか……自分でも小さいって思ってたけど、そんなに……じゃあ好みなんて気にしなくていいよ?」


「ごめんねー、無くはないんだけど、どうしても少ないのよ」


 いいよ、素直に諦めるし――2人が考えて選んでくれたものならそれだけで嬉しいから。


「はぁ、頑張っていっぱい食べて大きくなろう……」


「ふふっ……美味しい物いっぱい食べようね」


 食べて動いて、健康的な歳相応の体を手に入れなくちゃ。


「それにしてもシアちゃん、結構パンツ買うね。やっぱり気にしてただけあるのかな?」


 えっ?


「ほんとだ、えーと……10枚? おしゃれさんだね。柄は似てるけど」


 えっ??


「シアはパンツに拘りがあるみたいだよ。でも普通はどれくらい買うものなの? あたしは精霊だからそういうのわかんないんだけど」


 えっ!? 違っ……拘りってそういうのじゃなくて……!


「私が子供の頃ってどうだったかな……でも大体6か7枚くらいじゃないかな。そこに人それぞれの考えで増えていく感じ……だと思うよ」


 えぇっ!? そうなのっ!?


「まぁ……そうね。魔法とか魔道具ですぐ洗って乾かせるからね。当然人によって違うし、成長したら用途次第で色々買う場合もあるけど……」


 前世の意識からして女性の下着は多いイメージ。

 だから10枚でも子供ならそんなもんだろうと気にしなかったけど、この世界は魔法なんて便利なモノがあるじゃないか。

 いや、洗濯に関しては前世でも似たようなものか。


 よく考えれば1日1枚でも半分の5枚もあれば日常生活は充分――どころかむしろ予備まで完備できる。

 10枚も日替わりで楽しむつもりか私は!

 いや、そういえば今履いてるお子様パンツもあった……11枚……


 いくら分からないからって、考え無し過ぎた……ていうかルナがテキトーな事言わなければっ……!


「シアちゃんの歳だとまだブラと合わせるとかも無いし、トイレを失敗することも無いだろうし、何よりすぐ成長して小さくなっちゃうからなぁ」


 むしろ子供だからこそ少ないだなんてっ……


「ぷっ、ふふっ……シアはパンツに拘るおしゃれさんだねぇ」


「んなっ!? 違うっ! そういうんじゃないから!」


 ここぞとばかりに笑いながら弄ってくる。

 流石に否定したくて頭も手もブンブン振って言う。顔が赤くなってるのが分かる、恥ずかしい。

 なんか恥ずかしい思いしてばっかりだぞ……


「いいよいいよ、恥ずかしがらなくて。別にそんな数珍しいわけでもないしさ」


「背伸びしてちょっと気になっちゃうだけだもんねー。あるある」


 必死に否定する私を微笑ましく見てくる。

 服も下着も注文付けて拘りを見せて、これに至っては自分で選んできた以上、もうどうしようもないかもしれない……


 誰を恨めばいいんだ……ルナか? ルナだな。


「じゃあ、とりあえずさっさと買って帰ろうか?」


「そうね、ひとまずはこれで……あぁ、忘れてた。キャミソールも買わなきゃね」


「あ、そうだね。流石にこれはシアちゃんのサイズだと、どれも同じような物だし……サッと選んでくるよ」


「うんお願い。シア、行くよ?」


 1人で悶々としてたら話が進んでいた。

 キャミソールってなんだっけ……あの女の子が着るシャツ――肌着だったか?

 確かにすっかり忘れてたけど、あれはどれも同じような物にしか見えないしなんでもいいや。


 ていうかちょっと待って、ついでにパンツ半分戻しに……


「ほらシア、ボケっとしてないで行くぞー」


「えっ、ちょっ、待ってってば……」


 ルナに引っ張られる。あぁもう……

 こいつ、さっき私に恥ずかしい事聞かれた恨みか?


 仕方ない、自分で選んでおいて今更騒いでも迷惑だろうし受け入れよう。

 不服だけども。……服だけに。……いや、ごめんなんでもない。



 ルナに引かれてリリーナへ追いつき、そしてセシリアも戻ってきた。

 ほんとにサッと選んできたね。


 で、お会計。

 今日だけで結構な金額を使わせてしまったことに申し訳なさを感じるけど……ありがたく甘えさせてもらおう。

 うん、ほんとにありがとう。




 そんなこんなで……ルナの恥ずかしい事を暴いたり、私が恥ずかしい思いをしたり痛い思いをしたり。


 私がパンツにまで拘る、おしゃれを意識してる子だと勘違いされたまま、賑やかな買い物は終わり家へと帰った。


 人と家に帰るっていうのが――ただいま、おかえりって言うのが、懐かしくて嬉しくて。

 結局楽しい気分で終わるあたり、私は単純なんだろうな。


 でも単純で結構。その方が色んな事を楽しめるさ!



 とか呑気な事を考えてたんだけど……まだ今日という1日は終わってない。

 まだ恥ずかしい事は終わっていなかった。

 むしろ一番とんでもない事が残ってた。


 お風呂は1人で入らせて! お願いだからっ……

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