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第18話 温もり 1 ふわもこな二度寝

再度、主人公の一人称視点がしばらく続きます。

この1日が終われば三人称視点に戻り、だいぶ後まで一人称視点はありません。



 温かい。微睡から少しずつ覚醒していくのを自覚する。

 ベッドだ。もうずっとご無沙汰だから物凄く気持ちいい、起きたくない。


 隣でルナも寝てる。というかここはどこ……?

 山を転がり落ちて、拾ってもらって、保護して貰えることになって、それから?

 エルフの女の子が引き取るとかなんとか言ってたような……じゃああの子の家かな?


 まぁいいや、起きたくないしルナを抱いて眠ろう。ぬいぐるみみたい。

 なんの説明もされてないし、そのうち人が来るかもしれないし……おやすみなさい。




「んにゃっ!? シアっ、なんで抱いて……!? 離せバカッ!」


 なんかルナが騒いでる声が聞こえて目が覚めてくる。

 あぁ……そういえば抱いてまた寝たんだった。


「……んぅ……眠い……」


「いいから離せぇっ……!」


「んぐぇぇ……」


 顔を思いっきり押して離れようとしてる。痛い痛い。

 まぁ、小さいルナからすれば抱かれるのは嫌なのかな。自分の倍以上の大きさの人に無理に抱きしめられると考えたら、怖さもあるかもしれない。

 離してあげると顔を赤くしたルナが文句を言いながらぺちぺち叩いてくる。


「お前はあたしをぬいぐるみかなんかだと思ってるのか!?」


「いやぁ、温かくて安心してつい……」


 正直に言ってやると黙った。

 怒ってるかと思ったけど違うな、コイツ恥ずかしがってるんだ……可愛いやつめ。


「はぁ……なにしてくれるんだ全く。眠気が吹っ飛んじゃったじゃないか」


「それは私も……で、ここどこ?」


 起き上がりながら聞く。流石にルナも分かってないなんてことは無いだろう。


「リリーナってエルフの家。シアってば昨日寝ちゃったんだよ。半日以上も経ってるよ」


「やっぱりあの子の……ていうか私、そんなに寝てたんだ……」


 予想通りあのエルフの少女の家らしい。リリーナっていうのか。

 しかし半日も寝てしまうなんて……気が抜けてしまったのかな。

 安心出来たって事だし、それは悪い気分では全く無いからいいけど。


 本気で泣いちゃったし、自分で思っていた以上に限界だったのかもしれない。

 ルナが居るから大丈夫と思ってたけど……


「まぁ……疲れてたんだよ。あの距離転がり落ちていったんだし、貧弱だからなぁ」


「ちょっと頑張って大きい障壁見せたりしたしねー。ごめん、また癒してくれてたんだよね? ありがと」


「別にいいけど……」


 ルナが気遣いながら憎まれ口を叩く。素直に気を遣えないのかお前は。

 しかしまたルナに面倒をかけちゃった。いつもいつも私が弱ったり体調を崩すと、ルナが癒してくれる。


 治癒魔法は怪我だけじゃなく、体調を整えたり活力を与えたりできる。病気を治すとかは相当な腕が無きゃ無理だけど。

 最低限しか使えない私よりも、精霊であるルナがやった方が当然効果は高いから本当に助かる。


 お世話になりっぱなしで、有難いけど申し訳ない。

 お礼を言うとちょっと照れたように口を尖らせながら何でもないように返す。

 これもいつもの事だ。いちいち照れなくてもいいのに……



「ねぇ……私いつの間にかパンツ履いてるし、服も随分可愛らしいのを着せられてるんだけど」


 そういえば、と口を開く。

 服未満のボロ布を剥がされたのは覚えてるが、寝てる間に着せられたらしい。子供っぽいふわもこなパンツと可愛らしいワンピースだ。

 服は別に良いんだけど、このパンツは幼過ぎて恥ずかしい。文句言える立場じゃないけどさ。


 昔はお母さんが買ってたけど、ワガママ言って少しでも背伸びした感じのを選んでもらっていたくらいだ。

 自分で選んで買え?

 それはそれで恥ずかしくてキツイんだ。


「街に着いてからリリーナとセシリアが、寝てる間にもっかい体を綺麗にして着替えさせてたよ」


「う……なんか恥ずかしいなぁ……」


 また予想通りの答えを聞きながら歩いていく。セシリアというのはもう一人の少女かな?

 とりあえず誰かしらいるだろうし部屋を出よう。


「何を今更……起きてる時から体拭いて貰ってたじゃないか。それに散々あたしに色んなお世話されておいて……」


「それはそうだけど、なんか別というか……それにこのパンツはちょっと……」


 ルナには本当に色々なお世話をされてきた。

 相当恥ずかしい思いをした事もあるけど、それとはなんか違うんだよなぁ……まぁいいか。

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