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第144話 誕生日 あの時ルナは 3

「ぬぁぁああ~っ……」


 なんか情けない声が聞こえる。


「ぬぉぉおお~っ……」


 人が隣で寝てるのに何を呻いてるんだ。


「んぅ……うるさいな……」


 まだ随分早い時間だよ……いくらシアでも、用事も無しにこんな時間に起こされるのはムカつくぞ。


「体痛い……たすけてぇ……」


「頑張れー。あたしはまだ寝る……」


 知るか馬鹿、自業自得だ馬鹿。

 全く、昨日あんなに色々あったのに……全部吹き飛んでいつも通りじゃないか。

 それはそれでいいけど、なんかなぁ……



 昨日、泣き止んだ後も色々あった。プレゼントとかね。

 あのペンダントはもう離さない。ずっと一緒だ。


 なんだかニヤニヤしちゃう。嬉しい。

 自分で買った(?)物なのに、なんでだろう。不思議だ。


 起こされたけど、とりあえず二度寝しよう。

 今はまだもうちょっとだけ、夢に戻させて。

 あとでまた、いつも通りに戻るから。




 あの後、いつも起きるくらいの時間になって二度寝から目が覚めた。

 呻いて人を起こした癖に、くーすか気持ちよさそうに寝てるシアを叩き起こしてリビングへ向かう。


「いたっ痛いってば、ルナぁ……」


「また無茶した罰、自業自得だよ」


 痛いのは上半身だけみたいだけど、それがまた変な動きで面白い。

 シアの気持ちを考えれば仕方ないとは思うけど、それはそれとしてまた無茶したお仕置きでたっぷり弄ってやろう。


「うぅ……だってぇ……」


 シアは魔道具は付けてないのに、ペンダントは付けてる。

 それがなんだか嬉しい。あたしと同じように想ってくれてるなら、それもやっぱり幸せかな。



 そうして朝食になったんだけど、珍しくシアに手伝いをさせるって話になってた。

 ま、どうやら皆も何かしら気持ちが切り替わったみたいだし、そういう事なんだろうな。


 あたしが言うのもおかしいけど、皆凄く過保護だったしね。

 過保護というかなんというか、事情があるとはいえあまりにも特別扱いだったというか。

 普通の家族なんてあたしは知らないけど……街に来て、人を知ろうとずっと意識してきたあたしには分かる。


 なんだかんだ、良い感じに収まったみたいで良かった。

 その中にあたしも居る事だって、本当に嬉しい事だね。



 なんて、良い感じに終われば良かったんだけどなぁ……コイツは本当に、もう。

 せっかく2人で手伝いしようと思ったのに、まともに動けてないじゃん。


 だったらあたしも手伝いは止め。

 ごめんね皆、あたしもちゃんと家族だって思ってるからさ。

 1歩踏み出す時は、シアと一緒がいいんだ。

 だからまた今度にしよ。その時は2人で、家族として一緒に居るから。



 この街に来て何日だったか忘れたけど、なんだか色々な事があった。

 人も多くて、山に居た時とは全然違う。濃密過ぎるけど、何もかも分からない事ばかりだけど、凄く楽しい。


 色々あって色々変わって、今日はまた一段と特別に感じる。

 これからも、こんな日がずっと、ずっと続けばいいな。


 ね、シア。







 ちなみに……数日後に街をふらふらしてたら、あのお店を見かけたから改めてお礼を言いに行ったんだけどね。


 どうやら謳い文句の宣伝とやらが上手くいったみたい。

 実際にあたしが宝石ぶら下げて街をふらついてるから、だってさ。


 だから普通に儲かってるらしくて、逆にお礼を言われちゃった。

 そんな馬鹿な。

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