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第135話 夢見る願い 6

 またまた落ち着くまで少し時間が経って。

 貰ったプレゼントを部屋に置いて、顔を洗って気分を切り替えた。

 今はペンダントだけ付けてる。


 そして皆の元に戻って、仕切り直し。

 流石に、いい加減食事にしないとちょっと……あまりに申し訳なさすぎる。



「もう大丈夫! ごめんなさい、ご飯にしよ!」


 リビングに入って開口一番。

 無理なんてしてない、自然に出てくる笑顔で皆に伝える。


 誰も彼も、口々に気遣ってはくれるけど、やっぱり笑顔で。

 私に合わせて一緒に気分を切り替えてくれた。


「あ、ちょっと待って、先に写真を撮ろう。シアの想い出に、ね」


 でも皆が動き出す前にリアーネさんが口を開いた。

 写真って撮るのが珍しいだけで普通にあるんだよね。昔も家族で撮った。



 カメラの仕組みそのものは私でも知ってるくらい単純だけど、それを紙に転写だか現像だかするのがこの世界じゃ難しいらしい。

 いや、技術を進歩させる優先度が低い……って感じなのかな。


 だからかあまり一般的な物じゃない程度には高価な魔道具らしいけど、戦ってばかりの世界じゃそうもなるのかな。

 とりあえず撮れるんだからこのままでもいいでしょ、みたいな。


 そうは言っても、特別な時くらいは想い出として撮るっていう意識は割と多くの人にある。

 写真を撮ってくれる仕事があるからね。


 そしてリアーネさんは技師らしく持ってるらしい。



「写真……てのはよく分かんないけど、とりあえず集まればいいんだ?」


 当然と言えば当然だけど、ルナは写真なんてよく分かってない。

 それでも周りに合わせて集まってくる。


「ほら、シアちゃんは真ん中!」


「隣は私達ね。もっと皆集まった方がいいかな」


「あたしは……シアに抱いて貰お」


 撮る事には誰も文句は言わない。むしろ先に決めてたのかな。

 ゾロゾロと集まって、どう映るかワイワイと話す。


 そういえば知らない人が居るんだけど、いつ挨拶すればいいんだろう。

 セシリアに似てるから、フェリクスさんの奥さんかな?


 ていうかなんかユーリスも居るし、本当に人が多い。

 こんなに沢山の人が私の為に集まってくれた事を今更になってよく理解出来た。



「よし、じゃあこれで……」


 カメラ本体の箱と、転写して印刷する為の機構と、それらを乗せる台。

 そんな割と大きな魔道具を弄ってたリアーネさんも皆に混ざって数秒後に、パシャリと軽い音がした。タイマーあったんだ……


 私はルナを抱いて、両隣にセシリアとリリーナが。そして私を中心に集まった皆。

 きっとこれは一生の想い出になる、大切な1枚。今度こそ無くさない。

 ちゃんと……笑えたかな。



 なんて、意外とあっさり撮影が終わった直後、私のお腹から音が鳴った。

 全員が黙っていた所に響いた恥ずかしさは凄い。

 一瞬で顔が熱くなるのが分かった。


「ふふっ、シアちゃんお腹空いちゃった?」


「お昼ご飯食べてないもんね」


 そういえば疲れてクタクタになって、お昼ご飯も食べずに寝ちゃったんだった。


 我ながらほんと馬鹿みたいだけど、それだけ夢中になれた訳で。

 これからもそれなりに頑張ってみるつもりだから、繰り返さないようにしないとなぁ……



「もう先に料理は温めておいたぞ」


「ほら、多めに用意してるから全員好きにとって食え」


「ここまで大勢になるとは思ってなかったけど、それでも充分だな」


 私が席を外している間に準備をしてくれたらしい。


 団長とフェリクスさんとダリルさんがそう言えば皆も動き出す。

 全員好きなように動いてるけど、テーブルに着ける人数じゃないから仕方ない。


 相変わらず傍にはセシリアとリリーナが居て、ルナはちょこちょこと色んな所で色んな物をつまんでる。

 まぁ小さなルナはどうやったって量が食べれないからね。


 私は私で、傍の2人とわいわい食事。

 特別なこの場だからってお陰もあるけど、どれも美味しい。


 お腹が満たされていくのと同時に……心に何か、温かいものが満ち溢れていく。

 何もかも、感謝しか無い。本当に……有難い。

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