【小さなヒカリ】
もう施設の生活には慣れた。
時が過ぎていく度,昔の記憶はどんどん消えてー、、、
私の事を捨てた母の事も忘れそうになる。
だから私は,家から持ってきた母と私が写っている写真を
毎日のように眺めた。
「自分の事をすてた親とか憎くないの?」
とみんなはよく言うけれど、、
私はそうは思わない。
だって家族だもん。
たった一人の私の家族だもん。
私の事を嫌いになってしまったかもしれない。
、、私の事忘れてしまったかもしれない。
だけどそれでも,やっぱり母は母なの。
私の大好きなお母さんなの。
そんな私の気持ちを理解してくれる人もいる。
施設で私たちを指導してくれる山内洋子さん。
もう一人は高校一年生の雨宮友香さん。
そして、、私の頭の上のずっと上、、
青空。
「どうしたの」
「うん?ぁ、、空見てた」
今,私の隣にいるのが雨宮友香さん。
私は友姉と呼んでいる。
友姉は本当に優しくて,格好いい人だ。
「陸は本当に空が好きだね」
「・・ぅん!!」
「そういえば,今日も行くの?」
「うん,行く。いつも迷惑かけちゃって」
「ううん、いいんじゃないのかな。
陸の好きな事ー・・やってもいいと思うよ」
「ぅん」
そう,私は夜ー施設を抜け出している。
向かう場所は図書館。
この図書館,今では珍しく24時間営業してるのだ。
そして大きな木の下に座る、、、
これが私の日常。
ー。
そして楽しみにしていた夜がくる。
夜の11時くらいだ。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
小声で言葉を交わした私は靴を持ち窓から出る。
、、後一時間でしまってしまう。
ーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
その時,こちらに向かって来た男性とぶつかる。
「・・すみませんっ!!!」
恥ずかしくて相手の顔を見る事が出来なかった。
彼も多分,私に気づいていない。
だって私はピンクと白のワンピースに深く帽子を
かぶっていたから。
「俺もごめん・・」
彼の言葉にビックリして咄嗟に走り出す。
その時,彼は背後から私の手を掴んだ。
ビックリして振り向いてしまう私。
なんでー、、私をひきとめたの??
「少しー・・話せないかな」
口を開いたのは彼だ。
そんなの無理に決まっているじゃない。
久しぶりに施設じゃない人に声をかけられて驚いたんだから。
「嫌・・だ。ごめんね」
頭の中が真っ白になって走り出す私。
「陸ちゃんだよねーっ!?」
本名を言われビックリする私。
コクリと頷く。
「やっぱり・・俺の事覚えてる?」
私は振り向き「覚えてない」と言った。
見たことない顔だ。
ー。
「俺,本当にビックリしたよ。まさか
小学生時代の同級生と会うなんてさ」
「・・・ごめん・・覚えてないんだ」
「うん。大丈夫!!*^^*」
そのハニかんで笑った彼の姿がどこか懐かしく感じた。
なに?この感覚、、、
「ぁ!!俺の名前は星野優紀よろしく」
「うん。私の名前はー・・・」
「大丈夫,分かるから*^^*」
そして他愛もない会話を何分もした。
そしてまた一週間後に会う約束をして別れた。
施設に入っていると正体を隠したままー・・・。
私の心の中に、、目の前に一瞬だけだけれど
小さなヒカリが見えた。
その招待が君だなんて、、
この時の私は気づきもしなかった。
楽しんでくれれば嬉しいかなッ★