ありきたりな世界の話
その日、世界が震撼した。
それはとても静かで、世界中のすべてが動きを止めたかのような、そんな静寂を生み出しながら、でも確かに世界を震わせた。それがなによりも優先すべきことだと誰もが理解し、そして同時に何もできないということも理解していた。世界中のすべての心が一つになるほどに、そうなるよう予め決められていたかのように、その理解だけが不思議なほど心の中にすんなりと落ち着いた。故に誰もが震えるしかなかった。
それの言葉は、とても静かに、あるいは激しく、あるいは悲しげに、本当に喜ばしく思っているかのように感じることができた。聴く者によってその捉え方が異なっているようだったが、ただ一つ、語りかけているように感じたことだけは聴衆のすべてに一致した。
しかし、それの言葉は語りかけるようなものではなく、一方的に、もっと言えば独り言のようにつぶやくだけのものだった、ただ「繋がった」と、そして「幸福である」と、ただその二言のみであったのだから。
それは、その二言を残し忽然と姿を消す。
少しして世界が、その呟きによって時間が与えられたかのような、そんな慌ただしさを持って動き出す。そんな中、彼はただ茫然と、どうすればいいか、何をすればいいのかわからずに、独り、ただ見つめ続けていた。
誰の心にも残り続け、語り継がれることになるその日は、六年前の穏やかな春の事だった。
それはとても静かで、世界中のすべてが動きを止めたかのような、そんな静寂を生み出しながら、でも確かに世界を震わせた。それがなによりも優先すべきことだと誰もが理解し、そして同時に何もできないということも理解していた。世界中のすべての心が一つになるほどに、そうなるよう予め決められていたかのように、その理解だけが不思議なほど心の中にすんなりと落ち着いた。故に誰もが震えるしかなかった。
それの言葉は、とても静かに、あるいは激しく、あるいは悲しげに、本当に喜ばしく思っているかのように感じることができた。聴く者によってその捉え方が異なっているようだったが、ただ一つ、語りかけているように感じたことだけは聴衆のすべてに一致した。
しかし、それの言葉は語りかけるようなものではなく、一方的に、もっと言えば独り言のようにつぶやくだけのものだった、ただ「繋がった」と、そして「幸福である」と、ただその二言のみであったのだから。
それは、その二言を残し忽然と姿を消す。
少しして世界が、その呟きによって時間が与えられたかのような、そんな慌ただしさを持って動き出す。そんな中、彼はただ茫然と、どうすればいいか、何をすればいいのかわからずに、独り、ただ見つめ続けていた。
誰の心にも残り続け、語り継がれることになるその日は、六年前の穏やかな春の事だった。
あとほんの少し強ければよかった
2021/05/23 20:52
あとほんの少し強ければよかった2
2021/05/23 22:29
(改)
あとほんの少し強ければよかった3
2021/05/24 19:15
(改)
あとほんの少し強ければよかった4
2021/05/27 22:43
(改)
あとほんの少し強ければよかった5
2021/05/30 16:53
あとほんの少し強ければよかった6
2021/05/31 22:25
(改)