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ポルトガルの大うつけ~金平糖で何が悪い~  作者: キリン
【第一部】終章 強欲断罪十字 ユダ
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④決戦

引き金を引く指に汗が滴るのを感じた。

当然だ、希望が覆い被さっているとはいえ死はすぐそこにある。

行動一つで今すぐにでも、あと何時間、ありえない話だが笑って終わることもできるかもしれない。

(ここが分岐点、ってか)

いよいよ旋回が始まった、タイミングを合わせて引き金を引かなければ、自分はほぼ確実に絶命する。

仮に成功したとしても望みは無いに等しい、戦国の風雲児、尾張の大うつけ、国は違えどその波乱の人生、伝説を知っている自分は許諾してしまったが、今更ながら信じられない。

今この瞬間、引き金を引くことに集中しなければならない今でも疑いの暗雲が消えない、むしろ増している。

だってバズーカの弾に乗る?馬鹿にも程があるだろう。

触れた瞬間爆発すれば飛行機が吹っ飛び、悪魔へと辿り着く前に爆発しても主戦力二人を失う。

成功した後の作戦など考えてはいない、考える必要が無い。

「――――――――今だ!」

引き金を引くと同時に叫ぶ、せめてこの飛行機を巻き込まないように、少し高めに撃つ。

照準など滅茶苦茶だ、狙うつもりなど毛頭ない。

「―――――――――ふーーーーー」

はっ、短いその呼吸が聞こえた次の瞬間には、既に信長の姿は無かった。

やはり落ちたな、そんな一瞬の思考を展開しようと瞼を閉じ。


ドガァァン!とんでもない爆音が聞こえ、遥か先で仁王立ちしている悪魔の角が両断された。


唖然。

目の前に広がるその状況と疑問に押し潰されそうになっていると、飛行機の最後尾に光秀がしゃがみ込んできた。

「―――――っ!今だ!」

慌てて次の引き金を引き、声を上げる、瞼を開けるとやはり、そこに光秀はいなかった。

そして再び爆発が起きる、悪魔が悶える暇もなく、今も尚虫を吹き出す角が両断された。

それと同時に悪魔を囲む虫の大軍が、泡のように消えていった。

それこそまるで悪い夢のように、覚めればどうってことない悪夢の如く。

悪魔の《咆哮》が響く空の上、寝起きの頭同然の自分の思考に、ただ一つ事実が提示された。

悪魔の角は両断され、邪魔な虫は全て消え去った。

成功した、彼らは成功した。

「・・・・・・・・・」

思わず尻餅を搗く、握る必要が無くなったバズーカが悲しい音を立てて甲板を転がりまわった。

「・・・・・・なんでぇ、やるじゃねぇか」

薄く笑った後、アタシは寝転がった。

これまであの二人を信じていなかった自分がバカバカしいのか、このクソ馬鹿げた作戦を成功させてしまったあの二人を笑っているのか、今はどちらでもいい。

「妻木煕子らしき何か周辺の虫の消滅と移動の可能を確認!これより対象の頭上を通過するので、お姉ちゃんとアキレウスさんは準備を!」

レバーをガチャガチャ動かすアメリアの声が響くと同時に、操縦席で胡坐を掻いていた二人は立ち上がった。

「準備?んなもんとっくに済んでるに決まってんだろ、なぁ?」

「当然、これまで何もできなかった分、きっちりお返ししてやるわ」

指をボキボキ鳴らす二人の距離感の近さと殺意多めのフレンドリーな空気感に、先ほどから悪魔を凝視しているナポレオンは横目で言った。

「なんか二人級に仲良くなったよね、なんかあったの?」

いやお前のせいだよ、そうぼやく二人の声はお互いにしか聞こえず、風の音によってナポレオンには聞こえない。

くすくす笑いながら二人は武器を手に、飛行機の両端に立った。

振り返らないまま、アキレウスが問う。

「着地はできるか?何なら俺が受け止めてやるけど」

「笑える冗談ねあっきー、そんなこと考えてたらあっという間に踵を潰されるわよ?」

同じく振り返らずに舌を出すジャンヌ、アキレウスは槍を回しながら笑った。

「言うねぇ、んじゃいっちょやりますか」

「ええ、主の名の下に裁きを下します、聖女ジャンヌ・ダルク、参ります!」

悪魔の頭上、パラシュート無しのスカイダイビングを行った二人は、すかさず武器を構える。

痛みに耐えられず今も《咆哮》を続ける悪魔にも容赦ない、大陸を二つに割るほどの巨椀の内、右はぐちゃぐちゃにひしゃげ、左は肩から手首にかけての腱を全て両断した。

《咆哮》の音量が飛躍的に上昇する、ジャンヌは耳を塞ぎながら、悪魔の体の上を駆けた。

アキレウスはすかさず握り締めていた金平糖を耳に詰め、ジャンヌ同様悪魔の上を駆け抜けながら、地面に絵を描くように槍の矛先を突き刺し走った。

悪魔から飛ぶ瞬間、太い足の腱に傷を入れ、二人は着地と同時に後ろへ下がった。

完璧な攻撃と防御、この二つをこなした二人は、余裕そうにハイタッチをした。

「やるじゃねぇか聖処女!あの硬い腕の腱だけをぶった切るなんてな!」

「そりゃこっちのセリフよ大英雄、どうすればその硬い腕をハンバーグみたいにできるのかしら」

そう言って、二人は右と左に走り始める。

悪魔の目をくらませる作戦だ、飛んで火にいる夏の虫、まさにその言葉通りに悪魔は右と左どちらを殺すか、《咆哮》を続けながら右往左往していた。

ここまで数分、絶望的なその状況を、ありえない方法を用いた奇襲でひっくり返したのは、やはり信長だった。

救国の聖女、戦国最大の裏切り者、ギリシャ最強の大英雄、数々の英雄でさえ思いつかなかった奇策を、誰よりも頭が弱いはずのこの男は拓いた。

奇策、奇襲、奇跡、三つの「奇」が揃ったこの状況を、誰が想像しただろうか。

それはきっと誰も予想しなかっただろう、神も、永久不滅の観測者も、今こうして状況を覆した彼らでさえも。


《イァァァァァァアアアイアアイイアイアイアイアアアアアアアアアアアアアアガアアアアアァァァァァァァァァ》


そして再び、状況は覆る。

劣勢から優勢へ、優勢から劣勢へ。

天を喰う黒色、天を蹂躙する二対の巨。

即ち、翼。


『強欲』と言う罪を背負っても尚、空を蹂躙する罪の証なり。








あとがき

もうすぐ夏休み!その次はテストだ!死ね!作者です!

何でこの世にはテストなんて言う要らねえものがあるんでしょうねふぁっく。

今回の言いたいこと。

打突大好き。

アイツどんだけ打突好きなんだよ。

今回の字数 2434


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