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ポルトガルの大うつけ~金平糖で何が悪い~  作者: キリン
【第一部】第三章 空を飛んだ女
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光無き蛍

一通りアメリアの怒りが収まったところで、ようやく会話が再開された。

「あの虫が何なのか、本当に分からないんですね?」

「儂は嘘はつかん、実際に切って戦っては見たが、無視とは思えんほどの硬さと判断の速さじゃった」

信長は拳を握り締め、眉間にしわを寄せた。

よっぽど悔しかったのか、やりきれない様子で地面を一発殴り、そのまま背を向けた。

一番騒がしかった男の声が止み、一瞬にして会話は静寂を極めた。

「・・・・・・あれ?」

「どうしました?お姉ちゃん」

ナポレオンをボコボコに殴っていたジャンヌが変な声を出したため、アメリアがそちらを向く。

ジャンヌはとりあえず血まみれの手をハンカチで拭い、アメリアを撫でながら答えた。

「いや、勘違いだったらいいんだけどさ、信長の背中の・・・・・・・」

「?・・・・・・・・・・あっ!」

ハッとしたアメリアは、転がりまわるように信長の方へと走った。

赤ん坊のように這いながら来た為、流石の信長もビビった。

「動かないでください!そのままっ」

「ぐおええっ!?」

振り向こうと首を動かすが、アメリアに首を掴まれた為変な音が出た。

恐る恐るアメリアは背中の、刀身が収まっていない刀の鞘を見る。

「やっぱり・・・・・・信長公、()()()()()()()!」

「どぉええ!?なんじゃとぉお!?」

変な方向に曲がっていた首をさらに変な方向に曲げた信長、痛みに耐えきれずついには倒れてしまった。

「どうしましょう!武器の無い信長公なんて自由のないアメリカンと同じです!」

「なんてこった!ミスター信長はそんなに弱いのかい!?」

「お 主 ら 後 で 覚 え と け よ」

アメリアとスヌークを呪う信長の怨念じみた極低温の声が響くが、実際問題、信長の武器喪失はかなりの痛手だった。

戦国時代、このころ使われていた武器は様々で、刀はもちろん、槍や弓が使われていた(鉄砲などは集団戦法で力を発揮するモノなので除外)

これらは武者にとっては命綱とも言えるもので、自らの命を文字通り預ける代物、戦いの最中にそれが無くなれば、綱は切れ、命は容赦なく刈り取られる。

伝承によれば信長の場合、どちらかと言えば刀や槍、そして肉弾戦を併用した戦闘方法、つまりは「()()()」のような形で戦っていたようだ。

一角の武将とは言えど数と言う言葉には敵わなかった時代、獣のように暴れ狂う信長の戦法は、皮肉にも命の価値が踏みにじられる戦場では有利だったのだろう。

「虫と戦ってる時に落としたのね・・・・・・明に刀ってあったっけ?」

「グふっ・・・・・・輸入されているとは思うけど・・・・・ここら辺にはなさそうだね、武器庫ならあると思うけど」

「其処だ!そこに行けば刀の一本や二本・・・・・・・」

全員が楽観的に声を上げ、喜んだ時、アメリアは少しだけ違和感を感じた。

信長の顔が、いつもより険しい。

こんな話が大好物なはずなのに、食いつく気配が全くと言って良いほどない。

血に伏したまま、()()()()をずぅっとみている、蛇に睨まれるカエル(カエルを睨む蛇)のように、いや、カエルを睨む蛇(蛇を睨むカエル)のように。

あるいは、その両方か。

「・・・・・・・そいつらと下がれ、アメリア」

「えっ・・・・・・・でも」

()()()()

怒りが。

炎が、かつて信長を狂乱へと導いた青い炎が、再び信長を包んだ。

いいや実際は包まれてなどいない、これは幻、戦国の覇者の気迫に押され、本能的な恐怖が生み出した()()に過ぎない。

「――――――――()()()

理性をありったけかき集めて作った声のようだ、直観的にそう思った。

悲観的で、楽観的で、何より絶望してて。

今すぐにでもこの可哀そうな人を抱きしめてあげたいと、本能に抗う人としての自分が声を上げているのが分かった。

それから間もなくだった、妖艶にも憎しみの籠った声が聞こえたのは。


()()()()()()()、相も変わらず元気そうで」


女性にしては低く、また男性にしては高すぎる声が響く。

艶のある長いうなじでまとめた髪と美しい顔、最低限の装備の上に来た青と金の羽織、手は鎧で包まれており、太ももから先にかけては長い靴下を履き、片手には中ぐらいの太刀が握られていた。

こちらに向けてゆっくりと歩く姿は、まるで神の使いである巫女のようにも思えた。

ジャンヌは反射的に腰の宝石のような剣を抜き、そこら辺にぶっ倒れているナポレオンを掴んだ。

「ねぇ、あれもしかし

()()()()!」

反射的に飛び出したアメリアが、信長の前を飛び出して女の前に立つ。

あろうことか両手を広げ、信長をかばうように。

「・・・・・・・・・・」

「これ以上信長公と自分を傷つけるのはやめてください!刀をしまって、話を・・・・・」

「どけ、お前のような小娘に用はない」

どん、と、肩を押されて突き飛ばされたアメリアを、ジャンヌの投擲によって投げられたナポレオンが受け止める。

どしゃあ!クッション代わりのナポレオンから起き上がり走ろうとするアメリアを、ジャンヌは羽交い絞めにした。

「放してください!これじゃあ光秀さんが余りにもぉ!」

「馬鹿!それであんたが死んだら元も子も・・・・・」

ジャンヌは以外に力の強いアメリアを抑えつけながら、真っすぐに二人の距離を凝視する。

残り、三メートル。

残り、二メートル。

残り、一メートル。

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

女と信長の距離が、手を伸ばせば届く距離にまで縮まった。

頭一個分の身長差、女は見上げる形で、その緑色の目を向けた。

「憎いですか?そうでしょう?私も憎いです」

ニタリと笑う女は一歩下がり、持っている刀を信長の目の前に放り投げた。

「憎むしか、()()()()()()()()しね」

両手を広げ、女は言う。


「なので終わらせましょう、綺麗な綺麗な炎で焼かれて終わるはずだったこの怨嗟を」


信長を見つめるそのみどりの瞳、それはまるで、光を失った蛍のような瞳だった。







あとがき


どうも、大犯罪者作者です。

嫌ぁ今回もやってしまいました、アキレウスに続き明智光秀も女性化とは、どんどんFGO感が増してきました。

消されたりしないよね?(汗

た す け て

今回の言いたいこと

テスト4ね

マジでほんとに英語は嫌い

今回の字数 2461


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