屋敷にて明智は呟く
更新が遅れた私を恨まないでお願い
「ひゃーっ、立派な城だねぇ」
頭の後ろで手を組みながら、青い浴衣の少女は呑気そうにそう言った。
だがこの城、他の城と比べれば些か小さい、日本特有の装飾やデザインはやはり美しいが、見上げる程大きい日本の城に比べれば小さな建物だった。
組んでいた腕をだらりと下げ、腰に手を当てながら遠くを見る。
「流石は天下人に背いた肝の持ち主だな、俺もこんな屋敷に住みたかったぜ」
あっ、鳥だ。無邪気にそう呟いた後、少女は口笛を鳴らした。
「・・・・・・・立派な城、か」
着物を着た男がそう呟くと、つられた様に口笛を吹いた。
ピィイイッ、美しい音が鳴った瞬間、無反応だった鳥が吸い寄せられるように男の頭の上に乗った。
居心地がよいのか、気持ちよさそうな鳴き声を上げながら、その小さなくちばしで逃避をつついている。
「あなたにはそう見えるか、異郷の神よ」
「は・ん・ぶ・ん!人間だってことを忘れんじゃねぇぞ?」
ひらひらする浴衣姿でぴょんと跳ねる少女、途端に股下がひやりとした。
「ひゃん」
ぺたん、と、思わずその場で座り込んでしまった少女、冷えた股下を両手で押さえる。
その様子が余りにも、普通の女の子に見えたものだから、男は眉を顰めた。
「・・・・・ふんどしは初めてか、まあ無理もないか、女子のふんどしとはそういう物だ」
そう言って男は座り込んだ少女の目の前に手を差し出す。
「・・・・・何してんだ?お前」
股を抑えながら少女は首を傾げた。
「何か、そんなもの決まっているだろう、手を貸しているのだ」
その一言に、少女はどこか笑っていたと思う。
だが常人には分かるまい、男がこの少女の笑みを理解したのは目に映るものではなく、武人の見栄の先にある感情を読み取っただけなのだ。
無限とも、一瞬とも言える間がしばらく続き、少女は笑った。
「莫迦かおメェ、俺は体の部位に名前を残した英雄サマだぞ?んなもん無くても・・・・・」
よっこいせ、と、差し出された手を弾いた後、遠心力を込めて少女は起き上がった。
「起き上がれるんだよ、バーカ」
鼻で笑った後、少女は一人、目の前の屋敷へと向かった。
「・・・・・・・・」
何かを言おうと手を伸ばすが、武人としての心がそれを止めた。
だから、聞こえないように呟く。
「・・・・・・誰かの手を掴めない生き方など、昔も今も変わらないものだな」
別に、悲観的に考えるつもりはない。
ただ、もしも。
彼女が神ではなく、完全な人間に生まれてきたのなら、どんな人生を送るのか。
一人の娘がいる自分としては、それが不憫でならなかった。
あとがき
美味しいものはいつでもおいしいのですよ、作者です。
女の子の心が分からない、そして怖い。
要らないことを言うなよ?嫌われるから。
では、今回の偉人の一言は松本人志さんに言ってもらいましょう。
100点は無理かもしれん。でもMAXなら出せるやろ。
要するに頑張ればいいんですよ頑張れば、納得した人が勝ちです。
クラスで浮いている子がいれば話しかけるべし、大丈夫、きっと楽しいから。
今回の字数 1236




