「小話」自分で片づけろ
「……なんで私が朝ご飯なんて作らなきゃいけないのよ」
冷蔵庫から取り出した卵を忌々しそうに見つめながら、ジャンヌは愚痴を漏らした。
先ほど信長が何も言わずに出て入ってしまったため、今この家には自分しかいない。
「まあでも? 卵を焼くぐらい……できるわよね?」
誰に聞いているんだか、誰もいない場所に問いを投げかける。
「……ほんと、アンタが死ぬと違和感マックスだからやめてほしいんだけど」
舌打ちをした後、ジャンヌはフライパンをコンロの上に置いた。
「えっと……ここを長押しして……火がついて……」
思ったよりスムーズに進む自分の料理に満足しながらジャンヌは熱したフライパンの上に油を敷き、卵を割った。
じゅわあっ、と、卵が二つ焼ける音が部屋に響く。
物足りないからベーコンも入れ、出しておいた皿の上に盛り付けた。
二枚の皿をテーブルに置き、椅子に座ったところで気づいた。
「……そっか、アンタもう死んでたんだっけ」
頭をぼりぼりと書きながら、自分の目の前に置いてあった皿を手に取る。
「余計に作りすぎちゃったじゃない、アメリアに怒られるのは私なんだからね」
二枚の皿の上に乗っかってあるものを平ら上げ、ジャンヌはこう漏らした。
「……まあ、アンタがそれでいいならいいけどさ」
かちゃ、と、フォークを皿の上に置き、家に空いた大穴を見る。
「アタシの拳は痛いわよ、地獄で待ってろクソ野郎」
そう言って、ジャンヌは皿を洗い場に持っていき、黙々と皿を洗い始めた。
ただし、二枚のうち一枚は、まだテーブルの上にある、まるで自分で片づけろと言わんばかりに。




