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ポルトガルの大うつけ~金平糖で何が悪い~  作者: キリン
【第一部】第二章 いざ明へ
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小さな両手

久しぶりにまともな話が書けた・・・・・・・・読者の方々、すいませんでした

宮殿内にいる全員が落ち着いたところで、話の流れはようやく本題に戻る。

床を転がりまわっていた戚継光はきちんとソファーに座り、ジャンヌの胸元を気にしながら目線を意識的にどこか遠くに向けていた。

ジャンヌと信長の間にはアメリアが座り、二人が仲良くしてほしいのか、三人で仲良く手を繋いでいた。

幸せそうな顔でアメリアの手をしっかりと握るジャンヌは、口から涎を垂らしながらにんまり笑っていた。

一方、自分の手の比にならない程小さいアメリアの手の感触に、信長は何かを心配するかのような顔をしながらも、少し嬉しそうな顔をしていた。

自分の息子はおろか、生まれて初めて触る他者の手の平に戸惑い、考える前に言葉を出した。

「あ・・・・・アメリア、手を繋ぐ必要はないんじゃないか?」

本当は嬉しいくせに、自分という概念に縛られている自分が、この小さな温かい手を壊さないか心配でならない。

今まで手を握ると言えば、互いに手を握り潰し合うのが自分だ、こんな感覚は初めてなのだ。

「・・・・・・・・・・」

だが、当の本人は不機嫌そうにほっぺを膨らましてこちらを見るだけだった。

ちょっと手を引っ張っても、全然離してもらえないほど力が込められている、むしろ痛い。

何故手を離してくれないのかが分からないが、このままでは自分が不安で死んでしまう気がした。

そんなありもしない事が怖くて腰を浮かし、アメリアがいる方向から離れる。

せめて距離を取ればこの不安も取り除けるのではないか、野生の感が告げていた。

「・・・・・・・・・」

ぐいっ、と、腰を浮かせた瞬間、アメリアが信長の腕を勢い良く引っ張った。

体勢を崩した信長はバランスを維持しようと手足をじたばたさせるが、アメリアの無慈悲なキックにより信長は後ろに倒れた。

ぽすっ、と、うっかりアメリアの膝の上に後頭部をぶつけたのが不幸中の幸いか、特に痛みはなく、信長は膝を枕にソファーに寝転がる形で倒れ込むことができた。

手はまだしっかりと繋がっており、強く握られていた。

繋がれている手の感触がまだあることに驚いている信長に、覗き込む形でアメリアは言った。

「・・・・・・いつまで膝に乗ってるんですか、ロリコン呼ばわりされたくなければ早く起き上がってください」

不機嫌極まりない声に信長はハッとし、慌てて起き上がる。

そのままアメリアの隣に座り込み、横目でアメリアの顔色を伺う。

「・・・・何ですか、そんなに手を繋ぐのが嫌なんですか?」

うっかり目が合ってしまった事にビビり、反射的に目を逸らす。

しかしアメリアは見逃してはくれず、手を繋いだまま鳩尾にキックを入れてきた。

年が年なので流石にこれは痛い、信長は半ギレの状態でアメリアを怒鳴る。

「何するんじゃ馬鹿もん!、さっきから何なんだお主は!」

「む~」(ほっぺを膨らまして目を細めている)

「儂はジャンヌじゃない!、そんな顔芸でどうにかできると思ったら大間違いじゃ!」

不満そうな顔をしながら、その場で信長は胡坐を掻いた。

片腕を顎に添え、ぶつぶつと何かを言う。

「・・・・・・・・ふふっ」

でも、それを見てアメリアは笑った。

ぱたぱたと足を振りながら、嬉しそうに手に力を籠める。

誰かと強く繋がっている、小さな両手に。







「待たせたな、尾張の大うつけとその仲間たちよ」

30分ほどだろうか、それぐらいの時間が経ってから、万歴帝は玉座に再び舞い戻った。

服装が変わってはいたが、相変わらず派手で悪趣味、典型的なセンスが欠如していた。

「では、改めて聞こう、細川ガラシャの討伐、承諾という事でよいのだな?」

「・・・・・・・ああ、受ける」

何か目の色が変わった信長は、アメリアと繋いでいない右腕を握り締める。

万歴帝は満足そうにしながら、手を叩いて拍手を始めた。

「良い、ではここに我ら明は、そなたら信長軍団と同盟を・・・・・・」

「お待ちください」

万歴帝が言いかけた所で、ソファーに座る戚継光が地面に膝をつき、頭を下げた。

とても不機嫌そうな顔で舌打ちをし、万歴帝は戚継光を指さす。

「何だ戚継光、余はそなたに発言を許してはいない」

「これは我らが明、貴方様の愛する国に関わる内容でありますゆえ、お許しを」

ピクリ、と、万歴帝の眉が動く。

「・・・・・・・申してみろ、下らぬことであれば牢に入れる」

「ありがたき幸せ、それでは謹んで言わせていただきまする」

深く頭を下げた戚継光は、ゆっくりと立ち上がる。

全員に緊張が走る。

明に関わる内容、それにもしも信長たちが関係あるのであれば、下手したら首が飛ぶ。

腰の刀に手が伸びる信長、同じくジャンヌも無意識のうちに剣の柄を掴む。

そして、老人の乾いた唇が動きーーーーーーーー


「信長軍団という呼び方は余りにも格好がつきませぬ、もう少し洒落た呼び方をお勧めいたします」


思わず老人と帝以外がズッコケた。

アメリアを軸にした三人はまるで組体操の「おうぎ」のように開き、ズッコケた信長が大きな声で老人をツッコむ。

「名前などどうでもいいじゃろうが!、冷や冷やさせおって!」

「馬鹿野郎、名前は大事なモンだ、帝の最悪なネーミングセンスで名付けられたお前らが哀れすぎるから助けてやったんだよ」

「おい、余は此処に居るぞ?」

笑いながら怒る万歴帝だったが、自分でもネーミングに納得行っていないのか、溜息をついて玉座に深く座った。

「まあいい、名前はまた後で考えるとして・・・・・・お主ら、宿のアテはあるのか?」

「宿・・・・・?、ああ、そんなこと考えてなかったのう・・・・・んでそれがどうした」

信長が思い出したように頭を掻きながら尋ねると、万歴帝はにやりと笑った。

「この宮殿に泊めてやろうと思ってな、よき考えで在ろう?」

「!、という事はこの私も・・・・・・・!」

「戚継光、お主には仕事がわんさかあるのでナシだ」

がーん、顎をあんぐり開ける老人を、何処からともなくやってきた兵士が引きずっていく、どうやら相当急ぎの仕事らしい。

邪魔者がいなくなったことに笑みを隠さないまま、万歴帝は言った。

「だがな、此処に泊めるには一つ条件があるのだ」

玉座から立ち上がった万歴帝、信長たちはそれを反射的に見つめる。


「余もお主らとお泊りするのだ!、もちろん男女合同で!」


宮殿内の三人の驚きの声が国中に響き渡る。

今、この瞬間。

信長たちと万歴帝のお泊りが、決まったのであった。






あとがき

急に修学旅行みたいな展開になってしまった・・・・・作者です。

皆さんは手を繋いだことありますか?、僕はあります、特に女性と繋ぎたい(願望)

しかしモテない、それが現実ぅ!

では、今回の偉人の一言は夏目漱石さんに言ってもらいましょう。


君、弱い事をいってはいけない。僕も弱い男だが弱いなりに死ぬまでやるのである。やりたくなくったってやらなければならん。


やることやりましょう、やらなきゃいけないんだから。

やっとアメリアを補充できた。

今回の字数 2785


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