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ポルトガルの大うつけ~金平糖で何が悪い~  作者: キリン
【第三部】第三章 死せる不落の牙城
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胸糞悪い

ブリテン島の性質は、あの女から嫌と言うほど聞かされた。


『外部の神秘又は超常を問答無用で打ち消す』、それが例え神であろうと、それすらも凌駕する『八罪悪』であろうと同じだった。

実際、『八罪悪』最強の『不信』から最も力を授かっている自分でさえ、実力を普段の二割しか出せないでいたのだ。体が鉛のように重く、結果的に、あの程度の騎士に遅れを取った。


普段の力が出せていれば、今頃自分の手には『憤怒』の頸が二つ握られていただろう。

それでも自分の忌まわしい『八罪悪』の力は封じられなかったらしい、大うつけに両断された左腕は既に再生し、自分は『不信物質』によって形成された槍を、空中でこちらを見下ろす二人に放っている。


重要なのはそんな事ではない。切られてから既に14秒、騎士王に切られた腕は再生どころか、普通に黒い血が噴き出し続けていた。


(どういうことだ? 黒鞘からの力の供給は断たれていないのに。この槍だって、『不信物質』で作ってるのに)


思わず心の中で舌打ちをする、そう云う事かと納得はできるものの、気づくのに時間を掛け過ぎた。先ほどモルガンが放った魔術攻撃、瓦礫の中にあるはずの「あれ」が消え去っている事に、気づかなければならなかった。


(聖剣は新たな王の手に、か。剣自体はまだ持ってないようだが、加護を纏ってるならもう時間が無いな)


こんな形で本来の目的も、自分を倒すべく向かってくる相手も消え去ってしまう事を思うと、自分が堕ちるところまで堕ちている事を突き付けられているようで胸糞が悪かった。とはいえ、全力が出せないこの状態で「あれ」と戦うのは自殺行為だ。


「……」


せいぜい無事を祈ったあと、俺は足元にできた黒い穴の中に沈んでいった。




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