■■■■■の溜息
最果ての島、この地球上で最もおとぎ話の世界に近い小さな島。
その名をブリテン、かつて妖精や巨人などの神秘の化身が住み着いていた島だ。
言い伝えによればその島は花が咲き誇り、緑の平原が続き、人間と自然の理想形と呼ばれていたらしい。
この島はアーサー王伝説の舞台としてとても有名だ、アーサー王が聖剣を抜いて王になり、少しずつ滅んでいく円卓とブリテンの国の様を描いたそれは、哀しくも当時の人々を魅了した。
……さて、今回の一悶着、その舞台はこのブリテン島なのだ。
しかも現実に存在しないアーサー王伝説に関しての異常だ、下手な歴史的大事件がおかしくなるより、ずっと質が悪い。
何故ならこの伝説は作り話なのだ、当然、登場人物の身体能力は常人を超え、神秘の化身である妖精や巨人を相手にすることを意味する。
はっきり言おう、大うつけ達に勝ち目はない。
例えギリシャの大英雄が生きていようが同じこと、ブリテン島独特の性質が影響し、ブリテン以外の神秘は打ち消されてしまうのだ。
それが例え神々であろうと、『八罪悪』の王である『不信』だろうが関係ない、ブリテン島の意志は他の神秘を拒み、その権能や能力を無力化する。
例外は円卓の席に座った騎士集団「円卓の騎士」、妖精などの神秘などだ。
物理的な身体能力などで円卓を凌駕する事が可能なのは恐らく一人、あの無能な王の力を持つ少女はまだ未熟なため、円卓を倒せない。
以上の事から、大うつけ達が円卓の騎士二名を殺し、『憤怒』モルガン・ル・フェイを打ち倒す希望は欠片も無く、アメリアと花の魔術師は殺されに行くようにブリテンへ足を踏み入れた。
「まぁ、だから俺が行かないっていうのは違うんだけどな」




