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ポルトガルの大うつけ~金平糖で何が悪い~  作者: キリン
【第二部】エピローグ
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紅茶が冷めるまで①

「‥…おはよう、昨日はよく眠れたかい?」


部屋のドアを開けたのはマーリンさん、両手には二つのティーカップ、紅茶のいい匂いが鼻に入った。


「‥‥はい、ぐっすりですよ」


取り合えず笑ってみる、流石に無視するのは良くないと思ったから。


「‥‥‥‥淫魔っていうのは夢のエキスパートなんだ、眠れなかったんだね」


憐れんだような表情に戸惑った、止めて欲しい、お気楽なこの人にまで心配されていると、まるで自分がどうかしてしまっているのではないかと心配になる。


「隣、座るよ」


長い足を折り畳んで座るその姿に一瞬見惚れた、マーリンさんはティーカップを差し出してきた。

飲め、という事らしい、食欲も何も無かったが、取り合えず会釈して受け取る。

ほわほわと漂う湯気を少し吸い込む、ほんの少しではあるが、紅茶を啜った。


「…っ、美味しい」


思わず声に出してから気づく、マーリンさんがニヤニヤしながら私を見ていた。


「それはアーサーが気に入ってた紅茶さ、美味いだろう?」

「‥‥まぁ、美味しいですけど‥‥」


これでも意外と根に持つタイプのアメリア、素直においしいと言えないので、黙ってもう一口‥‥うん、美味しい、今まで飲んだ紅茶の中でも、別格の香りと味だ。


「気に入ってくれたようで何よりだ、それじゃあその紅茶が冷めるまでの間、私と少し話をしよう」

「???‥‥話、ですか?」


何だろう、そういえばきちんと話したことが無いため、いきなり緊張でドキドキしてきた。


「君たちの事さ、なぜ君たちが蘇ってここにいるか、誰に呼ばれたか」


口に含んだ紅茶を飲み、落ち着いた様子で話すマーリンさん、私の緊張の意味が変わり、心臓の鼓動が五月蠅いぐらいに響く。


「拒絶する権利も理解する権利も無かった、だったら、知る権利ぐらいはあると思ってね」


飲みかけのカップをテーブルの上に置き、マーリンさんは言った。


「君たちを呼んだのは、八罪の内一人、『暴食』のモリアーティさ」




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