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ポルトガルの大うつけ~金平糖で何が悪い~  作者: キリン
【第二部】第一章 源氏と騎士王
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火花散りゆく火の刃

その構えは、まるで陸上選手のような構えだった。

片膝を地面に、両手を開いて地面に。

迎撃など気にもしない、今も尚迫る触手など目にもくれず、爆発的な脚力を以て走り出した。

貫通したかと思えばそれは残像、隙間を縫うように僅かな通り道を通る。

刀を抜いていない分動きやすいのだ、防御が低くなる分身軽になり、短期決戦に向いた戦闘スタイルになる。

これは余談だが、頼光四天王が一人、渡辺綱は余り体力が無い、比較すると、アメリアより少し高いぐらいだ。

しかし体重は軽く、身体能力だけなら四天王の中でも随一、所々頼光をも上回る。

そしてもう一つ、この渡辺綱と稽古をした者は口早に言う、「稽古にならない」と。

理由は簡単だ、攻撃を避けられ一撃で意識を失ってしまう事から、頼光四天王の中で唯一稽古を頼まれない、稽古ができる四天王二人が出向いているため、金時が一人だけで稽古を付けている、そのおかげで京での評判は金時に上回られた。

とにかく言えることはただ一つ、この男、渡辺綱は、今まで負けたことが無いという事である。

「とにかくだ、俺はお前がどんな恨みや後悔を持っているか、晴明ではないので分からない」

物の数秒で信長の口から出てくるそれの本体を見据え、綱は右足を下げる。

左腕で刀の鞘を掴み、右の腕で柄を握る。

華奢だった腕が風船のように膨らむ、眠っていた筋肉が目覚め、血管が浮かび上がる。

「ならばそれ事叩き切るまで、魔性を切り業を切るのは、せめてもの情だ」

鞘から火花が散る、赤熱した刃が「何か」を切る。

切った何かは霧散する、救いを求めるように綱の体に纏わりつくが、それも刀の炎からならちょっとした風で払われる。

触手が霧散する、アキレウスが振った槍は地面に突き刺さり、アメリアの顔面に迫っていた触手はあと一歩のところで霧散する。

燃え上がる刀を振り、赤熱したままの刃を鞘に納める。

「終わったぞ」

息が上がっているアメリア達を見据えながら、綱は言った。

アメリアはそれを、ただただ口を開けて眺めて。

「・・・・・・・すごい」

ただ一言、零した。


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