Pardon?
「それでねぇ、金時の雷がどのぐらい強いのか図ろうとしたら、僕の脳天に直撃したんだよね~」
参った参った!そう言って笑う晴明の話はコロコロ変わり続け、気づけばもう二時間は話している。
「・・・・・・・・そうか」
(しかも喋ってるのはほとんど晴明さんです・・・・・さっきから下向いたまま相槌しか打ってない・・・・・)
何でこれで会話が成立できてしまうのだろうか、人間の神秘というものには心底興味が尽きない。
べらべらと喋り続ける晴明だったが、彼は突然話を止め、外を見る。
「おっと、もう夕方じゃないか!そろそろ話は終わりにしよう」
「・・・・・・うん」
(いや「うん」じゃないでしょ)
このままでは聞きたいことも聞けずに帰ることになってしまう、致し方なくアメリアは行動に出る。
その場から立ち上がり、的確に質問をする。
「晴明さん、帰る前にいくつか質問があります、貴方は先ほどマーリンと仰いましたが、どんな手段で連絡を?」
「ああ、あれね、鏡で僕の美貌を眺めていたら突然美しい女性が現れてね、お話してるうちに仲良くなったんだ」
類は友を呼ぶは本当だった事に笑いそうになる、しかしそこは謎にテンションが低い綱の手前なので耐える。
「では何故私たちの事を頼光さんに言ったのでしょうか、何故その目的がこの平安京を護るので?」
「彼から相談されたのさ、季武と貞光が遠征に行ってるから今日の守りが薄い、遠征の理由は言えないけど」
私の声に反応し、綱さんの肩が震えた気がするが気のせいだろう、私は晴明さんの答えに頷き、お行儀よく頭を下げた。
「今回は突然の訪問になってしまい誠に申し訳ございません、今度はお土産などを持参してきますので・・・・・・・」
「ん?いいよそんなの、綱と仲良くしてくれればそれでいいよ」
「(頷く)」
「待って今あなた頷いてた?」
「気のせいだ」
立ち上がって綱さんは廊下に出る、私は慌てて晴明さんに頭を下げた。
「またね~」
晴明さんの無邪気な声が聞こえた、悪い人ではなさそうだった。
廊下に出ると綱さんは既に靴を履いて屋敷の外へと歩いており、私は急いで靴を履き追いかけた。
「はぁ・・・・・はぁ・・・・・少しぐらい待ってくれてもいいじゃないですか!」
「・・・・・さっきは、ありがとう」
「Pardon?」
少し恥ずかしそうに私から目を逸らしながら、綱さんは言った。
「勘違いするな、俺の聞きたいことを聞いてくれたから礼をしたまで、深い意味は無い」
「・・・・・・・」
意外と可愛いところあるんだなぁ、そんな事を思いながらアメリアは自分の腰の後ろで手を組んだ。
「何を笑っている」
「別に何もありませんよ~」
そう言って、アメリアは少しだけ歩くスピードを速めた。




