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ポルトガルの大うつけ~金平糖で何が悪い~  作者: キリン
【第二部】プロローグ
114/283

鳴くよレズダチ平安京

『お前の誇りは、もう無い』

うるさい。

『お前は俺たちを殺した、使った、自分だけ幸せか?』

違う、違う、黙れ。

『所詮お前は神の力が無いと何もできないんだ』

そんなことない、殺してやる、お前ら全員。

『お前に友?今まで何人の友を殺してきた?』

うるさいうるさいうるさい黙れ黙れ!

『あの女は努力しているぞ、授かってばかりのお前とは違って』

――――――――――――――――。

やっぱり、そうなのかな。

頼ってばっかりの、母さんの力に頼りっきりの私を、疎んでるのかな。

やだな、それは、やだなぁ。

でもそっかぁ。

私は、何時までも卑怯者なんだよね。






「あっきー!?あっきー!ねぇ起きて!」

自分の友達の声で目が覚める、包容力のある柔らかい体に抱かれていたのか、体が何となく安心している。

頬に柔らかいものが当たっている事に少し動揺しながら、アキレウスは起き上がった。

見える景色は様変わりしていた、無限に咲き誇る花々は消え、自分達がいたはずの塔は消え去っていた。

代わりに和風の建造物、寝殿造の物が多かったり、貧富の差が激しかった。

「あっきー!」

がしっ!と、考えを巡らせているにもかかわらず、ジャンヌが力強く抱きしめてきた。

顔を擦り付けてくるように抱き着いてくるため、女性独特の魅力的なにおいが鼻に付いた。

「お、おい、離せよ・・・・何だって急に」

「よかった・・・・・よかった・・・・」

後頭部にまで手を回し、力強くも優しく抱きしめてくるそれは、本気で人を心配している人の行動だった。

心配してくれて事への無上の喜び、そして大英雄などと言う冠を授かっておきながら心配をかけた事への罪悪感、二つがせめぎ合う中、アキレウスは抱き着くジャンヌの背中に手を回して、ゆっくり言った。

「ごめんな、ごめん、俺ちょっと悪い夢見てたんだ」

「・・・・・・悪い、夢?」

ジャンヌは抱き着くのをやめ、少し心配そうな顔で俺を見つめた。

止めてくれよ、今そんな目で見つめられたら悲しいんだよ。

「・・・・・・・どんな夢かは、言えないけど」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

彼女には似つかない、瞼の下がった顔だった。

今にも泣きだしそうなその顔はいつもの彼女とは程遠く、でも完全な悩みとは違って、幸福の中の悩み・・・・・・不幸中の幸いならぬ、幸い中の不幸と言うべきなのだろうか。

「・・・・・・・・・えい!」

「ひゃん」

ぷにっ、と、両手人差し指を彼女の胸元に突っ込む、すると少し硬いでっぱりのようなものに当たり、アキレウスから変な声が出た。

「やりぃ!一発命中!アメリアの貧乳で鍛えた私を舐めるんじゃないわよ!」

まるでガンマンのようなポーズを取るジャンヌ、アキレウスは顔を真っ赤にして二歩、三歩後ろに下がった。

「にゃ・・・・・・にゃにするんだよ気持ち悪い!なんだ今の⁉なんかこう・・・・・ビクってきたぞ⁉」

「フハハハハハっ!さてはあっきー〇女だな!まぁ私もだけど☆」

「訳分かんねぇよ馬鹿!いきなり何なぶっぅっ!?・・・・・・?」

噛みつきかかる勢いで罵声を浴びせるアキレウスの頬を、ジャンヌがその手で優しく包み込んだのだ。

不思議そうな顔をしているアキレウスは始め、目をぱちぱちさせていたが、やがて全てを理解した。

「ほら、笑った」

そう言ってけらけら笑う彼女の顔がなんだかむず痒かったので、仕返しにジャンヌのほっぺを引っ張り始めた。

「んーんんーん(お返しだーこのー)」

「むーむむむむー(やめて~くすぐったい~)」

じゃれ合っているうちに両方笑っていた、先ほどまで自分が抱いていた不信感がバカバカしくなった。

やっぱり友達っていいな、そんな事を思いながら、アキレウスは笑う。

「んじゃ、そろそろヤりますか」

「え、何?」

「お返しの聖槍乳首いじりぃっ!」

きゃああああああっ!京に響き渡るのは、鶯の声ではなく麗しい聖処女の笑い声。

そして同時に、遥か昔、遥か彼方の大英雄の笑い声。

遠い未来、あるいははるか昔に生涯を終えた者たちの、笑い声が響いていた。







あとがき

やはりアキジャン(アキレウス×ジャンヌ)は尊い!作者です。

こんなこと言ってると中二病に見られるかもしれませんが、私は今中二なので大正解です。

今回の言いたいこと。

ランキング乗ったぜやったぜ。

たった一日の栄光。

今回の字数 1735


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