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ポルトガルの大うつけ~金平糖で何が悪い~  作者: キリン
【第一部】プロローグ 
1/283

おしまい

 そうか、ただただ納得した。

 焦げ付いた薄着、煤まみれの自分の体、燃え盛る本能寺。


「…………」


 本当に、ただただ納得しかなかった。自分は部下に嫌われていたし、裏切られることなんて何度もあった、寝込みを襲われることも少なくはない。

 バキバキと音を立てて崩れ去っていく寺、倒れてきた柱に潰されて死ぬか、焼け死ぬか。


 どちらも魅力的な死とは思えなかった、どう考えても、人らしい死に方ではなかった。


「まぁ、元から人でいたつもりはないがな」


 隣に置いてあった酒瓶を掴む、豪快にそれを飲み干し、そこら辺に投げ捨てる。

 飛び散る陶器の破片が頬をかする、だが血が頬を伝う事は無く、凝固した。


「……」


 死ぬなぁ、流れ出る汗を拭いながら、そう思う。

 出口は全て火の海、水でもあれば体を濡らすことができるのだが、ここに有るのは酒瓶一本、悪化するのは目に見えていた。


「よし! 死ぬか!」


 丁度そこらへんに転がっていた自分の愛刀を掴む、本来なら脇差とかそういうのを使うのが礼儀作法なのだが、正直どうでもよかった。

 鞘から刀を抜き、腹に突き立てる。


「むぐっ! あだだだっ……がぁ……」


 元気な声が寺だけではなく、寺を囲む軍勢にも聞こえた事だろう、儂はにやりと笑ってから、両手に力を込めた。


 ブシュウっ!腹の中に刃が滑り込み、みぞおちからへその下までざっくり切っていく。

 どさあっ、痙攣しながら倒れる、腹にとんでもない痛みが走るのを感じた。


『ハイお疲れ様、それじゃあ頼むわよ』


 声のようなものが聞こえ、その直後本能寺を支えていた柱が音を立てながら崩れ去った。




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― 新着の感想 ―
[良い点] え、信長! まさかの信長異世界転生ですか!
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