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魔術研究者ミハイルとの出会い1

 ルナリアを包んでいた眩い光がだんだんと弱まっていく。恐る恐る目を開けると、そこは色鮮やかな花々が広がる美しい花畑だった。今は真冬だったはずなのに、ここには夏の草花が咲いている。


(季節も違うし、ここが王都でないことは確かね……)


 まだ分からないことだらけだが、ひとまずは誰か人を見つけなければならない。先程の魔術師は、人がいる場所に転移させると言っていたから、近くに町や村でもあるのかもしれない。


 ルナリアが辺りを見回すと、後ろから草を踏み締める音が聞こえた。ハッとして振り返ると、そこには煤けたマントを羽織ったボサボサ頭で長身の男が立っていた。ルナリアの父親と同じくらいの年齢だろうか。伸び放題の髪が目を隠していて表情がよく分からないが、ぽかんと開いた口を見ると、どうやら驚いているようだ。


「今の光は一体……? 貴女は何者だ? なぜここに?」


「え、あ、あの……あなたは……?」


 いきなりの質問責めに焦ってしまい、質問で返してしまった。


「ああ、急にすまない、つい……。私は魔術研究者のミハイルだ。研究に使う花を摘みに来たら、突然強い魔力を帯びた光が現れて、しかも中から女性が出てくるとは驚いた。白昼夢でも見ているのだろうか」


 たしかに、それは驚いて当然だ。転移してすぐに人が見つかってよかったが、一部始終を見られていたとなっては、うまく説明する必要があるだろう。まだ会ったばかりの男性で、どんな人間なのかは分からないが、ルナリアは不思議と信じてみても大丈夫だという予感がした。


「あの、私はルナリア・ファリスと申します。驚かせてしまったと思いますが、一応、現実の人間です」


 淑女の礼儀として体に染み付いている、控えめな微笑みを浮かべてそう言うと、ミハイルと名乗った男はボサボサ頭をポリポリとかいた。


「そうか、やはりこれは現実なんだな。ところで貴女は一人なのか? なぜここに?」


「実は事情があって一人で来たのですが、ここがどこかもよく分からなくて……。あの、今は王国暦何年ですか?」


「今は王国暦850年だが」


(やっぱり、私は二百年前の世界に飛ばされたのだわ……)


 ルナリアはムーンストーンのペンダントをギュッと握りしめた。


「……何だか訳ありのようだね。ひとまず、うちに来るといい。色々話を聞いた方がよさそうだ」


「ミハイルさんのおうち、ですか?」


「ああ、ここから歩いてすぐだ。独り身で研究ばかりしているから、散らかっていて申し訳ないが……あ、貴女をどうこうしようという気はないから安心してくれ!」


 ミハイルが慌てて弁明する。ルナリアは何だか可笑しくなって、思わずふふっと笑ってしまった。


「わかりました。ご迷惑でなければお邪魔させてください」

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