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第5話『イカリノワケ。』
しばらくすると絆奈は我に返った。
無理した作り笑顔をする。
「飯冷めちゃったけど。もう食わないんか?」
「食うよっ! 食う食う!」
残りを秒で平らげる。
俺は茶を出す。
「ありがと! 気遣いできる人間好きっ!」
「人間て言い方がひっかかるがとりあえず素直に喜ぼう」
俺も茶を飲む。
絆奈は飲み終わり湯呑みを置く。
「まだ飲む?」
「飲むっ!」
急須ごと自分のとこに持っていき、一気に飲み干す! 豪快!
「ぷっは! たまらねぇぜ! ところで聞きたくなーい? 怒りの理由っ!」
「興味ねぇな」
「しょうがないなぁ! 絆奈ちゃんが教えてあげるっ☆」
「聞いてねぇな」
こいつ、勝手に喋り出したよ。